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魔族
いよいよ勇者が来てしまうぞ!?
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いつものバーでアルフィと2人。マスターと楽しく会話しながらカクテルを楽しむ。
「マスターってなにか武道でもやってたの?」
「おや、わかりますか」
「そうなのか?」
聞いたことも無い話だ。マスターは俺が小さい頃からあの家で執事をしてくれていたから、気付いた時からずっと爺さんなのだ。俺の両親である悪徳貴族を、なんとか宥めて煽てて最悪の一歩手前を維持したのは彼の功績以外のなにものでもない。
「ダカストロ家に仕える前は、日夜ダンジョンに潜る冒険者でした」
「足運びが素人じゃないなって思ってたんだ」
「知らなかった。妙な眼力はその時の名残か」
「今はただの年寄りですよ。剣を振るうどころか、酒樽を運ぶのも若者任せです」
そうか、マスターにも若い頃はあったんだよな。
「ダンジョンって言ったら魔物と戦ってたの?」
「ええ、魔族と戦ったこともありますよ」
魔族は魔物と違って知性があって、人間と同じように言葉を喋り、魔法も使える。しかも魔力も筋力も体力も人間の比じゃないからべらぼうに強い。まあ俺が知ってるこの世界の常識ではそんな存在だ。もちろん俺は会ったこともない。
「凄い!魔族と!?勝ったの!?」
「いえいえ、痛み分けです。身体があの日のままなら、今度は彼女と腕試しをしてみたいものです。ふふ」
マスターが遠い目をしている。ふむ、凄い人だったのだな。
「そう言えばアルフィ、勇者宛の手紙ってなんて書いて送ったんだ?」
ふと思い出して何気なくアルフィに聞く。アルフィは俺の隣でモクテルに付いてきたサクランボを食べながら、興味無さげに答える。
「んー?返事?書いてないよ?」
「はっ!?か、書いてない!?」
「うん」
それはまずいだろ。返事がないとなれば、監禁の可能性だって考える。いよいよ勇者が来てしまうぞ!?
「手紙いっぱい来てたんだろ!?あ!あれか!?便箋が無いのか!?それなら!」
「いや、書く気がない」
「なんでだよ!友達だろ!?」
「まあ世間的にはそうなってるけど、実はそんな簡単に説明出来る仲じゃなくてねぇ」
「そ、そうなのか?」
こんな立場でさえなければ、俺にとって勇者は憧れの存在だ。主人公ということもあって、1番感情移入していたキャラでもあったし。特にアルフィとのコンビが好きだったのだが。
「僕、あいつ嫌いなんだよね」
「え?」
「自意識過剰で自信家で、プライド高くて自己中で、まじで最低野郎なんだよ」
そうなの?えぇ、なんか、その、イメージが。
「街のみんなにも迷惑掛けまくってて、それなのに兄さんも父上も勇者だからって優遇して。僕からしたらあんなのただの人格破綻者で犯罪者だよ」
「それでも、その、一緒に旅に出る約束とか」
「えぇ?凄いね、そんな情報どこで手に入るの?」
「やっぱりそうなのか!?」
「あいつが無理矢理そんなこと言ってきてるんだよね。本当に迷惑」
まあアルフィも物語のアルフィとは全然違うし、勇者も違うのだろう。物語の中のクールで頼りになるアルフィも好きだが、今のアルフィはその何倍も好きだ。クールよりエロい方が絶対良い。クールでエロいならともかく。クールでエロい?ふふ、それも良いなぁ。クールでエロいアルフィ。冷たく虐められる俺。
「あの、シャルル様?嬉しいんだけどね、なんでこの話の流れで、そんなエッチな目で僕のこと見てるの?」
「アルフィ様、追加のロソン泉の霊水でございます」
「お、マスターありがとう」
それに見た目も、今のアルフィの方が断然良い。唇、すごいプルプルだ。あれにいつもキスされてるんだと思うと、あぁ、駄目だ駄目だ、もうそろそろ我慢出来ないぞ。
「マスター、ごめんね。そろそろシャルル様が限界みたいだから帰ります」
あぁ、アルフィ、キスされたい。
「キス、キスして欲しい」
「えっと、声出てるよ?シャルル様」
「マスターってなにか武道でもやってたの?」
「おや、わかりますか」
「そうなのか?」
聞いたことも無い話だ。マスターは俺が小さい頃からあの家で執事をしてくれていたから、気付いた時からずっと爺さんなのだ。俺の両親である悪徳貴族を、なんとか宥めて煽てて最悪の一歩手前を維持したのは彼の功績以外のなにものでもない。
「ダカストロ家に仕える前は、日夜ダンジョンに潜る冒険者でした」
「足運びが素人じゃないなって思ってたんだ」
「知らなかった。妙な眼力はその時の名残か」
「今はただの年寄りですよ。剣を振るうどころか、酒樽を運ぶのも若者任せです」
そうか、マスターにも若い頃はあったんだよな。
「ダンジョンって言ったら魔物と戦ってたの?」
「ええ、魔族と戦ったこともありますよ」
魔族は魔物と違って知性があって、人間と同じように言葉を喋り、魔法も使える。しかも魔力も筋力も体力も人間の比じゃないからべらぼうに強い。まあ俺が知ってるこの世界の常識ではそんな存在だ。もちろん俺は会ったこともない。
「凄い!魔族と!?勝ったの!?」
「いえいえ、痛み分けです。身体があの日のままなら、今度は彼女と腕試しをしてみたいものです。ふふ」
マスターが遠い目をしている。ふむ、凄い人だったのだな。
「そう言えばアルフィ、勇者宛の手紙ってなんて書いて送ったんだ?」
ふと思い出して何気なくアルフィに聞く。アルフィは俺の隣でモクテルに付いてきたサクランボを食べながら、興味無さげに答える。
「んー?返事?書いてないよ?」
「はっ!?か、書いてない!?」
「うん」
それはまずいだろ。返事がないとなれば、監禁の可能性だって考える。いよいよ勇者が来てしまうぞ!?
「手紙いっぱい来てたんだろ!?あ!あれか!?便箋が無いのか!?それなら!」
「いや、書く気がない」
「なんでだよ!友達だろ!?」
「まあ世間的にはそうなってるけど、実はそんな簡単に説明出来る仲じゃなくてねぇ」
「そ、そうなのか?」
こんな立場でさえなければ、俺にとって勇者は憧れの存在だ。主人公ということもあって、1番感情移入していたキャラでもあったし。特にアルフィとのコンビが好きだったのだが。
「僕、あいつ嫌いなんだよね」
「え?」
「自意識過剰で自信家で、プライド高くて自己中で、まじで最低野郎なんだよ」
そうなの?えぇ、なんか、その、イメージが。
「街のみんなにも迷惑掛けまくってて、それなのに兄さんも父上も勇者だからって優遇して。僕からしたらあんなのただの人格破綻者で犯罪者だよ」
「それでも、その、一緒に旅に出る約束とか」
「えぇ?凄いね、そんな情報どこで手に入るの?」
「やっぱりそうなのか!?」
「あいつが無理矢理そんなこと言ってきてるんだよね。本当に迷惑」
まあアルフィも物語のアルフィとは全然違うし、勇者も違うのだろう。物語の中のクールで頼りになるアルフィも好きだが、今のアルフィはその何倍も好きだ。クールよりエロい方が絶対良い。クールでエロいならともかく。クールでエロい?ふふ、それも良いなぁ。クールでエロいアルフィ。冷たく虐められる俺。
「あの、シャルル様?嬉しいんだけどね、なんでこの話の流れで、そんなエッチな目で僕のこと見てるの?」
「アルフィ様、追加のロソン泉の霊水でございます」
「お、マスターありがとう」
それに見た目も、今のアルフィの方が断然良い。唇、すごいプルプルだ。あれにいつもキスされてるんだと思うと、あぁ、駄目だ駄目だ、もうそろそろ我慢出来ないぞ。
「マスター、ごめんね。そろそろシャルル様が限界みたいだから帰ります」
あぁ、アルフィ、キスされたい。
「キス、キスして欲しい」
「えっと、声出てるよ?シャルル様」
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