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第10話
しおりを挟むハイベルナ家の執事、ラモンはいつもより一時間ほど早く起きた。
まだまだ若いとはいえど睡眠時間が削られるのは普通にしんどいし、自分より一回り以上年下の主人に生活リズムが乱されると考えるとまたしんどい。
昨晩、主人は自分の新しいおもちゃのためにいつもより四時間も早く起きると宣言していた。
そのために執事であるラモンも早起きしなければならなかった。
「失礼します。」
主人が眠る部屋に入ったがそこには誰もいなかった。
「失礼します。」
「ああ。」
執務室に入ると寝巻きのまま仕事をしていた主人がそこにはいた。
「お早いですね。」
「昨日の分と今日の分を取り戻さないといけないからな。着替えはその辺に置いといてくれ。」
いつもは自分に促されて仕事を始めていた主人が自主的に仕事を始めたのは新しくきたおもちゃの影響が大きい。
昨日も来たばかりの汚い子供の体を洗い、服を着せ、名前を付けていた。
主人は誰かに見られるのが嫌いなので部屋を出て朝食の下拵えと今日の業務の確認をすることにした。
——
よし、あとはこの書類に目を通してサインするだけで終わるな…。
「はぁー疲れたぁ。」
イヴァンは腕を上に伸ばして大きく伸びをした。
カーテンを開けて窓の外を見ると霧が広がっていた。
時刻は五時半まだ明け方だ。
イヴァンはもう一度大きなため息をついてラキが眠る部屋に向かった。
ラキの部屋の扉をそっと開けるとラキは寝ながらうなされていた。
気になって近づくとラキは寝心地悪そうに汗をかいていた。
何か悪い夢でも見てるのか?
イヴァンは何の躊躇もなくラキの布団の中へと潜っていった。
「大丈夫。大丈夫だからゆっくり寝ていいんだよ。」
イヴァンはラキの頭をそっと撫でながら抱いてそのまま一緒に眠った。
_____
あとがき
~10話ということで軽くハイベルナ家に関しての説明~
イヴァンやラキが住むハイベルナ家は都市部から大分離れた片田舎にあります。
※ラキがいた孤児院は都市部
ハイベルナ家の外観イメージはイギリスの「ケンジントン宮殿」です。
イヴァンや両親のこだわりにより
邸内にはテニスコート、プールがある。
近くの湖の近くにはハイベルナ家所有の小屋があり、そこにはボートやカヌーなどがあるらしい。
イヴァンが静かな場所や自然を好むので両親が亡くなってからは都市部に行くことは無くなったが、都市部の中心地にある高級マンションを所有しており、最上階のペントハウスはラモンが管理している。
ここまで読んでくださってありがとうございます。
また次の話も読んでくださると嬉しいです
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