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第9話
しおりを挟むこんなに美味しい飲み物は初めてだ…。
さっき食べたご飯もすっごく美味しくて、飲み物もとっても美味しくて夢の中みたいだ。
「これ、すごく美味しいです。」
ラキはイヴァンに振り向いて言った。
「うん。ラモンにも美味しいって言ってあげてね。」
ラキは頷いてまた一口ゴクリと飲んだ。
「もう夜も遅いから寝ようね?」
イヴァンはようやく膝の上に乗せたラキを下ろしてそのままベッドに寝かせた。
布団を掛けてやり、ベッドサイドランプを点ける。
部屋の電気を消して、イヴァンは先程まで座っていた椅子の向きをラキが横になっているベッドの方へと向けた。
それら一連の動きをラキはずっと目で追っていた。
「あなたも寝ないんですか?」
優しい目で自分を見るイヴァンにラキは問いかけた。
するとイヴァンは笑って答えた。
「眠たくないわけではないけど、君は一人で寝れないでしょ?」
「一人で寝れるもん!」
ラキは布団を引っ張って顔を覆い隠した。
イヴァンの挑発的な言葉に過剰に反応してしまったのを恥ずかしく思って急いで目を閉じた。
「そっか、じゃあ僕は部屋を出るけどなんかあったらそこの紐引っ張ってね。誰か来ると思うから。」
イヴァンは椅子から立ち上がると椅子を元の位置に戻してベッドサイドランプを消した。そしてテーブルの上に置いたティーセットを回収して部屋を出ようとした。
「待って!」
ラキが布団の中に潜ったままイヴァンを呼び止めた。
何かあったのかと思いイヴァンはラキに近づいた。
「どうしたの?」
「名前…を、教えて欲しい…。なんて呼べばいいか…わかんないから。」
わずかな月明かりしか差さない暗い部屋のベッドの布団の中でラキは赤面していた。
「僕の名前はね、イヴァンだよ。どんな呼び方しても特に気にしないから好きに呼んでね。」
「なんで僕を「ラキ」ってつけたの…?い、イヴァン…。」
ラキは布団の中、曇った声で恥ずかしがりながらイヴァンに聞いた。
「うふふ、それはね……」
——
「それじゃ、また明日。ラクレア。」
ラキを起こさないようにそっと部屋を出るとそこにはラモンが待ち構えていた。
「びっくりした…。何でいるの。」
「あなたが仕事を放ってラキ様の世話をするからでしょう?」
イヴァンは怪訝な顔をするとティーセットをラモンに押し付けて自分の部屋へと歩く。その後を当然ラモンが後ろから付いてくる。
「眠たい!寝させろ!」
イヴァンが珍しくラモンに声を荒げた。それに怯むことなくラモンは言い返した。
「おもちゃはあなたが仕事を遂行させるために必要と言ったから与えただけであって、あなたが仕事を遂行できないのであれば捨てるだけです。あなたの為に彼を食べさせているのであなたが仕事をしないならそれを取り上げるだけです。」
イヴァンはラモンの言葉を聞いて立ち止まった。
「わかった、毎朝4時に起きてその日の仕事を終わらせる。それでも終わらなかったら僕を催促したらいい。それでいいか?」
「それで仕事が終わるのならどんな方法でも構いません。」
イヴァンはラモンからその言葉を聞くとすぐさま自分の寝室へと入っていった。
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