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そして
8.特別、とは
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二人の可愛い弟妹の話が纏まり、ワタクシご機嫌です。
やっぱりいつでも大切な人の幸せを見るのは幸せだ。自然と顔が緩んでしまう。
鼻歌を歌ってしまいそうな勢いだが、今は生徒会室でグレイさんと書類仕事中だ。ちゃんとしないと。ちなみに、今日はルト様は公務でお休み、他の皆はそれぞれ違う仕事で出ている。
「……失礼ですが、シャルリア様、何かいいことがありましたか?」
あ、あら、それでも緩んでいたかしら。グレイさんがいつもの難しい顔で聞いてきた。
「ごめんなさい、みっともない顔をしているかしら?」
「い、いえ!そうではなく!あの、とても幸せそうというか……その……」
良かった、ゆるゆる過ぎではなかったようね。でもやっぱり、幸せ楽しいオーラって出ちゃうよね!
「実はね、まだ発表はされていないのだけれど……シス、いいわよね?」
「グレイさんは口が固いですし、慶事ですし間もなく発表もされるので問題ないかと」
「そうよね!近々発表されるのだけれど、まだグレイさんの心に仕舞っておいてくださいな」
「……はい」
わあ、グレイさんの顔が怖い。いつもより怖い。きっとこんなに引っ張るものだから、何事かと緊張してるのね。ちょっと申し訳ないけれど、反応も楽しみだったりして。
「この間、フリーダ殿下とお茶会をしたのだけれど」
「……はい」
「その場でね、うちのカルムとの婚約が決まったのよ!」
「……カルム、様、と?」
「ええ、そうなの!可愛い二人のお祝い事だから、私、嬉しくて。恥ずかしながら顔に出てしまっていたのね」
「フリーダ殿下の……」
グレイさんは一人言のように呟いた後、下を向いてはあ~!と大きなため息を吐いた。
「グレイさん?」
「いえ、失礼しました!安心して、その……ではなくて、おめでとうございます!お似合いのお二人ですよね」
不安顔の厳つい表情から一転、グレイさんが珍しく満面の笑顔だ。私達も彼の大事な人達の中に入れたようで、ちょっと嬉しい。
「ありがとうございます。実はね、あの二人、ずっと犬猿の仲でしたのよ」
「そうなのですか?」
「そうなの。人の事だから、あまり勝手にはお話しできないけれど、拗らせていてね。先日のお茶会で誤解が解けて、一気に話が進んだのよ」
「お嬢様が進めさせましたよね」
「ふふ、いいじゃないの。シスだって協力してくれたじゃない。あの二人も幼馴染みでね、いろいろあったのよ」
「……そうなんですね」
「グレイさん達のように、ずっと仲がいいのも素敵だけれど、喧嘩しながら仲のいい二人も微笑ましくて」
私がそこまで話すと、グレイさんが不思議と微妙な顔をした。……何か変なことを言ったかしら?
「グレイさん?私、何か気に障りましたか?」
私の言葉にハッとした顔をするグレイさん。
「い、いえ、そんなことは……大丈夫です。それに、あの……幼馴染みと言えば……ルトハルト殿下とシャルリア様も……ですよね」
「そうですわね」
「……やっぱり、特別ですか?その、カルム様たちのように」
グレイさんが少し切実そうな表情で聞いてきた。私は思わず黙ってしまう。ルト様が特別かと言えば特別だ。だってずっと仲良くしていた。三人で。好きだと言われたのは驚いたけど嬉しかった。……嬉しかったのに、どこか困っている自分もいて。
「っ、失礼しました。すみません、不躾に」
私が黙ってしまったので、グレイさんが申し訳なさそうに謝ってきた。
「いいえ、ごめんなさい、気になさらないで?そうね、長年のお付き合いですから、特別ではあるわね」
「……そうですよね」
「……でも何故かしら、はっきりと答えが出せないの」
「シャルリア様?」
「っ、ごめんなさい、何でもないのよ」
いけない、いけない。ルト様とフォンス様のことは、二人がアレだから皆にバレバレだとは思うけれど、まだ親しくなって間もないグレイさんに弱音を吐くのは違うわよね。
グレイさんには何だか妙な安心感を感じて、ついいろいろとポロッと口から出てしまう。気をつけよう。
「……もうすぐ、ルトハルト殿下のお誕生会のパーティーがありますよね」
「え?ええ。弟にエスコートを頼むつもりだったのですけれど、今回のことで難しくなって……」
って!思った側からついポロリと!だって、急にお誕生会の話になるから!グレイさんは誕生会までにどうこうは知らないのに、つい焦ってしまった。
「でしたら。お……私では駄目ですか、シャルリア様のエスコート」
「……えっ?」
やっぱりいつでも大切な人の幸せを見るのは幸せだ。自然と顔が緩んでしまう。
鼻歌を歌ってしまいそうな勢いだが、今は生徒会室でグレイさんと書類仕事中だ。ちゃんとしないと。ちなみに、今日はルト様は公務でお休み、他の皆はそれぞれ違う仕事で出ている。
「……失礼ですが、シャルリア様、何かいいことがありましたか?」
あ、あら、それでも緩んでいたかしら。グレイさんがいつもの難しい顔で聞いてきた。
「ごめんなさい、みっともない顔をしているかしら?」
「い、いえ!そうではなく!あの、とても幸せそうというか……その……」
良かった、ゆるゆる過ぎではなかったようね。でもやっぱり、幸せ楽しいオーラって出ちゃうよね!
「実はね、まだ発表はされていないのだけれど……シス、いいわよね?」
「グレイさんは口が固いですし、慶事ですし間もなく発表もされるので問題ないかと」
「そうよね!近々発表されるのだけれど、まだグレイさんの心に仕舞っておいてくださいな」
「……はい」
わあ、グレイさんの顔が怖い。いつもより怖い。きっとこんなに引っ張るものだから、何事かと緊張してるのね。ちょっと申し訳ないけれど、反応も楽しみだったりして。
「この間、フリーダ殿下とお茶会をしたのだけれど」
「……はい」
「その場でね、うちのカルムとの婚約が決まったのよ!」
「……カルム、様、と?」
「ええ、そうなの!可愛い二人のお祝い事だから、私、嬉しくて。恥ずかしながら顔に出てしまっていたのね」
「フリーダ殿下の……」
グレイさんは一人言のように呟いた後、下を向いてはあ~!と大きなため息を吐いた。
「グレイさん?」
「いえ、失礼しました!安心して、その……ではなくて、おめでとうございます!お似合いのお二人ですよね」
不安顔の厳つい表情から一転、グレイさんが珍しく満面の笑顔だ。私達も彼の大事な人達の中に入れたようで、ちょっと嬉しい。
「ありがとうございます。実はね、あの二人、ずっと犬猿の仲でしたのよ」
「そうなのですか?」
「そうなの。人の事だから、あまり勝手にはお話しできないけれど、拗らせていてね。先日のお茶会で誤解が解けて、一気に話が進んだのよ」
「お嬢様が進めさせましたよね」
「ふふ、いいじゃないの。シスだって協力してくれたじゃない。あの二人も幼馴染みでね、いろいろあったのよ」
「……そうなんですね」
「グレイさん達のように、ずっと仲がいいのも素敵だけれど、喧嘩しながら仲のいい二人も微笑ましくて」
私がそこまで話すと、グレイさんが不思議と微妙な顔をした。……何か変なことを言ったかしら?
「グレイさん?私、何か気に障りましたか?」
私の言葉にハッとした顔をするグレイさん。
「い、いえ、そんなことは……大丈夫です。それに、あの……幼馴染みと言えば……ルトハルト殿下とシャルリア様も……ですよね」
「そうですわね」
「……やっぱり、特別ですか?その、カルム様たちのように」
グレイさんが少し切実そうな表情で聞いてきた。私は思わず黙ってしまう。ルト様が特別かと言えば特別だ。だってずっと仲良くしていた。三人で。好きだと言われたのは驚いたけど嬉しかった。……嬉しかったのに、どこか困っている自分もいて。
「っ、失礼しました。すみません、不躾に」
私が黙ってしまったので、グレイさんが申し訳なさそうに謝ってきた。
「いいえ、ごめんなさい、気になさらないで?そうね、長年のお付き合いですから、特別ではあるわね」
「……そうですよね」
「……でも何故かしら、はっきりと答えが出せないの」
「シャルリア様?」
「っ、ごめんなさい、何でもないのよ」
いけない、いけない。ルト様とフォンス様のことは、二人がアレだから皆にバレバレだとは思うけれど、まだ親しくなって間もないグレイさんに弱音を吐くのは違うわよね。
グレイさんには何だか妙な安心感を感じて、ついいろいろとポロッと口から出てしまう。気をつけよう。
「……もうすぐ、ルトハルト殿下のお誕生会のパーティーがありますよね」
「え?ええ。弟にエスコートを頼むつもりだったのですけれど、今回のことで難しくなって……」
って!思った側からついポロリと!だって、急にお誕生会の話になるから!グレイさんは誕生会までにどうこうは知らないのに、つい焦ってしまった。
「でしたら。お……私では駄目ですか、シャルリア様のエスコート」
「……えっ?」
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