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監禁
一回だけ家に帰ってくれ!
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俺、もう。じゃねえよと気付いたのは、あの後疲れ果てて2人で同じベッドで寝て、朝起きてアルフィの寝顔を見てニヤニヤしていた時だった。
俺とアルフィがどういう関係になろうと当人達だけの問題だが、そもそもこいつはアルフォンソ・ディ・バークフォードなのだ。侯爵家の三男で、時期勇者パーティーのひとり。今の状況は非常にまずいのだ。
だってそうだろう?俺達がどういうつもりかは置いておいて、周りから見たらどう見える?歳若い男が淫乱伯爵にいいようにされていると、誰しもが思うだろう。俺の悪役顔がさらにその誤解に拍車を掛けるのは想像に難しくない。それに、家に全く帰らない現状、これは侯爵家からしたら監禁と捉えられかねない。
ダラダラと嫌な汗が流れてくる。まずいぞ、非常にまずい。今のところあの物語と似た流れになってしまっている。やはり彼には帰って貰わないと。
「ん、うぅ、しゃるるさまぁ」
「可愛い」
はっ!口に出ていた。どうしよう。だがまだ間に合うのでは?そんなことを考えている内に、アルフィが起きて2人で朝食を食べ、俺は普通に仕事へと送り出された。
アルフィは家の掃除をしてくれるらしい。こうして俺が帰る頃、三男とはいえ貴族なのにアルフィはこの広い屋敷を完璧に掃除してみせた。
「凄いな!俺もしっかりやっていたつもりだが、ここまで綺麗に出来たことはなかったぞ!?」
あちこちピカピカだ。爺と2人で年末に大掃除した時でもここまでにはならなかったはずだ。
「ずっと泊めてもらってるんだから、これぐらいしなきゃね?」
「ありがとう、今日はご馳走様を食べようか」
「やった!」
街でも高級な部類に入るレストランでふたり。楽しく会話しながら食事を摂る。
「へえじゃあ街で1番大きい屋敷はシャルル様の家じゃないんだ」
「あんなデカい屋敷は要らんからな。1番大きいのは俺の両親が見栄で作った屋敷だよ」
結局俺はアルフィを受け入れるのか。勇者とか物語とかは別にして、そういう関係として。
「今は誰が住んでるの?」
「今は役所として使ってるよ。元々は俺の実家だからな、好き放題改造させて貰った」
アルフィは良い子だ。性格はもちろん良いし、なにより賢い。話していて楽しいし、落ち着くんだ。
「今住んでる屋敷も豪華だけど」
「狭いだろ?はは」
気兼ねしないで良い相手。それなのにその、凄く魅力的だ。今まで好きになった人と付き合えたことはないが、全て女性だった。自分が男性とそういう関係になるなんて考えてもなかったが。
「まあ貴族が住むには少し狭いかな」
「見栄を張るのも貴族の仕事だからな。だからこそ豪華なデザインや飾りは多くしたつもりさ」
目の前で楽しそうに笑う彼を見て、それが運命だったとしか思えないのだから問題なんてないだろう。少なくともずっと指摘されている通り、俺はアルフィを性的な目で見ている。ああそうだ、見てたさ。ずっと、初めからずっとだ。
「だからか。シャルル様の性格的にああいうのって好きじゃない気がしたんだよね」
「正解だ。本当はワンルームで充分なぐらいだよ」
そんなアルフィを選ぶという選択。そうだな、間違えではないだろう。言葉にしてはいないが、ちゃんと、はっきりさせねばなるまい。
「それならずっと同じ部屋で居られるね」
「はは、アルフィも一緒に住むつもりか?」
一緒に?そうだな、それもありか。アルフィと一緒に住む、ね。
「シャルル様の家なら僕も住むでしょ?ふふ」
「あはは」
ん?なんか忘れて、あ、勇者。
「あ!違う!駄目なんだよ!アルフィ!お願いだ、一回!一回だけ家に帰ってくれ!」
「え?嫌だよ?」
当たり前の顔でそう言うアルフィ。知っていた。何故かこいつ全く帰る気がない。
「また遊びに来ていいから!ちゃんとお兄さんに言って、遊びに行くって言ってからなら!問題ないから!」
「えぇ?兄さん関係ないじゃん?どうしたの?」
「わかった!せめて手紙を書こう!お兄さんに!問題ないって!あと、えっと、あと、仲の良い友達がいるなら、その人にも書くといいぞ!?心配してるから!」
「いやいや、してないって。子供じゃないんだし」
「してるよ!こんな可愛い子がいないと!みんな心配するって!」
俺が叫ぶとアルフィが固まる。いつの間にかアルフィの細い肩を持って接近してしまっていた。
「あ、ごめ」
「シャルル様、誘ってる?」
「ちがっ!なに言ってるんだ!?」
「いいよ?今日も気持ち良くなろうね?」
このままじゃ物語通り勇者が現れて変な誤解をされるかも知れない。だがどうしても、今それを深く考えることが出来ない。何故ならこれから行われる気持ち良いこととはなんなのかが気になって仕方ないからだ!
俺とアルフィがどういう関係になろうと当人達だけの問題だが、そもそもこいつはアルフォンソ・ディ・バークフォードなのだ。侯爵家の三男で、時期勇者パーティーのひとり。今の状況は非常にまずいのだ。
だってそうだろう?俺達がどういうつもりかは置いておいて、周りから見たらどう見える?歳若い男が淫乱伯爵にいいようにされていると、誰しもが思うだろう。俺の悪役顔がさらにその誤解に拍車を掛けるのは想像に難しくない。それに、家に全く帰らない現状、これは侯爵家からしたら監禁と捉えられかねない。
ダラダラと嫌な汗が流れてくる。まずいぞ、非常にまずい。今のところあの物語と似た流れになってしまっている。やはり彼には帰って貰わないと。
「ん、うぅ、しゃるるさまぁ」
「可愛い」
はっ!口に出ていた。どうしよう。だがまだ間に合うのでは?そんなことを考えている内に、アルフィが起きて2人で朝食を食べ、俺は普通に仕事へと送り出された。
アルフィは家の掃除をしてくれるらしい。こうして俺が帰る頃、三男とはいえ貴族なのにアルフィはこの広い屋敷を完璧に掃除してみせた。
「凄いな!俺もしっかりやっていたつもりだが、ここまで綺麗に出来たことはなかったぞ!?」
あちこちピカピカだ。爺と2人で年末に大掃除した時でもここまでにはならなかったはずだ。
「ずっと泊めてもらってるんだから、これぐらいしなきゃね?」
「ありがとう、今日はご馳走様を食べようか」
「やった!」
街でも高級な部類に入るレストランでふたり。楽しく会話しながら食事を摂る。
「へえじゃあ街で1番大きい屋敷はシャルル様の家じゃないんだ」
「あんなデカい屋敷は要らんからな。1番大きいのは俺の両親が見栄で作った屋敷だよ」
結局俺はアルフィを受け入れるのか。勇者とか物語とかは別にして、そういう関係として。
「今は誰が住んでるの?」
「今は役所として使ってるよ。元々は俺の実家だからな、好き放題改造させて貰った」
アルフィは良い子だ。性格はもちろん良いし、なにより賢い。話していて楽しいし、落ち着くんだ。
「今住んでる屋敷も豪華だけど」
「狭いだろ?はは」
気兼ねしないで良い相手。それなのにその、凄く魅力的だ。今まで好きになった人と付き合えたことはないが、全て女性だった。自分が男性とそういう関係になるなんて考えてもなかったが。
「まあ貴族が住むには少し狭いかな」
「見栄を張るのも貴族の仕事だからな。だからこそ豪華なデザインや飾りは多くしたつもりさ」
目の前で楽しそうに笑う彼を見て、それが運命だったとしか思えないのだから問題なんてないだろう。少なくともずっと指摘されている通り、俺はアルフィを性的な目で見ている。ああそうだ、見てたさ。ずっと、初めからずっとだ。
「だからか。シャルル様の性格的にああいうのって好きじゃない気がしたんだよね」
「正解だ。本当はワンルームで充分なぐらいだよ」
そんなアルフィを選ぶという選択。そうだな、間違えではないだろう。言葉にしてはいないが、ちゃんと、はっきりさせねばなるまい。
「それならずっと同じ部屋で居られるね」
「はは、アルフィも一緒に住むつもりか?」
一緒に?そうだな、それもありか。アルフィと一緒に住む、ね。
「シャルル様の家なら僕も住むでしょ?ふふ」
「あはは」
ん?なんか忘れて、あ、勇者。
「あ!違う!駄目なんだよ!アルフィ!お願いだ、一回!一回だけ家に帰ってくれ!」
「え?嫌だよ?」
当たり前の顔でそう言うアルフィ。知っていた。何故かこいつ全く帰る気がない。
「また遊びに来ていいから!ちゃんとお兄さんに言って、遊びに行くって言ってからなら!問題ないから!」
「えぇ?兄さん関係ないじゃん?どうしたの?」
「わかった!せめて手紙を書こう!お兄さんに!問題ないって!あと、えっと、あと、仲の良い友達がいるなら、その人にも書くといいぞ!?心配してるから!」
「いやいや、してないって。子供じゃないんだし」
「してるよ!こんな可愛い子がいないと!みんな心配するって!」
俺が叫ぶとアルフィが固まる。いつの間にかアルフィの細い肩を持って接近してしまっていた。
「あ、ごめ」
「シャルル様、誘ってる?」
「ちがっ!なに言ってるんだ!?」
「いいよ?今日も気持ち良くなろうね?」
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