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洗脳
すっぽんは凄かった
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「凄い騒ぎだったね」
「暴動でも起きたのかと思いました」
「最悪だよ」
昨日は疲れ果てて眠り、朝気持ち良く仕事に出た俺だが、今日も朝から問題は山積みで日中は走り回っていた。ようやく夜になって仕事が終わり、バーで3人に今日のことを報告する。もちろん勇者絡みだ。
「昨日マスターも言ってただろ?勇者がなにかコソコソ調べてるって」
「ええ、他人の家の中に無断で入る所を見たという者も」
「それだよ。昨日あたりを付けて、今日は家主がいる昼間にどうどうと家に入って、家財やなんかをひっくり返して捜索して回ったらしい」
「は?」
「なんやのそれ」
「器物破損、窃盗。止めようとした民の中には、怪我をした者までいる」
「嘘でしょ?あいつ関係無い街でもそこまでしたの!?もう勇者なんかって言ってる場合じゃないよ!とっ捕まえよう!」
「と、俺もそう思った。街の衛兵もそう判断し、勇者と知ってはいたが拘束しようとした」
「まさか、あの騒ぎは」
「そうだよ。街中で衛兵を相手にあいつが暴れ回ったんだ」
「被害は?」
「衛兵はほぼ全滅。死んではいないが重症だ。それに屋台や牛舎、外壁、街の至る所が破壊された。あいつの戦闘によって」
「あいつはどこ?」
「行くなよ、アルフィ。今は無人になった何処かの家に潜伏してるんだろう。街の人間には極力家から出るなと言って回った」
「それは聞こえてました」
「ほんまに酷いな。おばちゃんが一回しばいたろか?」
「本当にそうして貰いたい気分だけど、もう一度だけ、俺にチャンスをくれないか」
「まだ話し合いを続けるの?」
「せめてあいつがなんでそんなことをしたのか知りたい。アルフィを探すなら俺を攻撃した方が早いんだし、街の人間を襲う理由がわからない。もしも意味無く民を傷付けたのなら、この件が終わった後にこの土地を預かる貴族として、国王に正式に苦情と共に勇者への相応の罰を進言する」
「あいつにまともな思考なんてないよ。それよりこれ以上は街の人達も危険だ」
「わかってる。危なくないように、街の人間を先に隣街へ避難させよう。マスターは避難訓練通り民を先導してくれ」
「了解しました」
「なんも出来へんのは辛いなぁ」
「すまんオカン。その代わり夜の方ではしっかり役に立ってる!」
「それは職人冥利に尽きる言葉やなぁ」
「とりあえず今日はシャルル様にご馳走を!いっぱい食べて精を付けて貰わないと!」
「そうだな、今日の夜もまた魔道具で楽しむわけだし」
「おばちゃんの力作が今晩もまた火吹くで」
「そんなわけでマスター!すっぽん鍋を!」
「夜もばっちり特性すっぽん鍋でございます」
「おお」
「見てるだけでドキドキしてきた」
「こりゃ凄いなぁ」
結果的にすっぽんは凄かった。今すぐしたくなる程度には効果抜群だ。ムラムラドキドキする俺は、気持ちを切り替えて作戦のために一度屋敷へ戻る。
まだ日が落ちたばかりで街の人間は起きているだろう。不安で家に篭っているであろう民に対して、俺は屋敷の煙突から避難指示を示す赤い狼煙を上げる。夜でも見易いように工夫しているし、民は全員何度もこれを見ているので見過ごすことはない。家の角度的に見えない人間も居るので、このまま街を移動してもう3箇所でも狼煙を上げる。これで全員避難の準備をして、朝日が昇る前に隣街へと避難するはずだ。
「暴動でも起きたのかと思いました」
「最悪だよ」
昨日は疲れ果てて眠り、朝気持ち良く仕事に出た俺だが、今日も朝から問題は山積みで日中は走り回っていた。ようやく夜になって仕事が終わり、バーで3人に今日のことを報告する。もちろん勇者絡みだ。
「昨日マスターも言ってただろ?勇者がなにかコソコソ調べてるって」
「ええ、他人の家の中に無断で入る所を見たという者も」
「それだよ。昨日あたりを付けて、今日は家主がいる昼間にどうどうと家に入って、家財やなんかをひっくり返して捜索して回ったらしい」
「は?」
「なんやのそれ」
「器物破損、窃盗。止めようとした民の中には、怪我をした者までいる」
「嘘でしょ?あいつ関係無い街でもそこまでしたの!?もう勇者なんかって言ってる場合じゃないよ!とっ捕まえよう!」
「と、俺もそう思った。街の衛兵もそう判断し、勇者と知ってはいたが拘束しようとした」
「まさか、あの騒ぎは」
「そうだよ。街中で衛兵を相手にあいつが暴れ回ったんだ」
「被害は?」
「衛兵はほぼ全滅。死んではいないが重症だ。それに屋台や牛舎、外壁、街の至る所が破壊された。あいつの戦闘によって」
「あいつはどこ?」
「行くなよ、アルフィ。今は無人になった何処かの家に潜伏してるんだろう。街の人間には極力家から出るなと言って回った」
「それは聞こえてました」
「ほんまに酷いな。おばちゃんが一回しばいたろか?」
「本当にそうして貰いたい気分だけど、もう一度だけ、俺にチャンスをくれないか」
「まだ話し合いを続けるの?」
「せめてあいつがなんでそんなことをしたのか知りたい。アルフィを探すなら俺を攻撃した方が早いんだし、街の人間を襲う理由がわからない。もしも意味無く民を傷付けたのなら、この件が終わった後にこの土地を預かる貴族として、国王に正式に苦情と共に勇者への相応の罰を進言する」
「あいつにまともな思考なんてないよ。それよりこれ以上は街の人達も危険だ」
「わかってる。危なくないように、街の人間を先に隣街へ避難させよう。マスターは避難訓練通り民を先導してくれ」
「了解しました」
「なんも出来へんのは辛いなぁ」
「すまんオカン。その代わり夜の方ではしっかり役に立ってる!」
「それは職人冥利に尽きる言葉やなぁ」
「とりあえず今日はシャルル様にご馳走を!いっぱい食べて精を付けて貰わないと!」
「そうだな、今日の夜もまた魔道具で楽しむわけだし」
「おばちゃんの力作が今晩もまた火吹くで」
「そんなわけでマスター!すっぽん鍋を!」
「夜もばっちり特性すっぽん鍋でございます」
「おお」
「見てるだけでドキドキしてきた」
「こりゃ凄いなぁ」
結果的にすっぽんは凄かった。今すぐしたくなる程度には効果抜群だ。ムラムラドキドキする俺は、気持ちを切り替えて作戦のために一度屋敷へ戻る。
まだ日が落ちたばかりで街の人間は起きているだろう。不安で家に篭っているであろう民に対して、俺は屋敷の煙突から避難指示を示す赤い狼煙を上げる。夜でも見易いように工夫しているし、民は全員何度もこれを見ているので見過ごすことはない。家の角度的に見えない人間も居るので、このまま街を移動してもう3箇所でも狼煙を上げる。これで全員避難の準備をして、朝日が昇る前に隣街へと避難するはずだ。
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