4 / 163
第1章 果ての世界のマイナスナイフ
第3話 マイナスナイフ
しおりを挟む
「違うよオルファさんっ。天恵試験紙をもらいにきただけ、魔物なんて出てないよ!」
「——へ? ああ、なんだ……そうなんですか。あたしてっきり、村が襲われたのかと」
「相変わらず天然ですね、オルファさん……魔物なんてずっと見てないじゃないですか。こんな大陸の端っこにある村に来る物好きな魔物もいませんよ」
「む、それはあたしの魔物避けの聖水の効果もあるはずなのですがっ」
「ふふ。それにイドラ君、そうは言ってるけれど、三日前ワタシが村に来た時は当初、魔物かと思って慌てふためいてたじゃないか」
「う……それは……」
気付かれていたらしい。オルファのいつもの天然を笑おうとしたイドラだったが、思わぬウラシマの指摘に赤面する。
「あはは、お二人はもう仲良しさんなんですね。それでは少しだけ待っててください、すぐに部屋から試験紙を一枚持ってきます」
「……お願いします」
「どうもありがとう、シスター・オルファ」
「いえいえー、これがアサインドシスターズの役目ですから!」
花壇を囲う赤褐色のレンガの上に水差しを置くと、オルファはぱたぱたと家の中へと駆けていった。
「愉快なひとだね。少し抜けてるところもあるみたいだけれど」
「……そうですね」
「それともやっぱり、男の子としてはああいう、かわいらしい女性の方が子のみなのかな? ねえ、イドラ君としてはどうなの?」
「知りません、これ以上からかわないでください」
「あらら。嫌われちゃった」
「…………まあ、先生とはちょっとタイプの違う人だとは思う」
花壇で綺麗に咲くオレンジ色の花を眺めながら、二人で待つことしばし。入っていった時と同じように、ぱたぱたとオルファがドアから出てきた。
「お待たせしましたっ! 天恵試験紙と、血を出すためのナイフです。気を付けてくださいね」
「うん。でも大丈夫だよ、三年前もやったんですし」
「そういえば……あたしがこの村に着任してすぐでしたね、イドラくんが十歳を迎えて空からギフトを授かったのは。まだ三年、いえ、もう三年……あれ? じゃあなんでまた試験紙を使うんですかー? ギフトは持ち主といっしょに成長することはありますけど、パラメータは変わりませんよ?」
「知ってるよ。ウラシマ先生が僕のギフトのことを知りたいって言うんだ」
「先生? むむ、なんだかお二人の関係が気になってきましたね……」
緑の瞳にじとっと見つめられるのを意図的に無視しながら、イドラはごわごわとした紙と小さな銀色のナイフを受け取る。天恵試験紙は一見なにも書かれていない、ただのメモ用紙サイズのパピルスでしかないが、これにも教会特製の聖水が染み込まされている。
血を付着させることで、その人間が持つギフトの詳細を暴き出すのだ。神に名付けられたとされる絶対の名称と、二度とは変動しない数値を出力して。
なお、ギフトを手にしていない十歳未満の人間の場合はなにも起こらない。
「じゃ、見ててね先生」
「わかった。切りすぎないようにね」
「先生まで心配性だなあ。……そりゃあ、僕のギフトのナイフよりは、こっちの方が危ないんだけどさ」
イドラは今年で既に十三歳の誕生日を迎えている。その身に授かったギフトは、マイナスナイフ。
それは今は腰のケースに仕舞ったまま、普通のナイフで指先を浅く刺す。チクっとした痛みの後に、傷口から赤い血が玉のようにぷくっと現れた。ナイフをオルファに返し、指先の血をぐっと天恵試験紙のごわっとした表面に押し付け——
「……!」
——パピルスの表面に、その天恵の名と数値が記される。聖水は正しく作用した。
そこには、三年前とまったく同じように、こう書かれていた。
・マイナスナイフ
ATK:-65535/DEF:0/INT:0/RES:0/RARITY:1
ギフトのパラメータ。天恵試験紙は、固有の能力まではわからないものの、その人間のギフトが持つポテンシャルを数値化させることができた。
しかし、この数値は——
ウラシマは息を呑み、数秒なにも言わなかった。
言えなかったのだ。イドラのマイナスナイフは端的に言って、異常なギフトだ。数値の上でもそれがはっきりと表れている。
「相変わらず、レアリティだけは高いんだけどなぁ。ATKも、数字自体はおっきいのに……なんでなんにも切れないんだろう。おかしいなあ」
その形状の特性などから、DEFやINT、特にRESが0なのはよくあることだ。ATKが0のギフトも数多く存在する。
だがレアリティは低ければ低いほど珍しい。1は、最低値だった。
大陸中、いや、世界中を探してももう一人いるかどうか。百年に一人生まれ落ちるかどうか、そんなレベルだ。普通に考えればイドラ以外に存在しない。
だが、それよりもありえないのは。
「マイナス……マイナスだ、これは」
「え?」
「ATKの隣にある横棒。まさかとは思ったけれど……マイナス記号だ。こんなものが、パラメータに付くことがあるのか……? 信じられない——しかし、天恵試験紙は決して嘘をつかない」
「その、マイナス記号ってなんなんですか? 先生。マイナスナイフっていう名前もよくわからなくて」
「マイナスは、ゼロよりも小さいってことだ。キミのナイフがなにも切れない理由がわかった。イドラ君のギフトは、負の数を帯びている」
「ゼロよりも……小さい? ゼロって、なんにもないってことですよね? それより小さい…………??」
イドラの頭は瞬時にして綿あめのごとくこんがらがった。
金持ちの貴族でもなし、学校に通ったことのない十三歳の少年にその概念は難解すぎた。
なにも置かれていないテーブルに、果物を置くことはできる。しかし、なにも置かれていないテーブルから、果物をどけることはできない。
なにもないゼロの状態から、なにかを増やすことはできても、なにかを減らすことなどできるはずがない……。
「? なんだかよくわかりませんけど、レアリティが1なのはすごいですよねー」
オルファもさっぱりわかっていなかった。そもそも深く考えていなかった。ぶっちゃけ興味もなかった。
「イドラ君。キミはマイナスナイフで自分を切ったことはある?」
「自分を? いや……たぶん切れないとは思うけど、一応刃物だから怖くて」
「気持ちはわかる。けど、今傷つけた指先、ちょっとだけ切ってみてくれないかな。キミのマイナスナイフで」
「うぇ、傷口を? ……せ、先生がそう言うなら」
ケースから今度はギフトのナイフを引き抜く。先のそれと刃渡りこそそう変わらないが、刀身はまるで水晶のような透き通る青の色を湛えている。
その水晶の刃先を、まだじわりと血を漏らす指先へあてがう。
傷口の上から、さらに傷を重ねる形になる。
しかしそうはならないことをイドラは既に知っている。三年間付き合った、自分のギフトのことだ。
マイナスナイフとはなにも切れない短剣の名。紙も石も傷つけられない、魔物退治や旅の役には決して立たぬ、無能の刃。
さっきだって、木の幹を斬りつけてもまったくその跡は残らなかった。
少なくとも見た目上は刃物だし、切っ先は尖ってもいるので、わざわざ自分を切ろうとしたことはないが。仮に、思いっきり力を込めて手のひらに突き刺そうとも、そこから血の一滴も出ることはないだろう。
——そう思っていたのに。
「痛っ」
そこには、さっきと同様、かすかに走る痛みがあった。
マイナスナイフはなにも切れない、なにも傷つけられないはず。疑問に思いイドラは自身の手に目を落とすと、その指先にはやはり傷ひとつなかった。
(傷ひとつ……あれ? 天恵試験紙を使うための傷口も消えてる?)
奇怪な現象だった。
マイナスナイフは新たに傷口を作らなかった。が、それだけではない。先に出来た、通常のナイフで切った傷がきれいさっぱり消失している。
「傷が消えた……!」
顔を近づけてまじまじと見ても、皮膚には傷のあった痕跡さえない。
傷があったという証拠は、傷口にあてがった際に付着したらしい、切っ先に残ったごくわずかな血液のみ。
「わー、こんなことできたんですね、イドラくんのギフト。傷を治す能力ですか? 便利そうです、いいなぁ」
「いや、これはきっと……ともすればこのギフトなら……マイナスの力でなら、ワタシの旅は——」
「すごい、僕のギフトは役立たずなんかじゃなかったんだ……! ありがとう先生っ、こんなのまるで思いつかなかった! やっぱり先生はすごいや!」
「——ん、あぁ……ううん、すごいのはイドラ君のギフトだよ」
イドラはウラシマの手を取り、無意味にぴょんぴょんとジャンプする。
そのくらい、はしゃぎたくなる出来事だった。なにせまったく無意味で役に立たないと思っていたギフトには、明確な使い道があった。
傷を治す。
自分のことにしか使えないのか。他人の傷も治せるのか。物に対してはどうか。動物は。治せる程度は。
わからないことの方がまだまだ多い。こればかりは天恵試験紙でもわからない。自分で、色々と試してみなければならない。
その課題が、イドラにはたまらなく嬉しかった。
三年間、なんの役にも立たない代物だと思い込んでいたのだ。実際のところ、自分の簡単な傷しか治せないとなれば、使い道はそうないのかもしれないが……それでもなにひとつ用途がないのとでは大きな違いだ。可能性を模索できる、試せることがあるというだけで胸が弾むような想いだった。
可能性を示してくれた、先生と慕う彼女を見上げる。強い信頼を込めた視線に、ウラシマは普段通りの温和な表情で頷く。
「キミのナイフは決してハズレなんかじゃない。人の……世の役に立つものだよ、それは。本当に。ザコギフトだなんて、そんなことは絶対にない」
言い切るウラシマの瞳の奥には、イドラの彼女に対する信頼よりもなお強く輝くような、真っ赤な意志の炎が燃えていた。
「——へ? ああ、なんだ……そうなんですか。あたしてっきり、村が襲われたのかと」
「相変わらず天然ですね、オルファさん……魔物なんてずっと見てないじゃないですか。こんな大陸の端っこにある村に来る物好きな魔物もいませんよ」
「む、それはあたしの魔物避けの聖水の効果もあるはずなのですがっ」
「ふふ。それにイドラ君、そうは言ってるけれど、三日前ワタシが村に来た時は当初、魔物かと思って慌てふためいてたじゃないか」
「う……それは……」
気付かれていたらしい。オルファのいつもの天然を笑おうとしたイドラだったが、思わぬウラシマの指摘に赤面する。
「あはは、お二人はもう仲良しさんなんですね。それでは少しだけ待っててください、すぐに部屋から試験紙を一枚持ってきます」
「……お願いします」
「どうもありがとう、シスター・オルファ」
「いえいえー、これがアサインドシスターズの役目ですから!」
花壇を囲う赤褐色のレンガの上に水差しを置くと、オルファはぱたぱたと家の中へと駆けていった。
「愉快なひとだね。少し抜けてるところもあるみたいだけれど」
「……そうですね」
「それともやっぱり、男の子としてはああいう、かわいらしい女性の方が子のみなのかな? ねえ、イドラ君としてはどうなの?」
「知りません、これ以上からかわないでください」
「あらら。嫌われちゃった」
「…………まあ、先生とはちょっとタイプの違う人だとは思う」
花壇で綺麗に咲くオレンジ色の花を眺めながら、二人で待つことしばし。入っていった時と同じように、ぱたぱたとオルファがドアから出てきた。
「お待たせしましたっ! 天恵試験紙と、血を出すためのナイフです。気を付けてくださいね」
「うん。でも大丈夫だよ、三年前もやったんですし」
「そういえば……あたしがこの村に着任してすぐでしたね、イドラくんが十歳を迎えて空からギフトを授かったのは。まだ三年、いえ、もう三年……あれ? じゃあなんでまた試験紙を使うんですかー? ギフトは持ち主といっしょに成長することはありますけど、パラメータは変わりませんよ?」
「知ってるよ。ウラシマ先生が僕のギフトのことを知りたいって言うんだ」
「先生? むむ、なんだかお二人の関係が気になってきましたね……」
緑の瞳にじとっと見つめられるのを意図的に無視しながら、イドラはごわごわとした紙と小さな銀色のナイフを受け取る。天恵試験紙は一見なにも書かれていない、ただのメモ用紙サイズのパピルスでしかないが、これにも教会特製の聖水が染み込まされている。
血を付着させることで、その人間が持つギフトの詳細を暴き出すのだ。神に名付けられたとされる絶対の名称と、二度とは変動しない数値を出力して。
なお、ギフトを手にしていない十歳未満の人間の場合はなにも起こらない。
「じゃ、見ててね先生」
「わかった。切りすぎないようにね」
「先生まで心配性だなあ。……そりゃあ、僕のギフトのナイフよりは、こっちの方が危ないんだけどさ」
イドラは今年で既に十三歳の誕生日を迎えている。その身に授かったギフトは、マイナスナイフ。
それは今は腰のケースに仕舞ったまま、普通のナイフで指先を浅く刺す。チクっとした痛みの後に、傷口から赤い血が玉のようにぷくっと現れた。ナイフをオルファに返し、指先の血をぐっと天恵試験紙のごわっとした表面に押し付け——
「……!」
——パピルスの表面に、その天恵の名と数値が記される。聖水は正しく作用した。
そこには、三年前とまったく同じように、こう書かれていた。
・マイナスナイフ
ATK:-65535/DEF:0/INT:0/RES:0/RARITY:1
ギフトのパラメータ。天恵試験紙は、固有の能力まではわからないものの、その人間のギフトが持つポテンシャルを数値化させることができた。
しかし、この数値は——
ウラシマは息を呑み、数秒なにも言わなかった。
言えなかったのだ。イドラのマイナスナイフは端的に言って、異常なギフトだ。数値の上でもそれがはっきりと表れている。
「相変わらず、レアリティだけは高いんだけどなぁ。ATKも、数字自体はおっきいのに……なんでなんにも切れないんだろう。おかしいなあ」
その形状の特性などから、DEFやINT、特にRESが0なのはよくあることだ。ATKが0のギフトも数多く存在する。
だがレアリティは低ければ低いほど珍しい。1は、最低値だった。
大陸中、いや、世界中を探してももう一人いるかどうか。百年に一人生まれ落ちるかどうか、そんなレベルだ。普通に考えればイドラ以外に存在しない。
だが、それよりもありえないのは。
「マイナス……マイナスだ、これは」
「え?」
「ATKの隣にある横棒。まさかとは思ったけれど……マイナス記号だ。こんなものが、パラメータに付くことがあるのか……? 信じられない——しかし、天恵試験紙は決して嘘をつかない」
「その、マイナス記号ってなんなんですか? 先生。マイナスナイフっていう名前もよくわからなくて」
「マイナスは、ゼロよりも小さいってことだ。キミのナイフがなにも切れない理由がわかった。イドラ君のギフトは、負の数を帯びている」
「ゼロよりも……小さい? ゼロって、なんにもないってことですよね? それより小さい…………??」
イドラの頭は瞬時にして綿あめのごとくこんがらがった。
金持ちの貴族でもなし、学校に通ったことのない十三歳の少年にその概念は難解すぎた。
なにも置かれていないテーブルに、果物を置くことはできる。しかし、なにも置かれていないテーブルから、果物をどけることはできない。
なにもないゼロの状態から、なにかを増やすことはできても、なにかを減らすことなどできるはずがない……。
「? なんだかよくわかりませんけど、レアリティが1なのはすごいですよねー」
オルファもさっぱりわかっていなかった。そもそも深く考えていなかった。ぶっちゃけ興味もなかった。
「イドラ君。キミはマイナスナイフで自分を切ったことはある?」
「自分を? いや……たぶん切れないとは思うけど、一応刃物だから怖くて」
「気持ちはわかる。けど、今傷つけた指先、ちょっとだけ切ってみてくれないかな。キミのマイナスナイフで」
「うぇ、傷口を? ……せ、先生がそう言うなら」
ケースから今度はギフトのナイフを引き抜く。先のそれと刃渡りこそそう変わらないが、刀身はまるで水晶のような透き通る青の色を湛えている。
その水晶の刃先を、まだじわりと血を漏らす指先へあてがう。
傷口の上から、さらに傷を重ねる形になる。
しかしそうはならないことをイドラは既に知っている。三年間付き合った、自分のギフトのことだ。
マイナスナイフとはなにも切れない短剣の名。紙も石も傷つけられない、魔物退治や旅の役には決して立たぬ、無能の刃。
さっきだって、木の幹を斬りつけてもまったくその跡は残らなかった。
少なくとも見た目上は刃物だし、切っ先は尖ってもいるので、わざわざ自分を切ろうとしたことはないが。仮に、思いっきり力を込めて手のひらに突き刺そうとも、そこから血の一滴も出ることはないだろう。
——そう思っていたのに。
「痛っ」
そこには、さっきと同様、かすかに走る痛みがあった。
マイナスナイフはなにも切れない、なにも傷つけられないはず。疑問に思いイドラは自身の手に目を落とすと、その指先にはやはり傷ひとつなかった。
(傷ひとつ……あれ? 天恵試験紙を使うための傷口も消えてる?)
奇怪な現象だった。
マイナスナイフは新たに傷口を作らなかった。が、それだけではない。先に出来た、通常のナイフで切った傷がきれいさっぱり消失している。
「傷が消えた……!」
顔を近づけてまじまじと見ても、皮膚には傷のあった痕跡さえない。
傷があったという証拠は、傷口にあてがった際に付着したらしい、切っ先に残ったごくわずかな血液のみ。
「わー、こんなことできたんですね、イドラくんのギフト。傷を治す能力ですか? 便利そうです、いいなぁ」
「いや、これはきっと……ともすればこのギフトなら……マイナスの力でなら、ワタシの旅は——」
「すごい、僕のギフトは役立たずなんかじゃなかったんだ……! ありがとう先生っ、こんなのまるで思いつかなかった! やっぱり先生はすごいや!」
「——ん、あぁ……ううん、すごいのはイドラ君のギフトだよ」
イドラはウラシマの手を取り、無意味にぴょんぴょんとジャンプする。
そのくらい、はしゃぎたくなる出来事だった。なにせまったく無意味で役に立たないと思っていたギフトには、明確な使い道があった。
傷を治す。
自分のことにしか使えないのか。他人の傷も治せるのか。物に対してはどうか。動物は。治せる程度は。
わからないことの方がまだまだ多い。こればかりは天恵試験紙でもわからない。自分で、色々と試してみなければならない。
その課題が、イドラにはたまらなく嬉しかった。
三年間、なんの役にも立たない代物だと思い込んでいたのだ。実際のところ、自分の簡単な傷しか治せないとなれば、使い道はそうないのかもしれないが……それでもなにひとつ用途がないのとでは大きな違いだ。可能性を模索できる、試せることがあるというだけで胸が弾むような想いだった。
可能性を示してくれた、先生と慕う彼女を見上げる。強い信頼を込めた視線に、ウラシマは普段通りの温和な表情で頷く。
「キミのナイフは決してハズレなんかじゃない。人の……世の役に立つものだよ、それは。本当に。ザコギフトだなんて、そんなことは絶対にない」
言い切るウラシマの瞳の奥には、イドラの彼女に対する信頼よりもなお強く輝くような、真っ赤な意志の炎が燃えていた。
0
お気に入りに追加
12
あなたにおすすめの小説
可愛くない私に価値はない、でしたよね。なのに今さらなんですか?
りんりん
恋愛
公爵令嬢のオリビアは婚約者の王太子ヒョイから、突然婚約破棄を告げられる。
オリビアの妹マリーが身ごもったので、婚約者をいれかえるためにだ。
前代未聞の非常識な出来事なのに妹の肩をもつ両親にあきれて、オリビアは愛犬のシロと共に邸をでてゆく。
「勝手にしろ! 可愛くないオマエにはなんの価値もないからな」
「頼まれても引きとめるもんですか!」
両親の酷い言葉を背中に浴びながら。
行くあてもなく町をさまようオリビアは異国の王子と遭遇する。
王子に誘われ邸へいくと、そこには神秘的な美少女ルネがいてオリビアを歓迎してくれた。
話を聞けばルネは学園でマリーに虐められているという。
それを知ったオリビアは「ミスキャンパスコンテスト」で優勝候補のマリーでなく、ルネを優勝さそうと
奮闘する。
レディース異世界満喫禄
日の丸
ファンタジー
〇城県のレディース輝夜の総長篠原連は18才で死んでしまう。
その死に方があまりな死に方だったので運命神の1人に異世界におくられることに。
その世界で出会う仲間と様々な体験をたのしむ!!
婚約破棄と領地追放?分かりました、わたしがいなくなった後はせいぜい頑張ってくださいな
カド
ファンタジー
生活の基本から領地経営まで、ほぼ全てを魔石の力に頼ってる世界
魔石の浄化には三日三晩の時間が必要で、この領地ではそれを全部貴族令嬢の主人公が一人でこなしていた
「で、そのわたしを婚約破棄で領地追放なんですね?
それじゃ出ていくから、せいぜいこれからは魔石も頑張って作ってくださいね!」
小さい頃から搾取され続けてきた主人公は 追放=自由と気付く
塔から出た途端、暴走する力に悩まされながらも、幼い時にもらった助言を元に中央の大教会へと向かう
一方で愛玩され続けてきた妹は、今まで通り好きなだけ魔石を使用していくが……
◇◇◇
親による虐待、明確なきょうだい間での差別の描写があります
(『嫌なら読むな』ではなく、『辛い気持ちになりそうな方は無理せず、もし読んで下さる場合はお気をつけて……!』の意味です)
◇◇◇
ようやく一区切りへの目処がついてきました
拙いお話ですがお付き合いいただければ幸いです
婚約破棄ですね。これでざまぁが出来るのね
いくみ
ファンタジー
パトリシアは卒業パーティーで婚約者の王子から婚約破棄を言い渡される。
しかし、これは、本人が待ちに待った結果である。さぁこれからどうやって私の13年を返して貰いましょうか。
覚悟して下さいませ王子様!
転生者嘗めないで下さいね。
追記
すみません短編予定でしたが、長くなりそうなので長編に変更させて頂きます。
モフモフも、追加させて頂きます。
よろしくお願いいたします。
カクヨム様でも連載を始めました。
異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します
桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる
死亡エンドしかない悪役令息に転生してしまったみたいだが、全力で死亡フラグを回避する!
柚希乃愁
ファンタジー
『Blessing Blossom』という大人向けの恋愛シミュレーションRPGゲームがあった。
いわゆるエロゲ―だ。
その中に登場する公爵家長男レオナルド=クルームハイト。
あるときゲーム内のキャラクターであるはずの彼は、今の自分ではないもう一つの記憶を思い出す。
それはこの世界とは別の世界のもの。
その記憶の中で、彼は今自分がいるのがゲームの世界だということを知る。
しかもレオナルドは、ヒロインのどのルートに進んでも最後は死亡してしまう悪役令息で……。
ゲーム本編開始までにはまだ時間がある。
レオナルドは記憶を頼りに死亡回避のために動き出す。
自分にできることをしよう、と。
そんなレオナルドの行動は少なからず周囲に影響を与えていく。
自身の死亡回避、そして悠々自適なスローライフという目標に向かって順調に進んでいるかに見えたレオナルドだが、ある事件が起きる。
それはゲームにはなかったもので……。
ゲームと今レオナルドが生きている現実で展開が違っているのだ。
この事件をきっかけにレオナルドの考え方は変わっていくこととなる。
果たしてレオナルドは死亡エンドを回避できるのか―――。
*念のためのセルフレイティングです。
10/10 男性向けHOTランキング3位!
10/11 男性向けHOTランキング2位!
10/13 男性向けHOTランキング1位!
皆様お読みくださりありがとうございますm(__)m
11/4 第一章完結
11/7 第二章開始
余りモノ異世界人の自由生活~勇者じゃないので勝手にやらせてもらいます~
藤森フクロウ
ファンタジー
相良真一(サガラシンイチ)は社畜ブラックの企業戦士だった。
悪夢のような連勤を乗り越え、漸く帰れるとバスに乗り込んだらまさかの異世界転移。
そこには土下座する幼女女神がいた。
『ごめんなさあああい!!!』
最初っからギャン泣きクライマックス。
社畜が呼び出した国からサクッと逃げ出し、自由を求めて旅立ちます。
真一からシンに名前を改め、別の国に移り住みスローライフ……と思ったら馬鹿王子の世話をする羽目になったり、狩りや採取に精を出したり、馬鹿王子に暴言を吐いたり、冒険者ランクを上げたり、女神の愚痴を聞いたり、馬鹿王子を躾けたり、社会貢献したり……
そんなまったり異世界生活がはじまる――かも?
ブックマーク30000件突破ありがとうございます!!
第13回ファンタジー小説大賞にて、特別賞を頂き書籍化しております。
♦お知らせ♦
余りモノ異世界人の自由生活、コミックス1~3巻が発売中!
漫画は村松麻由先生が担当してくださっています。
第四巻は11月18日に発送。店頭には2~3日後くらいには並ぶと思われます。
よかったらお手に取っていただければ幸いです。
書籍1~7巻発売中。イラストは万冬しま先生が担当してくださっています。
コミカライズの連載は毎月第二水曜に更新となります。
漫画は村松麻由先生が担当してくださいます。
※基本予約投稿が多いです。
たまに失敗してトチ狂ったことになっています。
原稿作業中は、不規則になったり更新が遅れる可能性があります。
現在原稿作業と、私生活のいろいろで感想にはお返事しておりません。
転生幼女の怠惰なため息
(◉ɷ◉ )〈ぬこ〉
ファンタジー
ひとり残業中のアラフォー、清水 紗代(しみず さよ)。異世界の神のゴタゴタに巻き込まれ、アッという間に死亡…( ºωº )チーン…
紗世を幼い頃から見守ってきた座敷わらしズがガチギレ⁉💢
座敷わらしズが異世界の神を脅し…ε=o(´ロ`||)ゴホゴホッ説得して異世界での幼女生活スタートっ!!
もう何番煎じかわからない異世界幼女転生のご都合主義なお話です。
全くの初心者となりますので、よろしくお願いします。
作者は極度のとうふメンタルとなっております…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる