異世界転生を果たした、おば、コホン、お姉さまは、お嬢様生活のために悪役回避、頑張ります！

第三章 建国祭と学園と

48.学園祭スタート！

夏季休暇も終わり、マリーアは学園登校、私は自宅で家庭教師での勉強と、いつもの日常に戻った。

例の敵っぽいグリッタ様がどうかなと勝手に心配していたけど、初日から試験だし、ひと月半後には学園祭もあるしで、ひとまずは絡みが少ないかなという感じ。妖精さん情報は引き続きお願いしているけどね！何かあったら出陣する心づもりだ。

ただ、日常に戻ったと言っても、ひとつの変化が。

「姉さま～、今日もお茶会は難しい～？」
「ごめんね、リリー。学園祭の製作がまだ終わらなくて」
「え～、わかった……」
「終わったら、街のカフェにも行こうね」
「うん！約束ね！」

しゅんとした私を、マリーアはきゅっと抱きしめた後、頭ポンポンして「待っててね」と言って自室に戻る。

学園の休日は、よくマリーアとお茶したりお出かけをしたりしていたが、ここ最近は学園祭の準備で時間が取れずにいるのだ。
今の私は、中学生になって部活で忙しくなった姉が、構ってくれずにしょげてる小学生の妹状態だ。平たく言って、寂しくてつまらない。
もちろんフィスたちも忙しいのであろう、いつもより連絡が少ない。こうやって付き合いが減って行くんだよね。あるあるだし、それを望んでいた部分もあったけど、いざそうなると少し寂しいなんて、勝手な心もあったりして。

「ルシーたちも、封印の調査とかしてるしな……。イデアも研究が佳境に入っててどうとかだし。……魔力制御の練習でもしよ」

フィスとかはともかく、マリーアは期間限定だし！学園祭も楽しみだし！と自分に言い聞かせて、私はこのひと月を過ごしたのであった。


そして待ちに待った１ヶ月後。お待ちかねの学園祭当日になった。王立学園の学園祭は家族、親類はもちろんのこと、招待券をもらった人たちも入場することができる。

そんな訳で。

「イデア！久しぶり！」
「リリー！今日はお招きありがとう」

すっかり仲良しになった、イデアを招待致しました！一緒に回るのだ。軽い挨拶の後、それぞれ連れている侍女さんの紹介をする。私の侍女はもちろんスザンヌだ。

お父様とお母様も来ているけれど、今回は別行動。お母様がまだまだ妊娠初期の段階なので、マリーア関係のものだけ見学して早めに帰宅予定で、私は貴族令嬢らしく、侍女のスザンヌと共にゆっくり見学を許された。学園には結界も張ってあって安全だしね！

「イデア、今日のエスコートは任せてね！マリー姉さまたちからいろいろ聞いて、計画を立てたから。まずはマリー姉さまの展示から」
「わあ、ありがとう！楽しみ。確かマリーは手芸部よね？」
「そうなの、展示物を内緒にされていたから早く見たくて。それと、テンダーも紹介するね」
「サラマンダー様の愛し子の方よね？緊張しちゃう」
「見た目強そうだけど、いや、本当に強いんだけど。優しい人だよ」

テンダーのセンスの良さや手先の器用さなんかをあれこれ話しながら、お目当ての教室に向かう。私たちのことを知っている人たちも多いみたいで(そりゃそうか)、ちょいちょい視線を感じたけれど、そこは一応侯爵令嬢と天才魔道具師の伯爵令嬢。というところで、そう易々と話しかけられな……

「あら、リリアンナ様、イデアーレ様。お久しぶりでございます」
「グローリア様。お久しぶりでございます」
「お久しぶりでございます」

……くなかった。そうね、この方がいたわね。そして隣にいらっしゃる、学園の制服を着ているお姉様は。

「お茶会でもご挨拶できなかったようだから紹介するわ。こちら、わたくしの友人のエレナ=グリッタ侯爵令嬢よ」

わあ、さっそく来た！