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それから
14.それは突然に
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そしてフリーダが泣き止んだ頃、「お庭で新鮮な空気を吸いましょう!」とのリンさんの一言で、お茶会の場所をコスモスの咲き誇るフリーダの専用庭園に移すことにした。気分転換は大事よね。
フリーダはリンさんに軽く化粧直しをしてもらい、恥ずかしそうにはにかんでいる。可愛くて思い切り抱きしめたら、また泣かれてしまい、シスとリンさんに怒られた。
「コスモスも一見地味だけど、こう咲き誇ると圧巻よね!」
私は庭一面に広がるコスモス畑を眺めて、すーっと深呼吸をした。気持ちのいい風もそよそよと吹いている。
「そうでしょう?ありがとうございます。昔から好きで……私のお庭は、コスモス畑でお願いしたんです。あちらのキンモクセイも、もうそろそろ香りますわ」
「私もキンモクセイも好きよ!」
「わ、嬉しい!またその頃にご招待させてくださいな」
「楽しみにしてるわね!」
美味しいお菓子と美味しいお茶と、気の置けない友人に囲まれて綺麗な庭園で……うーん、至福!
「幸せだわ……」
「本当に。私も噛み締めております」
フリーダと二人で、顔を見合わせて笑う。
そんな様子を、シスとリンさんが穏やかな笑顔で見守ってくれている。
「ふふっ。何だかまた、生まれ変わった気分!あっ、そうだわ、姉様!あれの所に行った時ね、楽しそうなこともあったのよ~!」
「楽しそうなこと?」
フリーダったら、もうすっかりアレ呼ばわり。うん、いい傾向ね!
「フリーダ様!それは」
「分かってるわよう、リン。無粋なことはしないわ。でも応援したいじゃない」
「応援?今度は何よ?フリーダが楽しそうだからいいけど、気になるじゃない」
「ふふっ、ごめんなさい、秘密なの!」
「ええ!酷い!リンさん?」
「申し訳ございません。私からは」
で、ですよね?!あんまり食い下がっても困らせてしまうので止めよう。でも気になる!
「……!まさか……?!いえ、あり得るわね……」
シスは何だかブツブツと言って、二人を見た。二人は笑顔でシスに親指を立てている。
「……ああ、なるほど。まあ、当然と言えば当然……」
「えっ、何?何なの?シスも知ってるの?教えてよ~!」
「いえ、やはり私の口からは」
「何それ!皆してひどいっ」
「……楽しそうな所、申し訳ない。少しお邪魔してもいいかな?」
四人でキャッキャしている所に、イケメンボイスが響く。振り返ると、少し申し訳なさそうな顔をしたルト様がいた。
そして立ち上がろうとした私達を「私が勝手に来たのだから」と手で制した。
「そうですわよ、お兄様!マナー違反よ?私の庭に、許可もなく」
「ごめんよ、フリーダ。リアが来ていると聞いてね。ちょっと彼女に話があったものだから……はい、これお詫び」
そう言って、ルト様はフリーダのもうひとつの大好物、ベルグのシュークリームを差し出した。
「あら!今回は大目に見ますわ」
「ありがとう」
さすが、妹の扱いを分かっている。もっとも、フリーダも嬉しそうで、言葉ほど怒っているような素振りはなかったが。
「お兄様もお茶をいただきますか?」
「ああ、そうだな、いただこう。少しだけ、邪魔をするよ」
そう言ってルト様は、いつの間にか並べられていた椅子に座る。
そして少しの間、軽く世間話をしながら皆でお茶をいただいた。
「それで?お兄様。リア姉様にお話があったのではなくて?」
「あ、ああ、そうなのだが」
なぜかフリーダが前のめり気味にルト様をせっつく。そんな様子をリンさんは苦笑しながら、シスは若干不機嫌?そうな顔をして見ている。私はハテナが増えるだけだ。
ルト様は一度深呼吸をして、私の方に向き直った。
「……リア。三ヶ月後、私の誕生パーティーの夜会があるだろう?エスコートは誰に?」
「あら、確かにもうすぐですわね!ちょうど弟が留学から帰ってきておりますので、弟に頼むと思います」
「……婚約者は?」
「まだ、そちらに気持ちが向きませんの」
「なら……私が立候補しても良いだろうか?」
想像もしていなかった言葉に、私は思わず息を飲んで立ち上がる。
ルト様の顔は真剣だ。いつもと違う表情に動揺してしまう。
「えっと、でもそれは……だってルト様は、ロイエと私のずっと友だちだと言って……」
「そう。そう言って、自分の気持ちを閉じ込めていたんだ。昔も今も、リアの気持ちはロイエに向いているからと。そしてロイエは友人だからと」
「昔、も……?」
「そう、昔も。遠慮なんてしなければ良かった。……いや、違うな。情けないけど、認めずに逃げていたんだ。自分の気持ちから」
「ルト様……」
「できれば、その夜会で私にエスコートさせて欲しい」
ルト様の誕生日の夜会でエスコートをしてもらうということは、身分を考えてもそういうことになるだろう。
ルト様のことは、もちろん好きだ、友人として。
けれど、急なことで、頭が追い付かない。
「結論を急ぎすぎじゃない?ルト」
その時、また後ろから声がした。振り返ると、なんとフォンス様がいつもの笑顔で立っていた。
「フォンス様!フォンス様もマナー違反ですわよ!」
フリーダは、フォンス様の目の前まで歩いて行き、詰るように言う。
「ごめんよ、フリーダ。後で何でも言うことを聞くからさ」
「……約束ですわよ!」
それでぷんすこしながらも許すフリーダが可愛い。
ではなくてだな。
「フォンス様まで、なぜこちらに?」
そう、それだよね。
「うん?ちょっと従兄弟殿に仕事の相談をね……ひとつ、別の人間に引き継ぎをとね。で、シャルリア妖精姫がいらしていると小耳に挟んだので馳せ参じた次第さ」
え、私がいるからって何故わざわざ?フォルテロ領にいる間、なんだかんだちょこちょこ来て、呼吸するかのように口説かれたけれど、呼吸と同じように流してきたのだけれど。
「来て良かったなあ。ルト、シャルリア嬢もすぐに返事はできないんじゃないか?あれを捨て置いたといっても、まだ日にちは浅いし、何より、今まで友人スタンスったのだろう?」
「!それはそう、ですが。……ごめん、リア。急なことで驚かせた」
「いえ、そんな」
「でも、もう後悔したくなかったんだ。時間をかけてくれていいから……考えてくれないか」
「ルト様………………、はい、承知致しました」
迷ったが、真剣に伝えてくれたルト様を無下にもできない。私も真剣に考えて、答えを出そう。
「ありがとう、リア」
ほっとした笑顔を浮かべたルト様は、いつもの第一王子然とした顔と違って無防備で、一瞬ドキッとしてしまう。
(うう……全く意識していなかったから気づかなかったけど、王子だけあって全てハイスペック……!)
「うーん、本気で顔を出して正解だったな。……妬けるね」
フォンス様が向き合って微笑み合う私達を見て、そんな事をぼやいたかと思うと。
後ろから両肩を引かれ、フォンス様に支えられるような体勢にされた。
シスはチッと舌打ちをして、他の三人は目を見開いてこちらを見る。
「フォンス様?!何を……」
「何を、って、だってシャルリア嬢ひどくない?私があれだけ口説いても真剣に取り合ってくれなかったくせに」
「ですが、それは……!」
「私も本気だよ、シャルリア嬢」
フォンス様は獲物を見るように私を見て、右手を取り手の甲にキスをする。
「で、すから、遊び慣れた、方は私……!」
「うん、だからね。仕事の1つを辞めさせてもらったよ?……慣れていると言われたら否定できないけれど、今後は君だけを見ていられると約束しよう」
「それ、は……」
冗談かと思っていた「仕事」が、どうやら本当だったらしい。諜報的な何かをこなしていたのだろう。でも……。
「……でも、本当に浮気しないかはわからないじゃないですか」
「だからさ?私のことも見ていてよ。ね?」
「う……!」
フォンス様も今までと違って、切なそうな顔で訴えてくる。
(も、もう、どうしたらいいのかわからない!)
「はい、そこまでです」
シスが無表情で、私をフォンス様からひっぺがしてくれた。私はほっとして、シスにしがみついてしまう。
「シスぅ、無粋だなあ」
「貴方こそ、大人気ない。充分でしょう?」
シスの言葉に、「はいはい」とフォンス様は肩をすくめた。
「フォンス様」
地を這うような低い声呼びながら、ルト様がフォンス様を見る。
「わ、ごめんて、ルト!そんなに怖い顔をしたら、シャルリア嬢もびっくりするぞ?」
「あ……っ、しかし!」
「影でコソコソするのはフェアじゃないと思ってね?」
「それはそうですが!その態度は女性に失礼です!」
「はいはい、気をつけるよ、っと。じゃあ、今日はこの辺で失礼するよ。シスに射殺されそうだし」
「そうしてください」
「いや、そこはちょっと否定しようか?!」
そんな軽口を言いながら、フォンス様は去って行った。
「シャルリア嬢、ルト、これからもよろしくね」との言葉を残して。
そしてその後すぐに侍従さんがルト様をお迎えに来た。どうやら仕事が残っていたようだ。
「慌ただしくてすまない、リア」
「いえ。お仕事頑張ってくださいね」
「何だこれ、やる気が出るな。今日は会えて良かった。……じゃあ、また」
「……はい、また」
ルト様のさらっと出た言葉に赤面しつつ、後ろ姿を見送る。
「お嬢様、大丈夫ですか?」
「大丈夫じゃないわ……」
「そうですよね」と苦笑しながら背中を擦ってくれるシス。癒されるぅ~。
「きゃ~!お姉様!どうなさるの?やだ、楽しみ!」
「これ、フリーダ様!」
フリーダを諌めながらも楽しそうですが、リンさん。
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「コスモスも一見地味だけど、こう咲き誇ると圧巻よね!」
私は庭一面に広がるコスモス畑を眺めて、すーっと深呼吸をした。気持ちのいい風もそよそよと吹いている。
「そうでしょう?ありがとうございます。昔から好きで……私のお庭は、コスモス畑でお願いしたんです。あちらのキンモクセイも、もうそろそろ香りますわ」
「私もキンモクセイも好きよ!」
「わ、嬉しい!またその頃にご招待させてくださいな」
「楽しみにしてるわね!」
美味しいお菓子と美味しいお茶と、気の置けない友人に囲まれて綺麗な庭園で……うーん、至福!
「幸せだわ……」
「本当に。私も噛み締めております」
フリーダと二人で、顔を見合わせて笑う。
そんな様子を、シスとリンさんが穏やかな笑顔で見守ってくれている。
「ふふっ。何だかまた、生まれ変わった気分!あっ、そうだわ、姉様!あれの所に行った時ね、楽しそうなこともあったのよ~!」
「楽しそうなこと?」
フリーダったら、もうすっかりアレ呼ばわり。うん、いい傾向ね!
「フリーダ様!それは」
「分かってるわよう、リン。無粋なことはしないわ。でも応援したいじゃない」
「応援?今度は何よ?フリーダが楽しそうだからいいけど、気になるじゃない」
「ふふっ、ごめんなさい、秘密なの!」
「ええ!酷い!リンさん?」
「申し訳ございません。私からは」
で、ですよね?!あんまり食い下がっても困らせてしまうので止めよう。でも気になる!
「……!まさか……?!いえ、あり得るわね……」
シスは何だかブツブツと言って、二人を見た。二人は笑顔でシスに親指を立てている。
「……ああ、なるほど。まあ、当然と言えば当然……」
「えっ、何?何なの?シスも知ってるの?教えてよ~!」
「いえ、やはり私の口からは」
「何それ!皆してひどいっ」
「……楽しそうな所、申し訳ない。少しお邪魔してもいいかな?」
四人でキャッキャしている所に、イケメンボイスが響く。振り返ると、少し申し訳なさそうな顔をしたルト様がいた。
そして立ち上がろうとした私達を「私が勝手に来たのだから」と手で制した。
「そうですわよ、お兄様!マナー違反よ?私の庭に、許可もなく」
「ごめんよ、フリーダ。リアが来ていると聞いてね。ちょっと彼女に話があったものだから……はい、これお詫び」
そう言って、ルト様はフリーダのもうひとつの大好物、ベルグのシュークリームを差し出した。
「あら!今回は大目に見ますわ」
「ありがとう」
さすが、妹の扱いを分かっている。もっとも、フリーダも嬉しそうで、言葉ほど怒っているような素振りはなかったが。
「お兄様もお茶をいただきますか?」
「ああ、そうだな、いただこう。少しだけ、邪魔をするよ」
そう言ってルト様は、いつの間にか並べられていた椅子に座る。
そして少しの間、軽く世間話をしながら皆でお茶をいただいた。
「それで?お兄様。リア姉様にお話があったのではなくて?」
「あ、ああ、そうなのだが」
なぜかフリーダが前のめり気味にルト様をせっつく。そんな様子をリンさんは苦笑しながら、シスは若干不機嫌?そうな顔をして見ている。私はハテナが増えるだけだ。
ルト様は一度深呼吸をして、私の方に向き直った。
「……リア。三ヶ月後、私の誕生パーティーの夜会があるだろう?エスコートは誰に?」
「あら、確かにもうすぐですわね!ちょうど弟が留学から帰ってきておりますので、弟に頼むと思います」
「……婚約者は?」
「まだ、そちらに気持ちが向きませんの」
「なら……私が立候補しても良いだろうか?」
想像もしていなかった言葉に、私は思わず息を飲んで立ち上がる。
ルト様の顔は真剣だ。いつもと違う表情に動揺してしまう。
「えっと、でもそれは……だってルト様は、ロイエと私のずっと友だちだと言って……」
「そう。そう言って、自分の気持ちを閉じ込めていたんだ。昔も今も、リアの気持ちはロイエに向いているからと。そしてロイエは友人だからと」
「昔、も……?」
「そう、昔も。遠慮なんてしなければ良かった。……いや、違うな。情けないけど、認めずに逃げていたんだ。自分の気持ちから」
「ルト様……」
「できれば、その夜会で私にエスコートさせて欲しい」
ルト様の誕生日の夜会でエスコートをしてもらうということは、身分を考えてもそういうことになるだろう。
ルト様のことは、もちろん好きだ、友人として。
けれど、急なことで、頭が追い付かない。
「結論を急ぎすぎじゃない?ルト」
その時、また後ろから声がした。振り返ると、なんとフォンス様がいつもの笑顔で立っていた。
「フォンス様!フォンス様もマナー違反ですわよ!」
フリーダは、フォンス様の目の前まで歩いて行き、詰るように言う。
「ごめんよ、フリーダ。後で何でも言うことを聞くからさ」
「……約束ですわよ!」
それでぷんすこしながらも許すフリーダが可愛い。
ではなくてだな。
「フォンス様まで、なぜこちらに?」
そう、それだよね。
「うん?ちょっと従兄弟殿に仕事の相談をね……ひとつ、別の人間に引き継ぎをとね。で、シャルリア妖精姫がいらしていると小耳に挟んだので馳せ参じた次第さ」
え、私がいるからって何故わざわざ?フォルテロ領にいる間、なんだかんだちょこちょこ来て、呼吸するかのように口説かれたけれど、呼吸と同じように流してきたのだけれど。
「来て良かったなあ。ルト、シャルリア嬢もすぐに返事はできないんじゃないか?あれを捨て置いたといっても、まだ日にちは浅いし、何より、今まで友人スタンスったのだろう?」
「!それはそう、ですが。……ごめん、リア。急なことで驚かせた」
「いえ、そんな」
「でも、もう後悔したくなかったんだ。時間をかけてくれていいから……考えてくれないか」
「ルト様………………、はい、承知致しました」
迷ったが、真剣に伝えてくれたルト様を無下にもできない。私も真剣に考えて、答えを出そう。
「ありがとう、リア」
ほっとした笑顔を浮かべたルト様は、いつもの第一王子然とした顔と違って無防備で、一瞬ドキッとしてしまう。
(うう……全く意識していなかったから気づかなかったけど、王子だけあって全てハイスペック……!)
「うーん、本気で顔を出して正解だったな。……妬けるね」
フォンス様が向き合って微笑み合う私達を見て、そんな事をぼやいたかと思うと。
後ろから両肩を引かれ、フォンス様に支えられるような体勢にされた。
シスはチッと舌打ちをして、他の三人は目を見開いてこちらを見る。
「フォンス様?!何を……」
「何を、って、だってシャルリア嬢ひどくない?私があれだけ口説いても真剣に取り合ってくれなかったくせに」
「ですが、それは……!」
「私も本気だよ、シャルリア嬢」
フォンス様は獲物を見るように私を見て、右手を取り手の甲にキスをする。
「で、すから、遊び慣れた、方は私……!」
「うん、だからね。仕事の1つを辞めさせてもらったよ?……慣れていると言われたら否定できないけれど、今後は君だけを見ていられると約束しよう」
「それ、は……」
冗談かと思っていた「仕事」が、どうやら本当だったらしい。諜報的な何かをこなしていたのだろう。でも……。
「……でも、本当に浮気しないかはわからないじゃないですか」
「だからさ?私のことも見ていてよ。ね?」
「う……!」
フォンス様も今までと違って、切なそうな顔で訴えてくる。
(も、もう、どうしたらいいのかわからない!)
「はい、そこまでです」
シスが無表情で、私をフォンス様からひっぺがしてくれた。私はほっとして、シスにしがみついてしまう。
「シスぅ、無粋だなあ」
「貴方こそ、大人気ない。充分でしょう?」
シスの言葉に、「はいはい」とフォンス様は肩をすくめた。
「フォンス様」
地を這うような低い声呼びながら、ルト様がフォンス様を見る。
「わ、ごめんて、ルト!そんなに怖い顔をしたら、シャルリア嬢もびっくりするぞ?」
「あ……っ、しかし!」
「影でコソコソするのはフェアじゃないと思ってね?」
「それはそうですが!その態度は女性に失礼です!」
「はいはい、気をつけるよ、っと。じゃあ、今日はこの辺で失礼するよ。シスに射殺されそうだし」
「そうしてください」
「いや、そこはちょっと否定しようか?!」
そんな軽口を言いながら、フォンス様は去って行った。
「シャルリア嬢、ルト、これからもよろしくね」との言葉を残して。
そしてその後すぐに侍従さんがルト様をお迎えに来た。どうやら仕事が残っていたようだ。
「慌ただしくてすまない、リア」
「いえ。お仕事頑張ってくださいね」
「何だこれ、やる気が出るな。今日は会えて良かった。……じゃあ、また」
「……はい、また」
ルト様のさらっと出た言葉に赤面しつつ、後ろ姿を見送る。
「お嬢様、大丈夫ですか?」
「大丈夫じゃないわ……」
「そうですよね」と苦笑しながら背中を擦ってくれるシス。癒されるぅ~。
「きゃ~!お姉様!どうなさるの?やだ、楽しみ!」
「これ、フリーダ様!」
フリーダを諌めながらも楽しそうですが、リンさん。
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