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呪われた美女
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その日、はるかは最悪だった。
前日に恋人と別れ、気持ちが駄々下がりなのを堪えて出社したのに、不可抗力のミスを連発し、しかも誰がやったのか分からないミスまではるかのせいにされ。
ーーーよくあることだ。弱ってる人に付け込む奴は、何処にでもいる。けれど、今日は本当にキツかった。
「はあ……私が何をしたっていうのよ」
誰もが口にしたことがあるであろう恨み節を吐きながら、帰路に着く。
はるかは、駅から自宅アパートへ帰る道すがら、自分の人生を振り返っていた。
はるかは、何故か男運がない。
周りは23歳で、そんなに焦るなと言う。焦ってはいないのだ。ただ、好きな人と穏やかに過ごせる生活には憧れるじゃないか。それだけなのに。
まあ、中学はいい。恋への憧れでキャッキャしていて楽しかった。けれど、その頃から不穏な空気はあったかもしれない。何故かはるかが『いいな』と思う男の子は、浮気性だったりナルシストだったりと、裏の顔があることが判明するのだ。まあ、一番は浮気ね。
高校生になると、それは顕著に現れた。付き合って1ヶ月くらい経つと、必ず浮気される。高校生なのに、ヒモっぽくなった奴もいた。
それが3、4人続くと、さすがに変な噂も流れ始める。
「呪われた美女」
嬉しくないあだ名だ。それに別に美女ではない。はるかは普通の地味な大人しい顔立ちだが、少しでもいい運を呼び込もうと、努力しているのだ。
ありがたいことに友人には恵まれていて、そんなはるかを笑い飛ばしてフォローしてくれている。人の悪口を言うのも好きではないので、のらくらとかわして楽しい話に変換している。自分ではなかなかの得意技だと思っている。
まあ、心の奥底には、人様の悪口とかばかり言って、これ以上自分に不幸?が降りかかるのは勘弁!!なんて下心もあったりするけれど。テヘ。で、でも、悪いことではないはず!うん。
そんなこんなで、高校時代は楽しい恋愛なんぞ出来ず。大学で!と張り切っていたものの、不運体質は変わらずで……。すごいのは、入ろうとしていたサークルがとんでもないトラブルを起こして廃部になったことさえあるのだ。犯罪の域に入ってしまっていたこともあり、しばらくニュースでも大々的に報道されていた。まあ、ある意味これはラッキーだったが。
さすがのはるかも、これは大打撃だった。なぜって、主犯格の先輩に憧れていたからだ。2つ年上で、はるかと同じ高校で、みんなのアイドル的な存在の人だった。だから凄く好きとかそんなんじゃなかったけど、それにしてもショックだった。
(私のせい?……だったりしない、わよね?)
なんて、不安になることもある。だって、周りで続きすぎるから。
(でもでも。友達には変なこと起きないし!楽しくできてるし!そんな、変な呪いみたいなことなんて、私知らないし!たまたま、たまたまよ!)
などと、自分に頑張って言い聞かせていた。けれど。
(何だか、疲れたわ。しばらくは勉強だけに集中しよう)
不安な要素を感じながら恋愛するのも嫌だし。それはもう諦めると言うのも違うけど、優先順位は最下位にして。せっかく頑張って入った大学だ。入りたかった教授のゼミにも入れたし、学生の本分に集中するぞ!!
と、気合いを入れてからわりとすぐに、事態が変わるのはよくあることで。
「俺と、付き合ってください」
大学一年の夏に、同じゼミの同級生に告白された。
いい人だった。穏やかで優しくて、ゼミでも頼りになる存在。でもはるかは努めて誰も意識しないようにしていたし、もう、いろいろあるのが嫌で断ることにした。
でも彼は、なかなか諦めてはくれず。何度も告白された。はるかも困って、今までの出来事を話すことにした。これで引いてくれるだろうと。だけど彼は逆に言ったのだ。「だからこそ自分が幸せにしたい」と。
これには絆された。だって、絆されるよね?気づけばもう大学四年生、4度目の夏に、とうとう付き合うことになった。
愛されていて、幸せだった、と思う。彼といると穏やかになれて、安心していられた。けれど、彼と関係を進めようとすると、必ず何かの邪魔が入るのだ。
やっぱり私が、と落ち込むはるかに、彼は大丈夫、一緒にいるだけでも嬉しいからと言ってくれていた。
「それなのに……ひどい」
はるかは泣きそうになってしまい、歩みを止めて、上を向く。ひどい……けれど。
「ちょっとわからくも、ないんだけどさ……」
と、ポソっと一人言て、また歩き出す。
そう、分からなくもない。なんせ私達は、ずっと清いままだったのだ。本当にあり得ないくらいの邪魔が入って、キスすらもできなかった。
「何かのマンガみたいだな、って、笑ってくれていたけど……」
彼も大人だ。そりゃ、することはしたいだろう。分かりたくないけれど。恋愛って、それだけじゃないでしょ!って思うけれど。それでも、分かるのだ。
「だったら、もっと早くに別れてくれれば、良かったのに」
まるで、昼ドラか何かの再現ドラマのようだった。
驚かせようと内緒で彼のアパートに行ったら、浮気相手と最中だったのだ。
彼は慌てて、それでも謝罪して、彼女とはそういう関係だけで、私と別れる気はないとか言ってくれていたけれど。……普通に、無理だった。世の中、ドライに割り切って、そう付き合っている人がいるのも認識している。でも、私には無理だ。
首を横に振る私に、彼は残念そうな顔はしたけれど、「……そうか……」と一言だけ言って、昔のように引き止めてはくれなかった。
気づけば、はるかの両目からは大粒の涙が溢れていた。
また、足が止まる。
そして足を止めたそこは、毎日通っている小さな神社の前だった。アパートから駅までの通り道にあり、毎朝挨拶をしてから仕事に向かっている。小さいけれど、気持ちが落ち着く、お気に入りの神社。
「夜、だけど……少し、お邪魔します。落ち着いたら、出ていきます」
自分が呪いじゃないと思いつつも、それなりに気にしていたはるかは、神社とか神様とか、そんな諸々を自分なりに少し勉強していた。その中で、夕方の逢魔が時以降の時間の神社は神様が降りてくる時間で、人間が入るべきではないとの本を読んだことがあった。素直なはるかはなるほどと思い、それ以降、夜に神社の境内に入ることはしなかったのだが。
(こんなに泣いていたら、不審者よね。恥ずかしいし。入り口の隅っこだけ、お借りします)
羞恥心が勝り、心の中で御挨拶をしてお邪魔することにしたのだった。
さわさわ、さわさわさわ……。
季節は春から夏に変わろうとする頃。今は夜で暗いけれど、周りの街灯に照らされた神社の新緑が、儚げで美しく見える。風も心地いい。
そうして、草木が風に吹かれる音を聞いていると、はるかの気持ちもだんだんと落ち着いてくる。
「ふうっ、そろそろ大丈夫かな!帰ろう」
数分は経ったろうか。はるかはちょっと大きな一人言を言って、深呼吸をする。と。
……ぐ、ぐる、る……
何かが聞こえた。うめき声?犬?かしら?やだ、怖い。
実ははるかは、子どもの頃に追いかけられてから、犬が苦手だ。苦手、だが。
ぐ……ぅ……ハッ、ハッ…………
苦しそうな息使いになっている。これは見捨てられない。はるかは、あんまり大きな動物ではありませんように!と祈りながら、声の方へと向かった。
すると、本殿の建物の隅の方に、うずくまる子犬?を見つけた。少し遠目に観察する。
(あんまり見た事のない犬種っぽいけど……犬、よね?あら、しっぽがかわいい!先が2つに別れているのね、珍しい)
はるかは、吠えられないようにそっと近づく。そして、その子犬の体を見て、ひゅっと息を飲む。無数の切り傷があるのだ。
「……ひどい、誰がこんなことを」
子犬の呼吸は辛そうだ。早く病院に連れていかないと。
「ごめんね、ちょっと触るね。お医者さまの所に行こうね」
はるかは子犬をそっと優しく抱き上げた。子犬は一瞬、ビクッとしてはるかを睨むように見たが、はるかが「大丈夫よ」と笑顔を向けると、安心したように目を閉じた。はるかはちょっと心配したが、お腹は上下していて、息はしている。安心して寝たのだろうとほっとする。
「さて、お医者さん、お医者さん」
はるかは急いで携帯を取り出して、この時間でもやっている獣医師を探す。幸いにも、ここから歩いて10分位の所にありそうだ。
(そういえば、動物病院って保険がきかないのよね)
もう一度調べて、良かった、クレカが使えるわと確認をして、はるかは子犬を抱いて病院へと向かった。
前日に恋人と別れ、気持ちが駄々下がりなのを堪えて出社したのに、不可抗力のミスを連発し、しかも誰がやったのか分からないミスまではるかのせいにされ。
ーーーよくあることだ。弱ってる人に付け込む奴は、何処にでもいる。けれど、今日は本当にキツかった。
「はあ……私が何をしたっていうのよ」
誰もが口にしたことがあるであろう恨み節を吐きながら、帰路に着く。
はるかは、駅から自宅アパートへ帰る道すがら、自分の人生を振り返っていた。
はるかは、何故か男運がない。
周りは23歳で、そんなに焦るなと言う。焦ってはいないのだ。ただ、好きな人と穏やかに過ごせる生活には憧れるじゃないか。それだけなのに。
まあ、中学はいい。恋への憧れでキャッキャしていて楽しかった。けれど、その頃から不穏な空気はあったかもしれない。何故かはるかが『いいな』と思う男の子は、浮気性だったりナルシストだったりと、裏の顔があることが判明するのだ。まあ、一番は浮気ね。
高校生になると、それは顕著に現れた。付き合って1ヶ月くらい経つと、必ず浮気される。高校生なのに、ヒモっぽくなった奴もいた。
それが3、4人続くと、さすがに変な噂も流れ始める。
「呪われた美女」
嬉しくないあだ名だ。それに別に美女ではない。はるかは普通の地味な大人しい顔立ちだが、少しでもいい運を呼び込もうと、努力しているのだ。
ありがたいことに友人には恵まれていて、そんなはるかを笑い飛ばしてフォローしてくれている。人の悪口を言うのも好きではないので、のらくらとかわして楽しい話に変換している。自分ではなかなかの得意技だと思っている。
まあ、心の奥底には、人様の悪口とかばかり言って、これ以上自分に不幸?が降りかかるのは勘弁!!なんて下心もあったりするけれど。テヘ。で、でも、悪いことではないはず!うん。
そんなこんなで、高校時代は楽しい恋愛なんぞ出来ず。大学で!と張り切っていたものの、不運体質は変わらずで……。すごいのは、入ろうとしていたサークルがとんでもないトラブルを起こして廃部になったことさえあるのだ。犯罪の域に入ってしまっていたこともあり、しばらくニュースでも大々的に報道されていた。まあ、ある意味これはラッキーだったが。
さすがのはるかも、これは大打撃だった。なぜって、主犯格の先輩に憧れていたからだ。2つ年上で、はるかと同じ高校で、みんなのアイドル的な存在の人だった。だから凄く好きとかそんなんじゃなかったけど、それにしてもショックだった。
(私のせい?……だったりしない、わよね?)
なんて、不安になることもある。だって、周りで続きすぎるから。
(でもでも。友達には変なこと起きないし!楽しくできてるし!そんな、変な呪いみたいなことなんて、私知らないし!たまたま、たまたまよ!)
などと、自分に頑張って言い聞かせていた。けれど。
(何だか、疲れたわ。しばらくは勉強だけに集中しよう)
不安な要素を感じながら恋愛するのも嫌だし。それはもう諦めると言うのも違うけど、優先順位は最下位にして。せっかく頑張って入った大学だ。入りたかった教授のゼミにも入れたし、学生の本分に集中するぞ!!
と、気合いを入れてからわりとすぐに、事態が変わるのはよくあることで。
「俺と、付き合ってください」
大学一年の夏に、同じゼミの同級生に告白された。
いい人だった。穏やかで優しくて、ゼミでも頼りになる存在。でもはるかは努めて誰も意識しないようにしていたし、もう、いろいろあるのが嫌で断ることにした。
でも彼は、なかなか諦めてはくれず。何度も告白された。はるかも困って、今までの出来事を話すことにした。これで引いてくれるだろうと。だけど彼は逆に言ったのだ。「だからこそ自分が幸せにしたい」と。
これには絆された。だって、絆されるよね?気づけばもう大学四年生、4度目の夏に、とうとう付き合うことになった。
愛されていて、幸せだった、と思う。彼といると穏やかになれて、安心していられた。けれど、彼と関係を進めようとすると、必ず何かの邪魔が入るのだ。
やっぱり私が、と落ち込むはるかに、彼は大丈夫、一緒にいるだけでも嬉しいからと言ってくれていた。
「それなのに……ひどい」
はるかは泣きそうになってしまい、歩みを止めて、上を向く。ひどい……けれど。
「ちょっとわからくも、ないんだけどさ……」
と、ポソっと一人言て、また歩き出す。
そう、分からなくもない。なんせ私達は、ずっと清いままだったのだ。本当にあり得ないくらいの邪魔が入って、キスすらもできなかった。
「何かのマンガみたいだな、って、笑ってくれていたけど……」
彼も大人だ。そりゃ、することはしたいだろう。分かりたくないけれど。恋愛って、それだけじゃないでしょ!って思うけれど。それでも、分かるのだ。
「だったら、もっと早くに別れてくれれば、良かったのに」
まるで、昼ドラか何かの再現ドラマのようだった。
驚かせようと内緒で彼のアパートに行ったら、浮気相手と最中だったのだ。
彼は慌てて、それでも謝罪して、彼女とはそういう関係だけで、私と別れる気はないとか言ってくれていたけれど。……普通に、無理だった。世の中、ドライに割り切って、そう付き合っている人がいるのも認識している。でも、私には無理だ。
首を横に振る私に、彼は残念そうな顔はしたけれど、「……そうか……」と一言だけ言って、昔のように引き止めてはくれなかった。
気づけば、はるかの両目からは大粒の涙が溢れていた。
また、足が止まる。
そして足を止めたそこは、毎日通っている小さな神社の前だった。アパートから駅までの通り道にあり、毎朝挨拶をしてから仕事に向かっている。小さいけれど、気持ちが落ち着く、お気に入りの神社。
「夜、だけど……少し、お邪魔します。落ち着いたら、出ていきます」
自分が呪いじゃないと思いつつも、それなりに気にしていたはるかは、神社とか神様とか、そんな諸々を自分なりに少し勉強していた。その中で、夕方の逢魔が時以降の時間の神社は神様が降りてくる時間で、人間が入るべきではないとの本を読んだことがあった。素直なはるかはなるほどと思い、それ以降、夜に神社の境内に入ることはしなかったのだが。
(こんなに泣いていたら、不審者よね。恥ずかしいし。入り口の隅っこだけ、お借りします)
羞恥心が勝り、心の中で御挨拶をしてお邪魔することにしたのだった。
さわさわ、さわさわさわ……。
季節は春から夏に変わろうとする頃。今は夜で暗いけれど、周りの街灯に照らされた神社の新緑が、儚げで美しく見える。風も心地いい。
そうして、草木が風に吹かれる音を聞いていると、はるかの気持ちもだんだんと落ち着いてくる。
「ふうっ、そろそろ大丈夫かな!帰ろう」
数分は経ったろうか。はるかはちょっと大きな一人言を言って、深呼吸をする。と。
……ぐ、ぐる、る……
何かが聞こえた。うめき声?犬?かしら?やだ、怖い。
実ははるかは、子どもの頃に追いかけられてから、犬が苦手だ。苦手、だが。
ぐ……ぅ……ハッ、ハッ…………
苦しそうな息使いになっている。これは見捨てられない。はるかは、あんまり大きな動物ではありませんように!と祈りながら、声の方へと向かった。
すると、本殿の建物の隅の方に、うずくまる子犬?を見つけた。少し遠目に観察する。
(あんまり見た事のない犬種っぽいけど……犬、よね?あら、しっぽがかわいい!先が2つに別れているのね、珍しい)
はるかは、吠えられないようにそっと近づく。そして、その子犬の体を見て、ひゅっと息を飲む。無数の切り傷があるのだ。
「……ひどい、誰がこんなことを」
子犬の呼吸は辛そうだ。早く病院に連れていかないと。
「ごめんね、ちょっと触るね。お医者さまの所に行こうね」
はるかは子犬をそっと優しく抱き上げた。子犬は一瞬、ビクッとしてはるかを睨むように見たが、はるかが「大丈夫よ」と笑顔を向けると、安心したように目を閉じた。はるかはちょっと心配したが、お腹は上下していて、息はしている。安心して寝たのだろうとほっとする。
「さて、お医者さん、お医者さん」
はるかは急いで携帯を取り出して、この時間でもやっている獣医師を探す。幸いにも、ここから歩いて10分位の所にありそうだ。
(そういえば、動物病院って保険がきかないのよね)
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