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第7話:ショウ王子10歳
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ナーロッパお約束のイベントが起きることなく、遂に10歳を迎えてしまった。
しかし俺はまだ諦めていない。
なにせまだ10歳なのだ、これからいくらでも、何にでも挑戦できる。
だからこれもその布石なのだ。
今、城の訓練場で俺の奴隷達が模擬戦をしている。
白い獣人であるタイロックは重剣騎士団の団長、そして中性的なキリエは二人の駆槍騎士団員を相手している。
重剣騎士団の団長は重装かつ盾と剣による防御を得意としているが、タイロックはその防御を打ち砕くかのように激しく大槍を振るい一方的に攻撃する。
そして意識が上部に移った瞬間、相手の股下に槍を差し込みそのまま背負い投げの要領で投げ飛ばして決着した。
一方、駆槍騎士団員の二人は互いの槍が接触しないままに突きと薙ぎ払いの攻撃を繰り出すという芸当を披露してみせるが、奴隷のキリエはその全てを紙一重で避け続けるという神業を魅せた。
しかし一瞬だけバランスを崩してしまい、二つの槍がキリエを貫こうと伸び……キリエがマインゴーシュが軌道を逸らし、互いの胸元へと槍が届いてしまった。
決着がついたことにより、両者に惜しみない拍手が送られる。
まだまだ俺には遠く及ばないが、二年で騎士団長クラスまで強くなったのは良い傾向である。
これで俺の株も上がることだろう。
「いやぁ、まさかあの二人があそこまで強くなるとは」
「才能ということでしょうか。伊達にゲブラー帝国で生まれたわけではないということですな」
……は?
「ふざけんなよお前ら! 俺だ! 俺があそこまで育てたんだよ!」
「おぉっと、そうでしたな王子」
「王子の慧眼、流石でありますな」
この野郎、俺が後ろでただ見守ってただけだと思ってやがる。
確かにあいつらの努力も強くなる要因の一つだが、一番大きな功労者は死ぬ寸前まで鍛えた俺の手腕だぞ。
まぁいい、これで前提条件はクリアされた。
今回の勝負に勝つことで、あいつらは俺の奴隷でありながらも、従士という立場を与えるという約束を取り付けてある。
そして俺はあいつらを鍛えている間、何もしていなかったわけではない。
10歳から入学することができるビナー皇国呪文学園に入学する為の準備をしていたのだ。
入学できる条件は一定以上の教養と知識を備えていること、Bランク以上の魔力を保有していること、五節以上の呪文を使用できること。
これに加え、他国に向かうので十分な強さを持つ護衛を用意しなければなかった。
だが、そのハードルは全てクリアされた!
そして今日、試験の結果が返ってきたとシール先生に言われたので結果を聞きに言った。
「おや、決闘はどうでしたか?」
「もちろん勝ったに決まってんだろ。それで先生、結果はどうだったんだ」
先生がニヤリと笑い、蝋で封をされた手紙を渡してきたので開ける。
中にはビナー皇国呪文学園からの合格通知と、入学届けが入っていた。
「ヨッシャァ! これで俺も異世界で学園ものを楽しめるぜ!」
「そんな王子にサプライズです」
ガッツポーズをする俺を見て、先生はさらにもう一枚手紙をこちらに差し出してきた。
一体どんなサプライズだろうかとワクワクして手紙を開けて中身を見る。
「………卒業、証書?」
「おめでとうございます、王子。あなた様は30節以上の呪文を唱えられ、その実力は既に学園の誰よりも優れております。ですので、例外的にスグに卒業して肩書きだけが与えられる形となりました。いやぁ、このような偉業は初めてです」
「そんなん嬉しくねぇよクソッタレがぁぁああああああ!!!!!」
俺はその勢いのまま、卒業証書を真っ二つに破った。
しかし俺はまだ諦めていない。
なにせまだ10歳なのだ、これからいくらでも、何にでも挑戦できる。
だからこれもその布石なのだ。
今、城の訓練場で俺の奴隷達が模擬戦をしている。
白い獣人であるタイロックは重剣騎士団の団長、そして中性的なキリエは二人の駆槍騎士団員を相手している。
重剣騎士団の団長は重装かつ盾と剣による防御を得意としているが、タイロックはその防御を打ち砕くかのように激しく大槍を振るい一方的に攻撃する。
そして意識が上部に移った瞬間、相手の股下に槍を差し込みそのまま背負い投げの要領で投げ飛ばして決着した。
一方、駆槍騎士団員の二人は互いの槍が接触しないままに突きと薙ぎ払いの攻撃を繰り出すという芸当を披露してみせるが、奴隷のキリエはその全てを紙一重で避け続けるという神業を魅せた。
しかし一瞬だけバランスを崩してしまい、二つの槍がキリエを貫こうと伸び……キリエがマインゴーシュが軌道を逸らし、互いの胸元へと槍が届いてしまった。
決着がついたことにより、両者に惜しみない拍手が送られる。
まだまだ俺には遠く及ばないが、二年で騎士団長クラスまで強くなったのは良い傾向である。
これで俺の株も上がることだろう。
「いやぁ、まさかあの二人があそこまで強くなるとは」
「才能ということでしょうか。伊達にゲブラー帝国で生まれたわけではないということですな」
……は?
「ふざけんなよお前ら! 俺だ! 俺があそこまで育てたんだよ!」
「おぉっと、そうでしたな王子」
「王子の慧眼、流石でありますな」
この野郎、俺が後ろでただ見守ってただけだと思ってやがる。
確かにあいつらの努力も強くなる要因の一つだが、一番大きな功労者は死ぬ寸前まで鍛えた俺の手腕だぞ。
まぁいい、これで前提条件はクリアされた。
今回の勝負に勝つことで、あいつらは俺の奴隷でありながらも、従士という立場を与えるという約束を取り付けてある。
そして俺はあいつらを鍛えている間、何もしていなかったわけではない。
10歳から入学することができるビナー皇国呪文学園に入学する為の準備をしていたのだ。
入学できる条件は一定以上の教養と知識を備えていること、Bランク以上の魔力を保有していること、五節以上の呪文を使用できること。
これに加え、他国に向かうので十分な強さを持つ護衛を用意しなければなかった。
だが、そのハードルは全てクリアされた!
そして今日、試験の結果が返ってきたとシール先生に言われたので結果を聞きに言った。
「おや、決闘はどうでしたか?」
「もちろん勝ったに決まってんだろ。それで先生、結果はどうだったんだ」
先生がニヤリと笑い、蝋で封をされた手紙を渡してきたので開ける。
中にはビナー皇国呪文学園からの合格通知と、入学届けが入っていた。
「ヨッシャァ! これで俺も異世界で学園ものを楽しめるぜ!」
「そんな王子にサプライズです」
ガッツポーズをする俺を見て、先生はさらにもう一枚手紙をこちらに差し出してきた。
一体どんなサプライズだろうかとワクワクして手紙を開けて中身を見る。
「………卒業、証書?」
「おめでとうございます、王子。あなた様は30節以上の呪文を唱えられ、その実力は既に学園の誰よりも優れております。ですので、例外的にスグに卒業して肩書きだけが与えられる形となりました。いやぁ、このような偉業は初めてです」
「そんなん嬉しくねぇよクソッタレがぁぁああああああ!!!!!」
俺はその勢いのまま、卒業証書を真っ二つに破った。
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