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第二章 夢と魔法の国
10.夢と魔法のファンタジーの国
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ここはファーブル王国。国民全員が大小拘わらず魔力を持ち、運が良ければ精霊にも会える、何なら魔物とかもいる、夢と魔法のファンタジー溢れる国だ。
そう、私が大好きだった、ファンタジー小説の舞台の国。
生活にも魔法が必須。
電気はないが、生活魔道具に魔石が組み込まれており、軽く魔力を流すと発動する仕組みになっている。う~ん、ファンタジー!めでたく侯爵家に生まれた私は、前世で言うところの高級家電的な高級魔道具に囲まれているので、前世を思い出しても遜色のない生活ができている。
ありがとう、お嬢様生活。きちんと勉強頑張ります。
私情に流されず、社会に役立てるように努力します。
え?テンションおかしいですか?
よくぞ聞いてくれました!!(ちょっと違うか?)
パンパカパーン!なんと、今日は私、リリアンナ=サバンズの10歳の誕生日なのです!やったー!
10歳が何かと言うと、魔法の解禁日なのだ。
平民は持っている魔力が大きくないので細かいルールはないが、貴族は大きな魔力を持つことが多く、暴発を防ぐため、10歳まではちょびっとの魔力を使うことも禁止されているのだ。
10歳で神殿に行き、祝福と魔力測定を受け、制御の指輪を貰って初めて魔力を使えるようになる。平民にはその義務はないので、たまにマリーアみたいに魔力が暴走を起こしてしまう事故もあるのだけれど。神殿に寄付も必要になるし、平民はほとんど受けないのだ。もっとも、彼女みたいに実はお貴族様の血が、ということでもなければ、滅多にないことでもある。
あとは聖女様だね。これは平民貴族と関係なく生まれてくるらしいけど、この話に関してはマリーアはあれだね、サラブレッドだね!貴族で聖女様だよ。さすがヒロイン。まだ予定だけど、とってもいい子だし、このまま行けば間違いないと思われる。
ともかく、この世界に転生してから、楽しみにしておりました!魔法!憧れるよね!おばちゃんだって使ってみたかったもん。ふふふん、と自然と鼻歌を歌ってしまう。
「ご機嫌ですね、リリアンナお嬢様。よほど魔法が楽しみなのですね」
私の専属侍女のスザンヌが、身支度を整えてくれながら微笑ましそうに話かけてくる。男爵家の三女で私より9つ上の、19歳。頼りになるお姉さま的存在だ。
「ええ!早く使ってみたいの」
「分かりますわ。初めて自分の魔力で魔道具を動かした時は、私も感動しましたもの」
「そうよね!今日はマリーお姉さまも一緒だし、ますます楽しみなの」
もう、今日は完全に精神年齢も10歳だ。いいわよね、だって10歳だもん。
マリーアとお揃いの外出用のワンピースを着させてもらい、子どもらしくかわいいツインテールにしてもらって準備完了だ。
「お嬢様、お支度が済みましたらエントランスでお待ちいただくよう、旦那様から言われております」
「わかったわ。向かいましょう」
私はスザンヌと共に、足取り軽くエントランスへと向かう。
うーん、やっぱり家庭内が落ち着いてるって、精神衛生上大事よね!頑張って良かった。
ーーー今日でマリーアが侯爵家に来て四ヶ月経つ。
あれから、マリーアの淑女教育も、私たちとの関係も良好だ。何なら、全て吹っ切れて幸せオーラ駄々漏れのお母様は、憧れていたシンシア様のことをたくさんマリーアに話して聞かせるようになり、マリーアもまた自分の知らない頃の母の話が聞けると喜んでいた。
そして、マリーアは平民だったので神殿には行かず、普通に魔力を使っていたらしい。シンシア様から、「少しずつ、少しずつよ」と、子どもながらに過剰じゃないかと思えるくらいに常に制御を教わりながら。
きっと彼女は、マリーアの持つ膨大な魔力に気づいていたのだろうな。けれど神殿に行かなかった。行けば制御の指輪も貰えるけれど、寄付金も必要だし、何より足がつく。侯爵家に勘づかれるのを気にしていたのだろう。聡明で、謙虚な人だ。自分を棚に上げて、来世は幸せになれますようにと勝手に祈る。きっと彼女はマリーアがいたから幸せだったと言うのだろうけれど。
まあともかく、もちろん侯爵家に来てからは勝手に使うのは禁止になり、私の誕生日も近いので一緒に、となったのである。
ちなみにこの世界の魔法は、前世でのRPGや、世界中でベストセラーだった小説のように、魔力が多ければ多いほど強い魔法が使える。
魔法の種類として属性はあるが、学べば全て使える。学んで、魔力があれば、だ。ゲームの中の魔法使いがイメージしやすいだろう。もちろん、魅了は禁止とかいろいろルールはあるが、それは追々。
だが、聖魔法は別物。素質がないと使えない。
使える人は稀にいるが、小さなケガや病気を治せたり、狭い範囲の浄化がせいぜいといったところ。それでも、使えるのは貴重で国からも大事にされる。
「……あれ?その聖魔法の膨大な素質をマリーアは持っているはずだけど、最初の測定では分からなかったような……なんでだっけ?」
エントランスに到着し、私は一人言る。
「お嬢様?何か?」
「いえ、一人言よ!大丈夫」
確か、マリーアの魔力量が私よりすごくて……、
「あっ」
そうだ、詳しく鑑定しようとしていた神官さんを、私が邪魔したんだった!焼きもちを焼いて。思い出したわ。
でも今回は私、邪魔しないし。あれ?そうすると、もう聖女認定かな?ダメじゃないと思うけど、何か大事なイベントを忘れているような……?
うーん、と捻ってみる。ダメだ、思い出せん。
「ま、いっか。邪魔とかしなければ、どうこうないでしょ」
……でも、ちょっと気になるな。
ブツブツと一人言を言っている私を、スザンヌが心配そうに見ていることには気づかずに、私は皆が集まるまで考え込んでいたのであった。
そう、私が大好きだった、ファンタジー小説の舞台の国。
生活にも魔法が必須。
電気はないが、生活魔道具に魔石が組み込まれており、軽く魔力を流すと発動する仕組みになっている。う~ん、ファンタジー!めでたく侯爵家に生まれた私は、前世で言うところの高級家電的な高級魔道具に囲まれているので、前世を思い出しても遜色のない生活ができている。
ありがとう、お嬢様生活。きちんと勉強頑張ります。
私情に流されず、社会に役立てるように努力します。
え?テンションおかしいですか?
よくぞ聞いてくれました!!(ちょっと違うか?)
パンパカパーン!なんと、今日は私、リリアンナ=サバンズの10歳の誕生日なのです!やったー!
10歳が何かと言うと、魔法の解禁日なのだ。
平民は持っている魔力が大きくないので細かいルールはないが、貴族は大きな魔力を持つことが多く、暴発を防ぐため、10歳まではちょびっとの魔力を使うことも禁止されているのだ。
10歳で神殿に行き、祝福と魔力測定を受け、制御の指輪を貰って初めて魔力を使えるようになる。平民にはその義務はないので、たまにマリーアみたいに魔力が暴走を起こしてしまう事故もあるのだけれど。神殿に寄付も必要になるし、平民はほとんど受けないのだ。もっとも、彼女みたいに実はお貴族様の血が、ということでもなければ、滅多にないことでもある。
あとは聖女様だね。これは平民貴族と関係なく生まれてくるらしいけど、この話に関してはマリーアはあれだね、サラブレッドだね!貴族で聖女様だよ。さすがヒロイン。まだ予定だけど、とってもいい子だし、このまま行けば間違いないと思われる。
ともかく、この世界に転生してから、楽しみにしておりました!魔法!憧れるよね!おばちゃんだって使ってみたかったもん。ふふふん、と自然と鼻歌を歌ってしまう。
「ご機嫌ですね、リリアンナお嬢様。よほど魔法が楽しみなのですね」
私の専属侍女のスザンヌが、身支度を整えてくれながら微笑ましそうに話かけてくる。男爵家の三女で私より9つ上の、19歳。頼りになるお姉さま的存在だ。
「ええ!早く使ってみたいの」
「分かりますわ。初めて自分の魔力で魔道具を動かした時は、私も感動しましたもの」
「そうよね!今日はマリーお姉さまも一緒だし、ますます楽しみなの」
もう、今日は完全に精神年齢も10歳だ。いいわよね、だって10歳だもん。
マリーアとお揃いの外出用のワンピースを着させてもらい、子どもらしくかわいいツインテールにしてもらって準備完了だ。
「お嬢様、お支度が済みましたらエントランスでお待ちいただくよう、旦那様から言われております」
「わかったわ。向かいましょう」
私はスザンヌと共に、足取り軽くエントランスへと向かう。
うーん、やっぱり家庭内が落ち着いてるって、精神衛生上大事よね!頑張って良かった。
ーーー今日でマリーアが侯爵家に来て四ヶ月経つ。
あれから、マリーアの淑女教育も、私たちとの関係も良好だ。何なら、全て吹っ切れて幸せオーラ駄々漏れのお母様は、憧れていたシンシア様のことをたくさんマリーアに話して聞かせるようになり、マリーアもまた自分の知らない頃の母の話が聞けると喜んでいた。
そして、マリーアは平民だったので神殿には行かず、普通に魔力を使っていたらしい。シンシア様から、「少しずつ、少しずつよ」と、子どもながらに過剰じゃないかと思えるくらいに常に制御を教わりながら。
きっと彼女は、マリーアの持つ膨大な魔力に気づいていたのだろうな。けれど神殿に行かなかった。行けば制御の指輪も貰えるけれど、寄付金も必要だし、何より足がつく。侯爵家に勘づかれるのを気にしていたのだろう。聡明で、謙虚な人だ。自分を棚に上げて、来世は幸せになれますようにと勝手に祈る。きっと彼女はマリーアがいたから幸せだったと言うのだろうけれど。
まあともかく、もちろん侯爵家に来てからは勝手に使うのは禁止になり、私の誕生日も近いので一緒に、となったのである。
ちなみにこの世界の魔法は、前世でのRPGや、世界中でベストセラーだった小説のように、魔力が多ければ多いほど強い魔法が使える。
魔法の種類として属性はあるが、学べば全て使える。学んで、魔力があれば、だ。ゲームの中の魔法使いがイメージしやすいだろう。もちろん、魅了は禁止とかいろいろルールはあるが、それは追々。
だが、聖魔法は別物。素質がないと使えない。
使える人は稀にいるが、小さなケガや病気を治せたり、狭い範囲の浄化がせいぜいといったところ。それでも、使えるのは貴重で国からも大事にされる。
「……あれ?その聖魔法の膨大な素質をマリーアは持っているはずだけど、最初の測定では分からなかったような……なんでだっけ?」
エントランスに到着し、私は一人言る。
「お嬢様?何か?」
「いえ、一人言よ!大丈夫」
確か、マリーアの魔力量が私よりすごくて……、
「あっ」
そうだ、詳しく鑑定しようとしていた神官さんを、私が邪魔したんだった!焼きもちを焼いて。思い出したわ。
でも今回は私、邪魔しないし。あれ?そうすると、もう聖女認定かな?ダメじゃないと思うけど、何か大事なイベントを忘れているような……?
うーん、と捻ってみる。ダメだ、思い出せん。
「ま、いっか。邪魔とかしなければ、どうこうないでしょ」
……でも、ちょっと気になるな。
ブツブツと一人言を言っている私を、スザンヌが心配そうに見ていることには気づかずに、私は皆が集まるまで考え込んでいたのであった。
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