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第二章 夢と魔法の国
22.妖精さんの祝福とは
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「ふあぁぁ~っ」
ベッドで上半身を起こして伸びをする。今日も太陽が眩しい。
「リリアンナお嬢様、起きられていますか?」
「ええ、起きてるわ!スザンヌ」
私の返事を聞き、「おはようございます」とスザンヌが入って来る。用意されたぬるま湯で顔を洗って、お着替えスタートだ。
「フンフン♪」
「今朝もご機嫌ですね、お嬢様。昨日はお疲れではございませんでしたか?」
「疲れもあったけど、素敵なこともあったの!ふふっ、後でみんなに教えるわね!」
「まあ、何でしょう。気になってしまいますね」
昨日は殿下どうこうもあったけど、私の一番のニュースは花の妖精さん…リリスに会えたことだ。スザンヌにも話したいけど、まずは家族からよね!
うふふ、びっくりするかなあ、とか、呑気に構えておりましたが。
「……リリー、それは本当かい?」
「……あれ?」
朝食の席で、意気揚々と家族の皆さまに昨日のリリスとのあれこれを話した後のお父様の言葉に、違和感と言うより危機感を覚える。
何でしょう、リリスもお話しできるのは久しぶりとか言ってたけども。……そういえば、妖精さんて何年生きるのかしら……?もしやこれは、大神官さまと同じように、年寄り(すみません)の最近は最近じゃないと同じ感じ……?いやいや、妖精さんや精霊さんに会えるのは運が良ければとは聞いている。そんな面倒ごとではないはずだ。
「お父様……?なにかいけなかったでしょうか?」
恐る恐る聞いてみる。
「いや!いけないことはないぞ!さすがリリーだ!……うん、さすが、なのだが……」
うん、ものすごく奥歯に何か詰まってますね、お父様。
「リリー、その花の妖精……リリスさんが祝福と言ったのは間違いないのね?」
「?は、はい」
「……そう。そうなのね」
お母様まで何でしょう?!
そして両親は視線を合わせて頷き合う。
どうしよう、面倒事の匂いしかしない。
「リリー、よくお聞き。この国……ファーブル王国は長年妖精や精霊と共に生きていた国だ。それは知っているね?」
「……はい」
「今より何代も前は、妖精たちも日常に見られたと言われているが、最近では見える目を持つものも稀だ。それも知っているね?」
「…………はい」
「……それでも……それでも年に数人は見える話が聞こえてくる。けどね、リリー。祝福を受けたという人間はこの数年どころか、紫光の魔力持ちくらいには確認できていないんだ」
「……へ?と、言うことは?」
「リリーは魔力量と共に妖精の祝福まで数十年ぶり以上に発現させた類い稀なる才媛と言うことですよね?お父様!さすがリリーですわ!」
きゃあ!マリーアがまた暴走してるぅ!
「……平たく言うと、そういうことだ。……それに………………」
「???」
お父様はものすごく渋い顔をしている。
「これが王家の耳に入ったら、ますます王太子殿下の婚約者への要望が上がると言うことよ、リリー」
「へっっっ?!」
お母様の言葉に急に合点がいった。あー!!そういうことね?!お父様の濁し切った言い回しにも納得致しました。
ん?ちょっと待って。確かに妖精さんの祝福って…………………………………………………………!!!聖女の目覚めに必要なやつじゃなかった?!そうだ、そうだったよ!
「ま、マリー姉さま。姉さまにも見えませんでしたか?妖精さん。昨日、殿下からいただいたお花、すごくキラキラしていましたよね?」
「確かに綺麗な花たちでとても華美だけれど、輝いていたかと聞かれれば、それは感じなかったわ?」
「お、おう……、いえ、左様でございますか……」
やばい。わかっていたけれど、本筋からはだいぶズレている。これは本当にありなのか?
今すぐ魔法の練習をしたくなってきた。
でもでも、私は聖魔法の素質はないし!それとこれとは関係ないはず!だよね?
俯きながら、う~ん、と考え込んでしまう。
「あのっ、でもっ!お父様、お義母様、素敵なことには違いないですよね?リリーならきっと、いろいろといい方向に行きますわ。わたくしたちのリリーですもの!わたくしも妖精さんに会ってみたいですし!リリー、リリスさんはやっぱり可愛かったのかしら?」
きっと難しい顔をしていた私を気にして、マリーアが明るく話題を振ってくれる。最近はちょっと(?)ドラスティックな感じも受ける姉さまだったけど、やっぱり根っこは聖女だよね。人の機微に敏感で、気遣ってくれる。
「ええ、とても!イメージ通りだったわ!羽の模様も綺麗でね」
「わあ、いいなあ。わたくしも会えるかなあ。会えるといいなあ」
「マリー姉さまなら、きっと会えるよ!今度またリリスと会えたら姉さまも呼ぶわ!」
「本当?楽しみにしてるわねっ」
そうだ、きっとマリーアにだって見えるはず。リリスを紹介するのはいい気がする。そしてきっと、祝福だってもらえるだろう。何てったって聖女候補だもん!
「そうだな、お父様も会ってみたいぞ。リリーは昔から魔法や妖精さんが好きだったもんな。会えて良かったな」
「お父様……、はい!」
「そうよね、まずはとっても嬉しいことだわ。わたくしもいつか会えるかしら?」
「お母様……、ええ、きっと紹介させてね」
何やかんやで優しい家族に囲まれて、幸せだ。
マリーアも、ほっとしたようにニコニコしている。
「でも、旦那さま、王家には」
「……言わない訳にはいかないな。王家に何でも従うつもりはないが、謀叛を起こすつもりも全くないからね。そこはリリー、納得してくれるかな?」
「……はい」
うん、それは仕方ない。それでも殿下は無茶は言って来ない……はず。にしても、これを隠すと謀叛騒ぎにもなるの?あー、魔力量もあるからかな?何だか、何だかだなあ。
「もちろん、リリーに嫌な思いをさせる気はないからね!その時は移住したっていい」
「!そうですよね、お父様!!」
お父様とマリーアが若干の黒さを感じる微笑みで頷いているけれど、これは謀叛ではないのか?……まあ、違うのか。違うわよね。うん、良しとしよう。お母様も「まあまあ、二人ともリリーが大好きなのね」って楽しそうだし。
それにしても妖精さん、そんな大事なことだったのか……。いや、祝福がか。自分の中では何か変わった感じはないのだけれども。
リリスに聞きたいことが増えましたわ。
ベッドで上半身を起こして伸びをする。今日も太陽が眩しい。
「リリアンナお嬢様、起きられていますか?」
「ええ、起きてるわ!スザンヌ」
私の返事を聞き、「おはようございます」とスザンヌが入って来る。用意されたぬるま湯で顔を洗って、お着替えスタートだ。
「フンフン♪」
「今朝もご機嫌ですね、お嬢様。昨日はお疲れではございませんでしたか?」
「疲れもあったけど、素敵なこともあったの!ふふっ、後でみんなに教えるわね!」
「まあ、何でしょう。気になってしまいますね」
昨日は殿下どうこうもあったけど、私の一番のニュースは花の妖精さん…リリスに会えたことだ。スザンヌにも話したいけど、まずは家族からよね!
うふふ、びっくりするかなあ、とか、呑気に構えておりましたが。
「……リリー、それは本当かい?」
「……あれ?」
朝食の席で、意気揚々と家族の皆さまに昨日のリリスとのあれこれを話した後のお父様の言葉に、違和感と言うより危機感を覚える。
何でしょう、リリスもお話しできるのは久しぶりとか言ってたけども。……そういえば、妖精さんて何年生きるのかしら……?もしやこれは、大神官さまと同じように、年寄り(すみません)の最近は最近じゃないと同じ感じ……?いやいや、妖精さんや精霊さんに会えるのは運が良ければとは聞いている。そんな面倒ごとではないはずだ。
「お父様……?なにかいけなかったでしょうか?」
恐る恐る聞いてみる。
「いや!いけないことはないぞ!さすがリリーだ!……うん、さすが、なのだが……」
うん、ものすごく奥歯に何か詰まってますね、お父様。
「リリー、その花の妖精……リリスさんが祝福と言ったのは間違いないのね?」
「?は、はい」
「……そう。そうなのね」
お母様まで何でしょう?!
そして両親は視線を合わせて頷き合う。
どうしよう、面倒事の匂いしかしない。
「リリー、よくお聞き。この国……ファーブル王国は長年妖精や精霊と共に生きていた国だ。それは知っているね?」
「……はい」
「今より何代も前は、妖精たちも日常に見られたと言われているが、最近では見える目を持つものも稀だ。それも知っているね?」
「…………はい」
「……それでも……それでも年に数人は見える話が聞こえてくる。けどね、リリー。祝福を受けたという人間はこの数年どころか、紫光の魔力持ちくらいには確認できていないんだ」
「……へ?と、言うことは?」
「リリーは魔力量と共に妖精の祝福まで数十年ぶり以上に発現させた類い稀なる才媛と言うことですよね?お父様!さすがリリーですわ!」
きゃあ!マリーアがまた暴走してるぅ!
「……平たく言うと、そういうことだ。……それに………………」
「???」
お父様はものすごく渋い顔をしている。
「これが王家の耳に入ったら、ますます王太子殿下の婚約者への要望が上がると言うことよ、リリー」
「へっっっ?!」
お母様の言葉に急に合点がいった。あー!!そういうことね?!お父様の濁し切った言い回しにも納得致しました。
ん?ちょっと待って。確かに妖精さんの祝福って…………………………………………………………!!!聖女の目覚めに必要なやつじゃなかった?!そうだ、そうだったよ!
「ま、マリー姉さま。姉さまにも見えませんでしたか?妖精さん。昨日、殿下からいただいたお花、すごくキラキラしていましたよね?」
「確かに綺麗な花たちでとても華美だけれど、輝いていたかと聞かれれば、それは感じなかったわ?」
「お、おう……、いえ、左様でございますか……」
やばい。わかっていたけれど、本筋からはだいぶズレている。これは本当にありなのか?
今すぐ魔法の練習をしたくなってきた。
でもでも、私は聖魔法の素質はないし!それとこれとは関係ないはず!だよね?
俯きながら、う~ん、と考え込んでしまう。
「あのっ、でもっ!お父様、お義母様、素敵なことには違いないですよね?リリーならきっと、いろいろといい方向に行きますわ。わたくしたちのリリーですもの!わたくしも妖精さんに会ってみたいですし!リリー、リリスさんはやっぱり可愛かったのかしら?」
きっと難しい顔をしていた私を気にして、マリーアが明るく話題を振ってくれる。最近はちょっと(?)ドラスティックな感じも受ける姉さまだったけど、やっぱり根っこは聖女だよね。人の機微に敏感で、気遣ってくれる。
「ええ、とても!イメージ通りだったわ!羽の模様も綺麗でね」
「わあ、いいなあ。わたくしも会えるかなあ。会えるといいなあ」
「マリー姉さまなら、きっと会えるよ!今度またリリスと会えたら姉さまも呼ぶわ!」
「本当?楽しみにしてるわねっ」
そうだ、きっとマリーアにだって見えるはず。リリスを紹介するのはいい気がする。そしてきっと、祝福だってもらえるだろう。何てったって聖女候補だもん!
「そうだな、お父様も会ってみたいぞ。リリーは昔から魔法や妖精さんが好きだったもんな。会えて良かったな」
「お父様……、はい!」
「そうよね、まずはとっても嬉しいことだわ。わたくしもいつか会えるかしら?」
「お母様……、ええ、きっと紹介させてね」
何やかんやで優しい家族に囲まれて、幸せだ。
マリーアも、ほっとしたようにニコニコしている。
「でも、旦那さま、王家には」
「……言わない訳にはいかないな。王家に何でも従うつもりはないが、謀叛を起こすつもりも全くないからね。そこはリリー、納得してくれるかな?」
「……はい」
うん、それは仕方ない。それでも殿下は無茶は言って来ない……はず。にしても、これを隠すと謀叛騒ぎにもなるの?あー、魔力量もあるからかな?何だか、何だかだなあ。
「もちろん、リリーに嫌な思いをさせる気はないからね!その時は移住したっていい」
「!そうですよね、お父様!!」
お父様とマリーアが若干の黒さを感じる微笑みで頷いているけれど、これは謀叛ではないのか?……まあ、違うのか。違うわよね。うん、良しとしよう。お母様も「まあまあ、二人ともリリーが大好きなのね」って楽しそうだし。
それにしても妖精さん、そんな大事なことだったのか……。いや、祝福がか。自分の中では何か変わった感じはないのだけれども。
リリスに聞きたいことが増えましたわ。
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