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支配
密書だよ?
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今日はアルフィと街をぶらぶらしながらデート。ふふ、2人でこんなにゆっくり出来るのは、もしかしたらアルフィがカストに来た頃以来じゃないか?
「都市化に伴って減少した農地にも用水がしっかり行き届くように設計してるわけだけど、どうしてもフォローしきれない部分が出てきて、これが理由でまた農地が減ってという悪循環は否めないよね」
アルフィは俺がかつてしたように、バークフォードの街を歩いて案内してくれている。カストと違ってかなり都会な街だから、人口も多く職業の幅も広い。それにしても必死に街を説明するアルフィの横顔は尊いなぁ。額に入れたい。
いかんいかん。せっかくアルフィが説明してくれているのだ。俺も今まで寝ていたわけじゃないというところを見せねばな。
「そう言えばそこの宿屋の掃除係のおばさんも、つい最近までは麦を育てていたと言っていたな。そうか、トニーが言っていたうまい話ってのはそれだな?なるほど、確かに農家を辞めた人間の中には、戻りたいと思う人間も少なからずいるわけか」
「ちょ、ちょっと待ってシャルル様」
「ん?」
その時店から出てきた年配の男性に声を掛けられる。
「おお!ダカストロ様!先日はありがとうございました!」
「おや、今日は杖の調子が良さそうですね」
「はは!年寄りを虐めんで下さい!」
「なにを仰る!あはは!」
まったくいつ会っても愉快な方だ。おや、あれはベーカリーの奥さん。
「ちょっとダカストロ様!これ食べてっておくれよ!」
「新作ですか?ふむ、ん?これは塩ですか?それも上質な。何処でこれを?」
「それは企業秘密さね。あんまり客が付くと値が上がるからね」
「そうですか?大量の顧客が見込まれるなら、大量に入荷して安く広く売った方が儲かると、商人ならそう考えそうですが?」
「なるほどねぇ。これ、商品化しようとすると単価が高くなるのよ。少し抑えられるかしら?」
「この素晴らしい味が安く食べられるなら、努力する価値はあるでしょうね」
「本当かい!?さすがダカストロ様だよ!」
ふふ、ライラも上手くやってるな。岩塩の消費率がどんどん上がっている。このまま普及させて、違う商品のルートにも使わせて貰おう。
「ダカストロ様!ダカストロ様!カストのお友達と一緒に作ったの!」
「おお!これはカスト冠!上手く出来てるね!俺も昔よく作ったよ!」
この前街の子供集めて逃走中やった時の子だ。
「ダカストロ様!大変だよ!今度は舌の肥えた商人が団体で来るって!」
まったく、エラーリアさんはまたこんなに慌てて。
「大丈夫。あれだけ練習したでしょう?あなたなら出来ます!」
「本当かい?あぁ、私に出来るかね?」
「言ったでしょ?自分を信じられなくなったら、あなたを信じた人を思い出して下さい」
「あ、あぁ、そうだね!いつかってのは今日だ!使うよ!先代の包丁!」
「頑張って下さい!」
走り去っていく後ろ姿に手を振っていると、また違う声に話し掛けられる。
「シャルル様!」
「なんですかって、アルフィか。どうした?」
「いや!なんでシャルル様たった1ヶ月でこんな街の中心人物になってるの!?」
「そんなことは無いぞ?俺は普通にぶらぶらしてて、初めはカストの民が上手く仕事にあり付けるように手助けをし、その上でバークフォードの民にも少しだけ手を貸しただけだ」
「な!ウチの民になにをした!?」
「誠心誠意、出逢う人全員と話をして、悩みを聞いて、共に考え、動き、励ました」
「くうう!夜はあんなだらしないのに!放っておくとすぐ有能ぶる!ちょっと!僕がすること無くなるから、あんまり目立たないでよ!?」
「はっはっは!こんな広い街を俺1人がどうこう出来るわけが無いだろ?心配するなよ」
その時、ハットを目深に被った怪しい男が俺にぶつかる。
「おっと、すいません」
「いえいえ」
俺はぶつかった瞬間に受け取った封筒を確かめようとして。
「待て待て待て!なんだそれは!」
「え?密書だよ?」
「なんで密書受け取ってんだ!なんの密書だ!」
「いや、さすがにこれは言えないよ。だって密書だもん」
「シャルル様絶対この街の裏でも暗躍してるでしょ!?止めてよ!もう!あいつ絶対マフィアじゃん!なに裏組織とも繋がってるの!?」
「いや、魔族に裏組織との繋がり怒られても」
「今正論いらねえよ!」
俺が正論言うとすぐ怒られる。辛い。
「ちなみにアルフィ。この街に何故か魔道具が流通してるんだが、なにか知ってるか?」
「え?知らないよ。てかシャルル様が知らないことは僕も知らないよ、そっちの方が詳しいんだから。どうせマスターでしょ?」
「いや、オカンが居ないからマスターは商品を入荷出来ない。本人も嘆いていたから確かだ」
「じゃあ、誰?」
「謎のローブの男。店長と呼ばれているらしい。そいつから買えるって噂が広まってる」
「店長?あ、あぁ」
「なんだ?やっぱり知ってるのか?」
「えっと。そう言えば、なんか生き生きしてるねシャルル様。そんなにこの街楽しい?」
「ん?はは!もちろんだろ?ここはアルフィの故郷で、もうすでに俺とカストの民が住む第2の故郷だ」
アルフィが唇をクネクネさせて変な顔をしている。なんだかわからんがレア可愛い。
「今日もちょっとだけサービスしてあげる」
「やった!」
なんだか夜はサービス付きらしい!
「都市化に伴って減少した農地にも用水がしっかり行き届くように設計してるわけだけど、どうしてもフォローしきれない部分が出てきて、これが理由でまた農地が減ってという悪循環は否めないよね」
アルフィは俺がかつてしたように、バークフォードの街を歩いて案内してくれている。カストと違ってかなり都会な街だから、人口も多く職業の幅も広い。それにしても必死に街を説明するアルフィの横顔は尊いなぁ。額に入れたい。
いかんいかん。せっかくアルフィが説明してくれているのだ。俺も今まで寝ていたわけじゃないというところを見せねばな。
「そう言えばそこの宿屋の掃除係のおばさんも、つい最近までは麦を育てていたと言っていたな。そうか、トニーが言っていたうまい話ってのはそれだな?なるほど、確かに農家を辞めた人間の中には、戻りたいと思う人間も少なからずいるわけか」
「ちょ、ちょっと待ってシャルル様」
「ん?」
その時店から出てきた年配の男性に声を掛けられる。
「おお!ダカストロ様!先日はありがとうございました!」
「おや、今日は杖の調子が良さそうですね」
「はは!年寄りを虐めんで下さい!」
「なにを仰る!あはは!」
まったくいつ会っても愉快な方だ。おや、あれはベーカリーの奥さん。
「ちょっとダカストロ様!これ食べてっておくれよ!」
「新作ですか?ふむ、ん?これは塩ですか?それも上質な。何処でこれを?」
「それは企業秘密さね。あんまり客が付くと値が上がるからね」
「そうですか?大量の顧客が見込まれるなら、大量に入荷して安く広く売った方が儲かると、商人ならそう考えそうですが?」
「なるほどねぇ。これ、商品化しようとすると単価が高くなるのよ。少し抑えられるかしら?」
「この素晴らしい味が安く食べられるなら、努力する価値はあるでしょうね」
「本当かい!?さすがダカストロ様だよ!」
ふふ、ライラも上手くやってるな。岩塩の消費率がどんどん上がっている。このまま普及させて、違う商品のルートにも使わせて貰おう。
「ダカストロ様!ダカストロ様!カストのお友達と一緒に作ったの!」
「おお!これはカスト冠!上手く出来てるね!俺も昔よく作ったよ!」
この前街の子供集めて逃走中やった時の子だ。
「ダカストロ様!大変だよ!今度は舌の肥えた商人が団体で来るって!」
まったく、エラーリアさんはまたこんなに慌てて。
「大丈夫。あれだけ練習したでしょう?あなたなら出来ます!」
「本当かい?あぁ、私に出来るかね?」
「言ったでしょ?自分を信じられなくなったら、あなたを信じた人を思い出して下さい」
「あ、あぁ、そうだね!いつかってのは今日だ!使うよ!先代の包丁!」
「頑張って下さい!」
走り去っていく後ろ姿に手を振っていると、また違う声に話し掛けられる。
「シャルル様!」
「なんですかって、アルフィか。どうした?」
「いや!なんでシャルル様たった1ヶ月でこんな街の中心人物になってるの!?」
「そんなことは無いぞ?俺は普通にぶらぶらしてて、初めはカストの民が上手く仕事にあり付けるように手助けをし、その上でバークフォードの民にも少しだけ手を貸しただけだ」
「な!ウチの民になにをした!?」
「誠心誠意、出逢う人全員と話をして、悩みを聞いて、共に考え、動き、励ました」
「くうう!夜はあんなだらしないのに!放っておくとすぐ有能ぶる!ちょっと!僕がすること無くなるから、あんまり目立たないでよ!?」
「はっはっは!こんな広い街を俺1人がどうこう出来るわけが無いだろ?心配するなよ」
その時、ハットを目深に被った怪しい男が俺にぶつかる。
「おっと、すいません」
「いえいえ」
俺はぶつかった瞬間に受け取った封筒を確かめようとして。
「待て待て待て!なんだそれは!」
「え?密書だよ?」
「なんで密書受け取ってんだ!なんの密書だ!」
「いや、さすがにこれは言えないよ。だって密書だもん」
「シャルル様絶対この街の裏でも暗躍してるでしょ!?止めてよ!もう!あいつ絶対マフィアじゃん!なに裏組織とも繋がってるの!?」
「いや、魔族に裏組織との繋がり怒られても」
「今正論いらねえよ!」
俺が正論言うとすぐ怒られる。辛い。
「ちなみにアルフィ。この街に何故か魔道具が流通してるんだが、なにか知ってるか?」
「え?知らないよ。てかシャルル様が知らないことは僕も知らないよ、そっちの方が詳しいんだから。どうせマスターでしょ?」
「いや、オカンが居ないからマスターは商品を入荷出来ない。本人も嘆いていたから確かだ」
「じゃあ、誰?」
「謎のローブの男。店長と呼ばれているらしい。そいつから買えるって噂が広まってる」
「店長?あ、あぁ」
「なんだ?やっぱり知ってるのか?」
「えっと。そう言えば、なんか生き生きしてるねシャルル様。そんなにこの街楽しい?」
「ん?はは!もちろんだろ?ここはアルフィの故郷で、もうすでに俺とカストの民が住む第2の故郷だ」
アルフィが唇をクネクネさせて変な顔をしている。なんだかわからんがレア可愛い。
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