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監禁
本当に好きな人とやるべきだ
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昨夜のことが理解出来ずに、結局朝まで寝れなかった俺は、ドキドキしながら朝食の席でアルフィを待つ。夜と違ってメイドが来ているので少しだけ気分が楽だ。
「おっはよぉ、シャルル様」
「あ、あぁ、お、おはよう」
今日のアルフィは白いシャツに仕立ての良い黒のベスト。無難だが顔が良いからこそ更に似合う定番。そんなアルフィは昨日のことなどなにもなかったように、ころころと笑いながら楽しそうに今日の予定を話す。
そして食後から俺達はまた街へ出た。前世の記憶を活かした画期的な街作り!と言えるような物は無いが、自分や民が頑張って作った街。なんの変哲もないただ大きいだけの木を飾って、伝説の木として街おこしに使ったり、街の名産品であるカストレモンをキャラクター化したカスモンくん人形を作ったりと、まあどこでもやってそうな努力をしっかりとやってきた。
「カスモンくんは地底人で仲間は全員地底に居るんだけど、カストレモンの良い香りに釣られて地上に出てきて帰れなくなったんだ」
「あ、カスモンくんは自分の意思でここに居るんじゃないんだ」
「本当は故郷に帰りたいという哀愁を背負ったキャラクターなんだよ」
「無性に応援したくなるね!」
「そうだろ!?流石アルフィ!わかってくれるか!今じゃ子供のお土産ってだけじゃなく、大人のファンも付くようになってるんだ!」
「僕も自分の街で見たことあるもん。カスモンくんグッズ持ってる人」
「そうか!?あの大都会で!?ほおお!」
「カストは本当今有名だからね。旅行で行くならカスト一択!だから僕も楽しみだったんだ!」
ああもうなんて良い子なんだ。
「この周辺の魔物は弱いし、治安も悪くないからね。旅行客を増やそうっていう考えはとても理に適ってる」
「とは言っても誰でも簡単に街を行き来出来るわけじゃないからな。今のところは近場の街からの客を中心にやってるよ」
金持ちや冒険者、旅の行商などの例外はあるが、一般人の行動範囲なんて、この世界では隣街が限度だ。街と街の間には危険がいっぱいだからな。
「でもそれじゃあいつか限界が来るんじゃない?」
「そうだな。来てくれる客に限りがあるんじゃ、飽きられたら終わりだ。だから手を変え品を変え、飽きられない街作りをしていかないといけない。後は大手の組合と、まあ、そのあれだ、力を貸して貰ったりも検討しているよ」
危ない危ない。カストと他の街を結ぶ馬車を定期便にして、コストを抑えて安く運行するプランは、流石に他の街の貴族にはまだ聞かせられない。アルフィにはなんでも話してしまいそうになるから気を付けないと。本当、悪いことしてたら一瞬でバレてたぞ。
「なになに?怪しいなぁ。悪いことでもしてるの?」
「ぶほっ!?とんでもない!してない!悪ことなんてしてないぞ!?」
「あはは!嘘だよ!シャルル様が悪いことなんてするわけないよね」
「もちろんだ!」
忘れるなよ。アルフィは良い子だが、疑われたらまずいんだ。それ以降もたまに慌てながら色んなスポットを紹介し、自慢の技術を説明する。それは昨日と同様に楽しいのだが、どうしても昨日の夜のアルフィの表情が頭を過ぎる。
「あ!隠れカスモン!これ面白いね!」
喋るアルフィの口に自然に目がいってしまう。柔らかそうな唇。たまにチラッと見える舌。あの感触が、熱が、音が、俺の中で何度も巡る。
「あれは?違うかなぁ」
ギュッと握ったこの手は、昨日なにをしていたんだろうか。ズボンの中で、アルフィのこの手が、俺のこの手を、その口で咥えて。
「ねえ、シャルル様」
「おっ!?おおおう!な、なんだ?」
目の前に立っていたアルフィが、クスクスと笑っている。そして手でひょいひょいと合図をして俺をしゃがませる。アルフィの顔が俺の顔と同じ高さに来た時、俺はいったいなにを期待していたのか。緊張する俺の耳元に、内緒話をするような格好で手を当てたアルフィは、さっきまでの明るさが嘘みたいな冷たい声を出した。
「そんな目で見られてたら興奮しちゃうよ」
「ふ、ふぅぅ」
右手で顔を押さえて深呼吸する。駄目だ、これは、なんか駄目だ。
「あ、アルフィ。あのな?君は若いから遊びたい盛りなのはわかる。だがあまり自分を安売りしてはいけないよ?そういうことは、本当に好きな人とやるべきだ」
流されるな。俺は大人だ、35歳。前世と合わせたら精神はもう高齢者だ。落ち着け、俺。なに、相手はまだ子供だ。大人を揶揄って遊ぶ子供と同じレベルで対応してどうする。
「君が本当に愛する人が出来る時まで取っておきなさい。その方が楽しみが増すから」
「ふーん」
ニヤニヤしながら、それでもうんうんと頷くアルフィ。素直で賢い子だ。しっかり大人の対応をすればわかってくれた。昨日のような関係は健全じゃない。特に若い貴族の同性とするのは問題だ。スキャンダルにも程がある。
こうしてその後は無事に1日を終え、アルフィは今夜も我が家で宿泊することになった。
「おっはよぉ、シャルル様」
「あ、あぁ、お、おはよう」
今日のアルフィは白いシャツに仕立ての良い黒のベスト。無難だが顔が良いからこそ更に似合う定番。そんなアルフィは昨日のことなどなにもなかったように、ころころと笑いながら楽しそうに今日の予定を話す。
そして食後から俺達はまた街へ出た。前世の記憶を活かした画期的な街作り!と言えるような物は無いが、自分や民が頑張って作った街。なんの変哲もないただ大きいだけの木を飾って、伝説の木として街おこしに使ったり、街の名産品であるカストレモンをキャラクター化したカスモンくん人形を作ったりと、まあどこでもやってそうな努力をしっかりとやってきた。
「カスモンくんは地底人で仲間は全員地底に居るんだけど、カストレモンの良い香りに釣られて地上に出てきて帰れなくなったんだ」
「あ、カスモンくんは自分の意思でここに居るんじゃないんだ」
「本当は故郷に帰りたいという哀愁を背負ったキャラクターなんだよ」
「無性に応援したくなるね!」
「そうだろ!?流石アルフィ!わかってくれるか!今じゃ子供のお土産ってだけじゃなく、大人のファンも付くようになってるんだ!」
「僕も自分の街で見たことあるもん。カスモンくんグッズ持ってる人」
「そうか!?あの大都会で!?ほおお!」
「カストは本当今有名だからね。旅行で行くならカスト一択!だから僕も楽しみだったんだ!」
ああもうなんて良い子なんだ。
「この周辺の魔物は弱いし、治安も悪くないからね。旅行客を増やそうっていう考えはとても理に適ってる」
「とは言っても誰でも簡単に街を行き来出来るわけじゃないからな。今のところは近場の街からの客を中心にやってるよ」
金持ちや冒険者、旅の行商などの例外はあるが、一般人の行動範囲なんて、この世界では隣街が限度だ。街と街の間には危険がいっぱいだからな。
「でもそれじゃあいつか限界が来るんじゃない?」
「そうだな。来てくれる客に限りがあるんじゃ、飽きられたら終わりだ。だから手を変え品を変え、飽きられない街作りをしていかないといけない。後は大手の組合と、まあ、そのあれだ、力を貸して貰ったりも検討しているよ」
危ない危ない。カストと他の街を結ぶ馬車を定期便にして、コストを抑えて安く運行するプランは、流石に他の街の貴族にはまだ聞かせられない。アルフィにはなんでも話してしまいそうになるから気を付けないと。本当、悪いことしてたら一瞬でバレてたぞ。
「なになに?怪しいなぁ。悪いことでもしてるの?」
「ぶほっ!?とんでもない!してない!悪ことなんてしてないぞ!?」
「あはは!嘘だよ!シャルル様が悪いことなんてするわけないよね」
「もちろんだ!」
忘れるなよ。アルフィは良い子だが、疑われたらまずいんだ。それ以降もたまに慌てながら色んなスポットを紹介し、自慢の技術を説明する。それは昨日と同様に楽しいのだが、どうしても昨日の夜のアルフィの表情が頭を過ぎる。
「あ!隠れカスモン!これ面白いね!」
喋るアルフィの口に自然に目がいってしまう。柔らかそうな唇。たまにチラッと見える舌。あの感触が、熱が、音が、俺の中で何度も巡る。
「あれは?違うかなぁ」
ギュッと握ったこの手は、昨日なにをしていたんだろうか。ズボンの中で、アルフィのこの手が、俺のこの手を、その口で咥えて。
「ねえ、シャルル様」
「おっ!?おおおう!な、なんだ?」
目の前に立っていたアルフィが、クスクスと笑っている。そして手でひょいひょいと合図をして俺をしゃがませる。アルフィの顔が俺の顔と同じ高さに来た時、俺はいったいなにを期待していたのか。緊張する俺の耳元に、内緒話をするような格好で手を当てたアルフィは、さっきまでの明るさが嘘みたいな冷たい声を出した。
「そんな目で見られてたら興奮しちゃうよ」
「ふ、ふぅぅ」
右手で顔を押さえて深呼吸する。駄目だ、これは、なんか駄目だ。
「あ、アルフィ。あのな?君は若いから遊びたい盛りなのはわかる。だがあまり自分を安売りしてはいけないよ?そういうことは、本当に好きな人とやるべきだ」
流されるな。俺は大人だ、35歳。前世と合わせたら精神はもう高齢者だ。落ち着け、俺。なに、相手はまだ子供だ。大人を揶揄って遊ぶ子供と同じレベルで対応してどうする。
「君が本当に愛する人が出来る時まで取っておきなさい。その方が楽しみが増すから」
「ふーん」
ニヤニヤしながら、それでもうんうんと頷くアルフィ。素直で賢い子だ。しっかり大人の対応をすればわかってくれた。昨日のような関係は健全じゃない。特に若い貴族の同性とするのは問題だ。スキャンダルにも程がある。
こうしてその後は無事に1日を終え、アルフィは今夜も我が家で宿泊することになった。
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