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魔族
俺は貝、貝だ
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「オカン様、魔法陣を設置する場所ですが、そこの壁はどうでしょう?」
マスターがオカンになにか聞いてるなあっていうのはわかるが、それがなにを聞いてるのかとかは理解出来ない。なにせ今俺は早急に屋敷へ戻ってアルフィにご褒美を貰うことしか頭にないのだ。
「時空の穴の魔法陣な。店の壁に描いてもええのん?悪いわぁ」
「仕入れの際にスムーズですし。この辺りに魔法陣が描かれていたら、インテリアとしても価値が上がるかと」
「魔法陣?オカンが描くのか?」
話半分に聞いていたが、気になる単語があったので流石に話に入る。
「せやで、おばちゃん結構上手いねんから」
「ちょっと待て!オカンは魔道士なのか!?」
「なんやのん、急に大きい声出して」
「ダカストロ様、オカン様は魔道士ではありませんよ」
「そうだね。魔道士ではないね」
そりゃそうだ。どう見てもただの道具屋のおばちゃんだ。
「せやな。魔道士じゃ生身で時空の穴なんて通られへんて」
「そうか。優秀な魔道士がなあ、いれば問題解決なんだが」
言いながらもまた思考がほとんど貞操帯に持っていかれる。本当に少しでも気が抜けたら、自分で自分の穴を弄ってしまいそうなぐらいなのだ。
「時空の穴ってどこに繋がってるの?」
「どこでも繋げるけど、おばちゃんは基本的に魔界と繋げてるで。自分の家と」
「へえそうなんだ。行ってみたいな!」
「あかんあかん。生身の人間じゃ時空の穴通れんし、そもそも魔界なんか人間が来たら正気じゃおれんで」
「そうか、ちぇー」
「オカン様、ご注文の『野菜とキノコ炒めたん』でございます」
「おおこれこれ。焼肉のタレでな、サーっとやるだけで美味いねん」
「美味しそう!」
「あんたも食べ。取り皿入れたろ、ほら」
「うんうん!あ!美味しい!これは!」
「ほんでなんやの?魔道士がどうとか」
「僕より優秀な魔道士を探してるんだよね。まあ世界的にはいくらでもいるけど、この辺りにはそもそも魔道士少ないから」
「あんたより強いのんかいな。まあそれならおばちゃんも強いは強いで」
「確かにオカンなら僕より遥かに強いのは確かだけどね。はは」
「なに!?そうなのか!?」
いくら貞操帯がもどかしくても、穴が疼いても、アルフィの自由が掛かった案件なら別だ。いっそ居眠りでもするかとすら思っていたが、瞬間的に目が覚める。
「なんやの?まあ戦ったら負けへんやろうけど」
「いっそ魔道士じゃなくても良いんだよ!アルフィの代わりに勇者のパーティーに入ってくれないか!?」
オカンがポカンとしている。まあこんな普通のおばちゃんに、そんな無茶を頼む俺がどうかしていたか。強いというのも、口喧嘩とかそういう話だろう。あまり話を聞いてなかったから冗談で言っていた話を間に受けてしまった。
「おばちゃんが勇者のパーティーて!あはは!あんたオモロいなあ!あっはっは!そりゃええわ!」
「ああ!忘れてくれ!もう!」
なんかウケてしまった。恥ずかしい。
「あはは!シャルル様ったら!魔族のオカンが勇者パーティーに入れるわけ無いじゃん!」
「せやで!こんなんでも魔王軍の幹部やねんで!?もう!アホなこと言いな!ぎゃはは!」
もう終わるまで静かにしてよう。精神統一だ。無になれ。俺は貝、貝だ。
マスターがオカンになにか聞いてるなあっていうのはわかるが、それがなにを聞いてるのかとかは理解出来ない。なにせ今俺は早急に屋敷へ戻ってアルフィにご褒美を貰うことしか頭にないのだ。
「時空の穴の魔法陣な。店の壁に描いてもええのん?悪いわぁ」
「仕入れの際にスムーズですし。この辺りに魔法陣が描かれていたら、インテリアとしても価値が上がるかと」
「魔法陣?オカンが描くのか?」
話半分に聞いていたが、気になる単語があったので流石に話に入る。
「せやで、おばちゃん結構上手いねんから」
「ちょっと待て!オカンは魔道士なのか!?」
「なんやのん、急に大きい声出して」
「ダカストロ様、オカン様は魔道士ではありませんよ」
「そうだね。魔道士ではないね」
そりゃそうだ。どう見てもただの道具屋のおばちゃんだ。
「せやな。魔道士じゃ生身で時空の穴なんて通られへんて」
「そうか。優秀な魔道士がなあ、いれば問題解決なんだが」
言いながらもまた思考がほとんど貞操帯に持っていかれる。本当に少しでも気が抜けたら、自分で自分の穴を弄ってしまいそうなぐらいなのだ。
「時空の穴ってどこに繋がってるの?」
「どこでも繋げるけど、おばちゃんは基本的に魔界と繋げてるで。自分の家と」
「へえそうなんだ。行ってみたいな!」
「あかんあかん。生身の人間じゃ時空の穴通れんし、そもそも魔界なんか人間が来たら正気じゃおれんで」
「そうか、ちぇー」
「オカン様、ご注文の『野菜とキノコ炒めたん』でございます」
「おおこれこれ。焼肉のタレでな、サーっとやるだけで美味いねん」
「美味しそう!」
「あんたも食べ。取り皿入れたろ、ほら」
「うんうん!あ!美味しい!これは!」
「ほんでなんやの?魔道士がどうとか」
「僕より優秀な魔道士を探してるんだよね。まあ世界的にはいくらでもいるけど、この辺りにはそもそも魔道士少ないから」
「あんたより強いのんかいな。まあそれならおばちゃんも強いは強いで」
「確かにオカンなら僕より遥かに強いのは確かだけどね。はは」
「なに!?そうなのか!?」
いくら貞操帯がもどかしくても、穴が疼いても、アルフィの自由が掛かった案件なら別だ。いっそ居眠りでもするかとすら思っていたが、瞬間的に目が覚める。
「なんやの?まあ戦ったら負けへんやろうけど」
「いっそ魔道士じゃなくても良いんだよ!アルフィの代わりに勇者のパーティーに入ってくれないか!?」
オカンがポカンとしている。まあこんな普通のおばちゃんに、そんな無茶を頼む俺がどうかしていたか。強いというのも、口喧嘩とかそういう話だろう。あまり話を聞いてなかったから冗談で言っていた話を間に受けてしまった。
「おばちゃんが勇者のパーティーて!あはは!あんたオモロいなあ!あっはっは!そりゃええわ!」
「ああ!忘れてくれ!もう!」
なんかウケてしまった。恥ずかしい。
「あはは!シャルル様ったら!魔族のオカンが勇者パーティーに入れるわけ無いじゃん!」
「せやで!こんなんでも魔王軍の幹部やねんで!?もう!アホなこと言いな!ぎゃはは!」
もう終わるまで静かにしてよう。精神統一だ。無になれ。俺は貝、貝だ。
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