☆なんちゃってクエスト★

Natsu

文字の大きさ
上 下
16 / 145
■救助編

【3】

しおりを挟む
 宿屋の中。

「……と、いうわけです」

 少女は助けを求めた4人の前で現状の説明を終える。 

「まあ、要するにあなたの村がピンチなんでしょ? 私たちに任せなさい!」

 ティアは小柄な体格と不釣り合いな大きな胸をドンと叩いた。

「なんだ、やけに今回は張り切ってるな。どうした?」

 ゼンスが尋ねると、ティアは笑みを浮かべて手に持っている雑誌を広げた。
 なんだかわからないが、ロゼンパーティーと少女はその雑誌を覗いて内容を見てみることにした。

【ヤッホーぃ! 夢見る少女にハッピーという名の妖精を送る、今話題の超人気占い雑誌! ☆ハッピー&アンハッピー★ 幸せも不幸も所詮は人生のスパイス! これを読んで自分好みの素敵な味に変えてやろうぜ!】

「……ねえ、この雑誌大丈夫なの?」

 雑誌の内容を見て、ロゼンは素朴な疑問を口にした。

「大丈夫、この占い雑誌よくあたるんだよ。ちなみに私の占い結果は【今日あなたの元に迷える小羊が尋ねてくるでしょう。小羊の迷いをハイテンションで解消してあげると、運勢が22%の確率で上昇するかもしれません】だってさ」

「確率低っ! しかも最後にかもしれません!? 全然ダメダメじゃん!」

「ま、いいじゃん。とにかく今回はハイテンションでいくからね」

 ロゼンの心配を無視し、ティアは少女の方に振り向いた。

「で、あなたの村はどこなの!?」

「え? えっと……」

「遅ーい! きびきびと答えなさい!」

 ティアは少女の肩を掴むと体を大きく揺らし始めた。

「さあ、吐きなさい! あなたの村はどこなの!? 迷ってないで答えなさい!」

「お、おいおい」

 ロゼンは、ハイテンションなティアを止めにはいる。

「離しなさい!」

「いや、お前がその子を離しなってわちゃあ!」

 ティアの肩を掴んだロゼンの手がいきなり炎に包まれた。ひいいい、とロゼンは炎を消すため腕をぶんぶんと振り回す。
 
「……そう、今の私は火傷するほどの情熱で動く熱い女」

 ティアがなんか言っている間に、ミモザは花瓶の水でロゼンの炎を消した。

「ティア、むやみに魔法を使っては周りに迷惑ですよ」

 ミモザが忠告すると、ロゼンがそれに便乗する。

「そうだそうだ!」

「まだロゼン様だから良かったですけど」

「そうだそうだってなんでやねん! っあ手があ!」

 反射的に焦げている手で突っ込みをいれてしまい痛みでロゼンはまた床を転げ回った。

 そんな光景を見ていた少女は、

(人選ミスしたかな……)

 などと思ったそうな。
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

日本列島、時震により転移す!

黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

【完結】おじいちゃんは元勇者

三園 七詩
ファンタジー
元勇者のおじいさんに拾われた子供の話… 親に捨てられ、周りからも見放され生きる事をあきらめた子供の前に国から追放された元勇者のおじいさんが現れる。 エイトを息子のように可愛がり…いつしか子供は強くなり過ぎてしまっていた…

【短編】追放した仲間が行方不明!?

mimiaizu
ファンタジー
Aランク冒険者パーティー『強欲の翼』。そこで支援術師として仲間たちを支援し続けていたアリクは、リーダーのウーバの悪意で追補された。だが、その追放は間違っていた。これをきっかけとしてウーバと『強欲の翼』は失敗が続き、落ちぶれていくのであった。 ※「行方不明」の「追放系」を思いついて投稿しました。短編で終わらせるつもりなのでよろしくお願いします。

魔道具作ってたら断罪回避できてたわw

かぜかおる
ファンタジー
転生して魔法があったからそっちを楽しんで生きてます! って、あれまあ私悪役令嬢だったんですか(笑) フワッと設定、ざまあなし、落ちなし、軽〜く読んでくださいな。

凡人がおまけ召喚されてしまった件

根鳥 泰造
ファンタジー
 勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。  仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。  それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。  異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。  最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。  だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。  祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。

いい子ちゃんなんて嫌いだわ

F.conoe
ファンタジー
異世界召喚され、聖女として厚遇されたが 聖女じゃなかったと手のひら返しをされた。 おまけだと思われていたあの子が聖女だという。いい子で優しい聖女さま。 どうしてあなたは、もっと早く名乗らなかったの。 それが優しさだと思ったの?

処理中です...