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第12話
しおりを挟むラモンが部屋を出てから数分してイヴァンが浴室から上がってきた。
シャワーを浴びたようだが、バスローブもあるはずなのに腰にタオルを巻いた姿で来た。
「ラキ、ラモンは来た?」
足元からピチャピチャと水が滴ってくる。
「いやぁぁぁぁあ!!!」
上裸のイヴァンに驚いてラキはパーテーションの後ろに隠れた。
男の人の裸…こ、こわい…!
隠れてしまったラキにイヴァンも少しだけ動揺した。昨日は一緒に風呂に入ってもう裸の付き合いと思ったが案外そうでもなかったらしい。
「ふ、服は…ベッドのところに置いてあるので…。」
「ありがとう。他にはラモン何か言ってなかった?」
「着替えたら朝食、一緒に来てって…。」
イヴァンは着替えるとパーテーションの向こう側に隠れるラキに顔を見せた。
しゃがみ込んでいたラキがビクリと体を揺らした。
「ラキ、着替えたよ。朝ごはん食べよ。」
「は、はい。」
ゆっくりと立ち上がったラキをイヴァンはそのままお姫様抱っこして食堂へと運んだ。
「やめてください!恥ずかしいです!」
ラキがイヴァンの腕の中で揺れるがイヴァンはびくともしない。
「なんで?君を運ぶのはこれが1番効率いいんだけど。」
「運ばなくて大丈夫です!自分で歩けますから!」
暴れるラキにイヴァンは微笑んで無視をした。
「自分のことだから知ってる前提で話すけど君の体は思った以上に脆いから気をつけてね。」
ラキはスープを飲んでいた手を止めた。
「それぐらいわかってます。」
ラキは不貞腐れたように答えた。
「わかっているならいいけど、君が無理して怪我するのも嫌だから予め言っただけ。あ、この屋敷は好きなように使っていいからね?」
「部屋に戻ります。」
ラキは、ひと足先に朝食を食べ終えると部屋に戻った。
「後でテニスコートの鍵開けといてくれる?」
「承知しました。イヴァン様、一つお聞きしても?」
「ん。」
「ラキ様の「ラキ」はただの愛称なのでしょう?」
イヴァンは振り向いてラモンを見た。
「そうだよ。本当は「ラクレア」だよ。ラモンが決めたって言ってた段階では男か女か分かんなかったからさ。」
そういうとイヴァンはパンを一欠片口に放り込んだ。
「でしたら、男だとわかった時点で「ラキ」で良かったのでは?何故「ラクレア」にこだわるのです?」
「それはね、公式的にラキは僕のフィアンセって言うからだよ。」
ラモンは自分の主人の策略に感心しつつドン引きしていた。
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