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監禁
居なくなったら困るけど
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「アルフィ、その、このままじゃ俺、駄目になってしまいそうで、だから」
今日も今日とてアルフィの説得を試みるが、やはり反応はいまいちだ。
「良いじゃん、駄目になれば。僕が面倒見てあげるよ?どう?それ凄く良くない?」
「いやいや、良くないよ。俺はこの土地の領主だぞ?」
「ええ?全部まとめて面倒見るのに」
出来そうで怖い。
「それに違うんだよ。もう駄目になるのは良いとしてだ。俺が言いたいのは」
いくらアルフィでも、前世の記憶やここが物語の世界だなんて話は信じてはくれないだろう。証拠どころか自分でも確証は無いのだ。じゃあどうやってわかってもらうかというと、うん、全くもって策がない。
「うーん、アルフィがここにいると、俺の立場が危ういんじゃないかって思うんだ」
ああ駄目だ。全く上手く説明出来ん。
「どう言う意味?」
「俺がアルフィを帰さないって思われると、まずいだろ?」
実際はどうとかは関係ない。勇者や子爵が動けば、必ず厄介なことになる。
「えー?それはないでしょ。そもそもこの街に旅行でも行ってこいって言ったの兄さんだし。僕が家でだらだらしてると邪魔だから。まあ出来たら急成長の秘密でも探って来いとは言われたけど。あ!あれだよ?シャルル様に色々聞いてたのは楽しかったからだからね?」
「わかってるよ。あれが演技だとは思わない」
「なんなら兄さんにはなにも教えなくても良いぐらいだよ。人を引き篭もり扱いして」
「え?引き篭もりだったの?」
「兄さんから見たらそう見えたとだけ言っておこう」
「うーん。それでもなかなか返って来なかったら流石に心配するだろ?日程とかは伝えてないのか?」
「何日とは明確に言ってないかな。まあまだ数日だし急ぐような時期じゃないでしょ」
「街へ帰るのにも時間は掛かるだろ?」
「だから帰りたくないんだよね。どうせまた僕すぐに来るんだし。だってもうシャルル様無しじゃ生きていけないよ?」
「むふふ」
「嬉しさが顔に出てるよ、シャルル様。それともなに?シャルル様は僕が居なくなっても良いの?」
「うぅ、それは、その。アルフィが居なくなったら困るけど」
「なのに帰って欲しいの?」
「1回だけ帰って!家の人や街の人間にちゃんと言ってから来て欲しいんだ!」
「いやだからそれはなんか手紙とかで適当に伝えるからさ」
「手紙だけじゃ俺が無理矢理書かせたと思われるかも知れないだろ!?」
「何処の誰か知らない相手ならともかく、伯爵のことをそこまで信用しない程ウチは慎重じゃないって。なんならもし僕が家に帰らないとなれば、真っ先に家出を疑われる程度には僕は信用無いよ?」
「そうなの?いや駄目だ。家出なら探しに来るじゃないか」
「家の人が?そんなに侯爵家が怖いの?いくらバークフォードでもなんの罪もないシャルル様をどうこうしたりは出来ないよ」
そうだろう。常識的に考えてそうなのだ。勇者が現れても子爵が来ても、俺は無実なんだから襲われることはない。だがどうしてもあの物語が気になってしまう。だって俺達の名前も街の名も全て同じなのだ。
「万が一勘違いされたら」
「僕が違うよって言うから」
「あのさ、アルフィが洗脳されてるって勘違いされたりしないかな?」
「洗脳?僕が?」
「うん。もしアルフィの街の人が来て帰りましょうって言ったとして、それでアルフィが帰らないって言ったらさ?お前のせいだ!お前が洗脳したんだ!って俺が責められたりってないかな?」
「いやいや!シャルル様はいつもそんな慎重に、あらゆる可能性を考えて生きてるの!?なんなの!?常に命狙われてるの!?」
「いや!違うんだよ!今回だけ!今回だけは特別!」
「うーん。初めに戻った気もするけど、僕がシャルル様のせいで帰れないって思われると困るって話ね?」
「そうだな。それは非常に困るんだ」
「まあでも、それって事実だし仕方ないよね?」
「うーん。え?」
「だって、シャルル様が僕を離してくれないから帰れないんだし」
「いやいやいやいや!帰れって言ってるだろ!?」
「だーかーら。そんな本当はもっと虐めて欲しいって顔しながら言われても説得力無いって」
「え!?今!?してないよ!そんな顔!」
「え?マジで気付いてないの?シャルル様、僕といる時終始顔緩んでるし、ずっとエッチな目で僕のこと見てるし、てか手離してくれないし」
「手!?手は!そっちが!」
「初めはね?最近はずっとそっちから繋いでくるじゃん?嬉しいけど」
「嘘だろ!?そんなわけない!」
「シャルル様って面白いよねぇ」
何故だ、何故そんな困った顔で笑われるんだ。
「うーん。じゃあさ、勝負しようよ」
「勝負?」
こうして俺達の長い戦いは始まった。
今日も今日とてアルフィの説得を試みるが、やはり反応はいまいちだ。
「良いじゃん、駄目になれば。僕が面倒見てあげるよ?どう?それ凄く良くない?」
「いやいや、良くないよ。俺はこの土地の領主だぞ?」
「ええ?全部まとめて面倒見るのに」
出来そうで怖い。
「それに違うんだよ。もう駄目になるのは良いとしてだ。俺が言いたいのは」
いくらアルフィでも、前世の記憶やここが物語の世界だなんて話は信じてはくれないだろう。証拠どころか自分でも確証は無いのだ。じゃあどうやってわかってもらうかというと、うん、全くもって策がない。
「うーん、アルフィがここにいると、俺の立場が危ういんじゃないかって思うんだ」
ああ駄目だ。全く上手く説明出来ん。
「どう言う意味?」
「俺がアルフィを帰さないって思われると、まずいだろ?」
実際はどうとかは関係ない。勇者や子爵が動けば、必ず厄介なことになる。
「えー?それはないでしょ。そもそもこの街に旅行でも行ってこいって言ったの兄さんだし。僕が家でだらだらしてると邪魔だから。まあ出来たら急成長の秘密でも探って来いとは言われたけど。あ!あれだよ?シャルル様に色々聞いてたのは楽しかったからだからね?」
「わかってるよ。あれが演技だとは思わない」
「なんなら兄さんにはなにも教えなくても良いぐらいだよ。人を引き篭もり扱いして」
「え?引き篭もりだったの?」
「兄さんから見たらそう見えたとだけ言っておこう」
「うーん。それでもなかなか返って来なかったら流石に心配するだろ?日程とかは伝えてないのか?」
「何日とは明確に言ってないかな。まあまだ数日だし急ぐような時期じゃないでしょ」
「街へ帰るのにも時間は掛かるだろ?」
「だから帰りたくないんだよね。どうせまた僕すぐに来るんだし。だってもうシャルル様無しじゃ生きていけないよ?」
「むふふ」
「嬉しさが顔に出てるよ、シャルル様。それともなに?シャルル様は僕が居なくなっても良いの?」
「うぅ、それは、その。アルフィが居なくなったら困るけど」
「なのに帰って欲しいの?」
「1回だけ帰って!家の人や街の人間にちゃんと言ってから来て欲しいんだ!」
「いやだからそれはなんか手紙とかで適当に伝えるからさ」
「手紙だけじゃ俺が無理矢理書かせたと思われるかも知れないだろ!?」
「何処の誰か知らない相手ならともかく、伯爵のことをそこまで信用しない程ウチは慎重じゃないって。なんならもし僕が家に帰らないとなれば、真っ先に家出を疑われる程度には僕は信用無いよ?」
「そうなの?いや駄目だ。家出なら探しに来るじゃないか」
「家の人が?そんなに侯爵家が怖いの?いくらバークフォードでもなんの罪もないシャルル様をどうこうしたりは出来ないよ」
そうだろう。常識的に考えてそうなのだ。勇者が現れても子爵が来ても、俺は無実なんだから襲われることはない。だがどうしてもあの物語が気になってしまう。だって俺達の名前も街の名も全て同じなのだ。
「万が一勘違いされたら」
「僕が違うよって言うから」
「あのさ、アルフィが洗脳されてるって勘違いされたりしないかな?」
「洗脳?僕が?」
「うん。もしアルフィの街の人が来て帰りましょうって言ったとして、それでアルフィが帰らないって言ったらさ?お前のせいだ!お前が洗脳したんだ!って俺が責められたりってないかな?」
「いやいや!シャルル様はいつもそんな慎重に、あらゆる可能性を考えて生きてるの!?なんなの!?常に命狙われてるの!?」
「いや!違うんだよ!今回だけ!今回だけは特別!」
「うーん。初めに戻った気もするけど、僕がシャルル様のせいで帰れないって思われると困るって話ね?」
「そうだな。それは非常に困るんだ」
「まあでも、それって事実だし仕方ないよね?」
「うーん。え?」
「だって、シャルル様が僕を離してくれないから帰れないんだし」
「いやいやいやいや!帰れって言ってるだろ!?」
「だーかーら。そんな本当はもっと虐めて欲しいって顔しながら言われても説得力無いって」
「え!?今!?してないよ!そんな顔!」
「え?マジで気付いてないの?シャルル様、僕といる時終始顔緩んでるし、ずっとエッチな目で僕のこと見てるし、てか手離してくれないし」
「手!?手は!そっちが!」
「初めはね?最近はずっとそっちから繋いでくるじゃん?嬉しいけど」
「嘘だろ!?そんなわけない!」
「シャルル様って面白いよねぇ」
何故だ、何故そんな困った顔で笑われるんだ。
「うーん。じゃあさ、勝負しようよ」
「勝負?」
こうして俺達の長い戦いは始まった。
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