【完結】ハードな甘とろ調教でイチャラブ洗脳されたいから悪役貴族にはなりたくないが勇者と戦おうと思う

転生

勇者の軌跡

　とある侯爵が統治する街に住む少年。類稀なる剣の才能と膨大な魔力を持っていた彼は、幼くして女神から勇者として洗礼を受け、いつか復活すると云われている魔王と戦う宿命を背負っていた。
　少年は厳しい修行に耐えて強く逞しく育っていく。そしてその周りには同じく強い意志と力を持った仲間が自然と集まっていった。勇者のスポンサーである侯爵家、その三男である、アルフォンソ・ディ・バークフォードもその1人だ。勇者の幼馴染であり、共に旅に出たいという夢を持っていた彼は、勇者と共に訓練に励み頼れる魔道士へと成長していく。

　19歳になったアルフォンソは、侯爵家長男であり子爵である兄フィデロの指示で、最近怪しい動きをしていると噂の伯爵領地の視察という仕事を命じられた。しかし視察先で領主である伯爵、シャルル・ダカストロに監禁される。
　どういうつもりだと騒ぐアルフォンソに対し、いやらしい笑みを漏らす醜く肥えた伯爵は、太い指を鳴らして魔族を召喚する。民を虐げて私服を肥やし、さらには魔族とまで契約して自身の力を誇示するダカストロは、その魔族に唆されて勇者の親友であるアルフォンソを洗脳し、魔族のスパイにしようとしていたのだ。

　伯爵により監禁されて洗脳されていくアルフォンソ。そんな時帰りが遅いのを心配した勇者が伯爵領地を訪れる。焦ったダカストロは洗脳したアルフォンソ自身に無事を報告させるが、勇者はすぐに様子がおかしいことに気付く。
　アルフォンソを奪還しようと試みる勇者だったが、ダカストロの抵抗により失敗に終わる。力不足を嘆く勇者は一度自身の街へ逃げ帰ってフィデロに協力を頼み、共にダカストロへ再戦を挑む。
　死闘の末に魔族の介入によってフィデロが殺害され、勇者は伯爵とアルフォンソの証言によってその犯人に仕立て上げられて国を追われる。その後勇者の離反と息子の死によってショックを受けた侯爵は体調を崩し、アルフォンソが侯爵の座を継ぐこととなる。

　スパイにする作戦は失敗したが、ダカストロは洗脳して言いなりになったアルフォンソを使って、広大な侯爵領地を意のままに操れるようになった。更には勇者の信用を失墜させた功績で魔族にも多大な恩を売った彼は、ますます増長し多くの民を虐げて酒池肉林を楽しんだ。
　こうしてかつて繁栄した侯爵領地は、ダカストロによって徐々に衰退していく。勇者は消えて国は衰え、世界は魔族の都合の良い物へと変わっていった。

　国を追われて人知れず旅に出ていた勇者が、行く先々で問題を解決しながら強くなり、遂には悪役貴族であるダカストロを倒して親友と信頼を取り戻し、最後は魔王を倒す。
　その物語はそんな王道とも言える勇者の冒険譚だった。