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第三章 建国祭と学園と

挿入話 マリーア=サバンズ 5

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---反射的に身体が動いた。

「姉さまを悪く言わないで!」

かわいいかわいい×100の私の大事な大事な妹。その子に、魔獣が襲い掛かろうとしている。
迷いも、羨望も、恐怖も、何もかもが吹っ飛んだ。

私の、私の大切な宝に。

「なにしくさってんのよ!!」

ついでにちょっと理性も飛んだ。

それから光の妖精さんに祝福されて、聖女として目覚めたと言われて。正直安心したところもあったけど、リリーが無事で、私が目覚められたことをとても喜んでくれたのが何よりも嬉しかった。

ふふっ、私とリリーは真実の愛で結ばれている。ふふ。ルシーに私の目覚めの経過を聞いたフィスにどや顔を向けるのも忘れない。「何だかさすがだね」と、少し悔しそうだったけど、「おめでとう。リリーも、そしてみんなも守ってくれてありがとう」って、やっぱり王子だった。チッ。

イデアもテンダーも喜んでくれて、こそばゆい。聖女様と言われても、地はだし。そういえば、さっき思いっきり叫んだけど大丈夫だっただろうか。……まあ、出た言葉は戻らないし……何か言われたらその時だな。



とか、思っていたのだけれど。学園祭が終わって通常授業に戻った学園で、私は女子に囲まれている。どうやら、あのセリフが武勇伝のように広まっているらしい。妹を颯爽と守った勇ましき姉、そして。
「グリッタ様のこともお許しになられたようよ」「まあ!あれだけのことをされながら?」
「さすが聖女様よね!」「あの時校庭に居られた皆様、ご体調が良くなられたのですって?」
とのことで。

そうなのだ。あの浄化の光は治癒の力も含まれていたようで、校庭の隅にいた人たちの腰痛なんかまで治ったらしい。それは良かった。

そしてグリッタ様は……私が許したとか大層なことではないのだけれど、ね。
ブレスレットの入手先の解明協力も素直に応じてくれたし、何よりも気持ちが分かるのだ。ダメなものはダメだけど、深緑ギリギリの学園入学と優秀な兄二人と比べられ、あのお茶会では一番テーブルに座れず親に小言を言われ、せめて寄親の公爵家の令嬢が王太子妃になれるように尽力しろとか面倒なことを言われたら、鬱々するわ。
勝手にプレッシャーを感じて、かわいい妹に嫉妬して焦っていた私よりもキツかったと思うのだ。……それに多分、彼女もフィスに思慕の情があったとも思う。だから、退学の話も出たけれど、待ったをかけただけ。反省もして、謝ってくれたし。リリーも賛成してくれて、グリッタ様は一ヶ月の停学処分になった。


---ただ、ブレスレットが原因とはいえ、この学園の結界の中で転移的に魔物が呼べるのは大問題なわけで。それは鋭意調査中---


でもまあともかく、学園のいざこざは落ち着いた……かな?
これで安心してリリーを迎えられるよね。

姉妹で通えるのはたった三年。楽しく悔いなく過ごしたい。

「姉さま、お茶の準備ができたよ!」
「はあい、今行くわ」

学園祭が終わって、いつもの休日ルーティンに戻ったことに浮かれてくれている、私の宝物。

「姉さまは、私の最高の姉さまなんだから!!」

これからもずっとそう思ってもらえるように。

頑張るからね。



─────────────────────────


これにて第三章終了です!ここまでのお付き合い、ありがとうございます!

第四章は、リリーが学園に入学します!少しお時間をいただきますが、引き続きお付き合いいただけたら嬉しいですm(__)m
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