私は仕事がしたいのです!

渡 幸美

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34.登校します

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朝です!!

本日も学園です!

今朝も王城の美味しい朝食をいただきました!

この世界で16年生きてきたので、パン食、パスタ食にもだいぶ慣れて来ました!が、やっぱりそろそろ白米食べたいです!水田作り、早く本格的に考えたいです!!


…テンションがおかしいですか?許して下さい。


「あの、この、王家の馬車で四人で登校となると…かなり目立つのでは…?」

失念しておりましたが、学園に行くためには登校せんといかんのです。当たり前だけど。

「エマ嬢は聖女認定されてるんだから、そもそも目立つじゃない」

昨夜のことなど無かったかのように、さらっと宣うラインハルト殿下。

「いや、そういう問題ではなくてですね…」

時はすこーし遡る。


◇◇◇


「ごめんね、エマ。うちの馬車が来る予定だったのに…メンテナンスって、普段はあまり無いタイミングなのだけれど」

困惑気味のローズ。

そう、イベレスト家の馬車で、ローズと私は登校するはずだったのだ。

それがよりによって今朝急に、3台の馬車全てをメンテナンスに出すことになったと連絡が入った。

「何か作為的な気もするけれど…」

後からボソッとつぶやいた一言は私には聞こえなかったが、ローズはチラッとラインハルト殿下を見た。そして殿下はにこやかな笑顔を返す。

「普段動かない子が動くと、これだから……」

「ローズ?」

「何でもないわ、エマ。申し訳ないけれど、王家に甘えましょう」

「えっ、私は辻馬車でもいいよ!」

「バカ言うな。国の宝の聖女をそんな扱いしたら、王家が民に怒られる」

ジークに速攻否定された。

「でも……」

で、冒頭に戻る。


◇◇◇


「同じ所に行くんだから、一台でいいじゃん。使用人の仕事も減らせるよ?他のことができるよ?」

「うっ、確かに」

それに王家のひろーい馬車は、四人乗っても余るくらいだ。それを2台で大袈裟に行くのも憚れる。

「……分かりました」

私は諦めて言った。

「うん、よろしい」

すっごいいい笑顔のラインハルト殿下。何だか負けた気がして悔しい。くそう。

「そうと決まったら、そろそろ行こう!のんびりしてると遅刻しちゃうよ!」

「お前はいつもギリギリだろうが」

「いいだろー、今朝はレディのエスコートがあるんだから、早めに行動だよ」

「全く……」

なんやかんや、ジークも嬉しそうだな。兄弟仲良しだわ。ローズとも一緒に行けるしね。

「…全部、ちゃんと考えての行動か?責任を取る気があるのだな?」

「もちろんだよ、兄上」

「…ならもう、何も言わん。手強いと思うが、頑張れ」

「!ありがとう、兄上!!」

内容は「?」だけど、ラインハルト殿下の破顔一笑!これは……

「落ちる人、多そう」

思わず一人言る。大変キラキラしております。

「言いつつ、エマは落ちないのよね……」

「何?ローズ。聞こえなかった」

「何でもないわ」

「ふうん?」


「二人とも、そろそろ行こう」

「「はーい」」

ジークに促され、私達は馬車に向かった。

今日も勉強頑張るぞ!


…と、私はチョロく押し切られてしまったけれど、無理矢理にでも辻馬車にすべきだったと、後で思い知ることになるのだ。
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