腹黒王子の初恋

渡 幸美

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ちょっと番外編

お留守番♪

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私、ユーリシア=シェール。11歳よ!聖女のママと、公爵をやってるパパの長女! 

パパと同じく水魔法が得意!あと、なんと雷さんも使えたりします、ふふふ。将来は、グリーク王国の騎士団長になるのが夢なの!!

「ユーリは寂しくないか?ごめんな、今日は神殿に連れていけなくて」

「え?!全然!ママたちの祝福を見るのは綺麗で好きだけど、何度も見れてるし。しかも今日は特別なんでしょ?仕方ないもの」

「分かってくれてるんだな、ありがとう、ユーリ」

パパが私の頬にキスをしてくれる。

そう、今日は二人でお留守番なのだ。ママと弟のアーサーは、特別なご加護式の為に二人で神殿に行っている。決まった人しか入れないお部屋があるんだって。アーサーは光魔法がすごく強いし、女神様絡みでいろいろあるのだろう。でも私は私でチカラがあるし、やりたいことがあるので全く気にならない。

むしろ、パパと二人でお留守番も嬉しい。

「パパと二人でお留守番も珍しいもの!これだって特別よ!」

パパが嬉しそうな笑顔をして、抱きしめられる。パパとママのぎゅっ、は特別。うふふ、ってなっちゃう。


「ねぇ、パパ。そしたら私、剣術の練習をしたい!アンドレイお兄さまとか呼べないかな?」

「ユーリは本当に剣術好きだな。そんなに騎士になりたいの?」

パパが困ったような笑顔で話す。

「……ダメ?」

「ダメじゃないけど……パパはユーリが怪我なんかしたら心配だからね。それだけ」

「大丈夫よ!怪我をしないための練習だもの。私は剣と魔法が得意だから、アーサーとは違う方法で領地や国の役に立ちたいの」

「……そうか。二人とも本当に自慢の子どもたちだよ」

パパが目を細めて優しく微笑んで、頭をポンポンされる。くすぐったくて、嬉しい。

「パパもママもユーリがしたいことを応援するよ。でも、他にやりたいことができたら、それはそれでいいからね?」

「うん!ありがとう、パパ」

実は、この問答は何度かしている。本当に心配してくれているんだろうなあと思う。けれど、やらされている訳でも、肩にチカラが入りすぎた使命感でもなく、私がやりたいのだ。自分が好きで得意なことで、皆を守れるなんて最高だ。

なんだかんだ、道を自分で選ばせてくれる、パパママにも感謝!


「ちゃんとお婿さんも来てもらえるように頑張るし!」
「それは別に頑張らなくてもいいぞ?」

食い気味に言葉を重ねてくるパパに笑ってしまう。

パパは私をお嫁に出したくないんだって。親バカだよね。


でも、まだ私も嬉しいかなっ。


パパの氷の笑顔を溶かしてくれる男の子が見つかるまで、パパが私の一番だよ。


……見つかる、よね?



─────────────────────────


あやかし様も、お願いします!


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