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しおりを挟む「ちょっと! 告げ口したのは、あんたでしょ!」
「……」
「お前のせいで、どれだけ叱られたと思ってるんだ。あんな変な料理を食わせようとしておいて告げ口するとは、どうかしているぞ!」
「……」
ジャスミンは、ミアとオークリーに会うなり怒鳴り散らされていた。告げ口など、ジャスミンはしてはいない。大方、王太子が激怒してしたのだろう。
それこそ、勝手に誘われたと嘘までついたのは、そっちなのに何とも酷い難癖をつけられたものだ。
(もう、この二人に付き合うこともないわね)
「私は、そんなことしてはおりません」
「「っ!?」」
ジャスミンが、まともに話すことに物凄く驚いていた。
「は? 喋れんのか?」
「まさか、そんなわけは……」
「話せないとも、言葉がわからないとも言ったことは一度としてありませんよ」
「なっ、騙してたのね。なんて女なの!?」
もはや何を言ってもジャスミンが悪いとしか言わない二人にげんなりしてしまった。
(そもそも、どうして、この二人はこんなに偉そうなのかしらね。ジャスミンにだけでなくて、王太子殿下に対しても、酷かったけど)
「何をしている!?」
「ディミトリウス様! この女に騙されているんです!」
「は?」
「そうだ。こんな女が、この国の王太子妃になるなんて、どうかしている!」
「っ、」
ミアとオークリーは、ジャスミンのことをボロクソに言った。それを怒りで言葉が出てこないことを勘違いして、王太子に訴えたのだ。
ジャスミンは、合同授業中にされていたため、そのくらいで腹を立てたりすることはなかった。煩わしいと思うくらいだった。
「……合同授業で、ジャスミンにそんなことを言っていたのか?」
「どうせ、言葉なんて通じないと思っていたのに嘘をついていたんです! 酷いと思いませんか? こんな女が、王太子の婚約者だなんて恥です!」
「そうだ。この国の者が笑い者になる!」
「……それは、お前たちの方だと思うが? 彼女は、隣国の姫君だ。他国の王族を侮辱して、よくもそんなことが言えるな? お前たちのような貴族が、この国にいること自体が恥だ。ジャスミンには、恥を晒してばかりだと言うのに」
王太子は物凄く怒っていたが、二人には通じていなかったようだ。
王太子だけでなくて、王妃や国王までも激怒して、他の貴族たちもジャスミンにそんなことをしていたのかとなって凄かった。
ミアとオークリーは、即刻勘当され、ジャスミンが彼女たちの両親から謝罪されることになったのも、すぐだった。
だが、ジャスミンが許しても王妃が許すことはせずにお茶会を出禁にしたのが解けることはなかった。大変だったのは、そんな彼女たちの兄弟姉妹たちだった。王妃に出禁にされるような家と付き合っては、今後に関わると婚約が破棄されることになったのだ。
二つの家族と付き合うと共倒れになると思って、付き合いをやめる者も多かった。
(勘当されて見なくなるだけで、よかったのだけど……。それこそ、私が耐え忍んでいただけで、特にやることがなかったわね)
ジャスミンとしては、怒鳴り散らされることになったが、渋々だろうとも謝罪の1つくらいされるかと思っていたが、あの二人は自分たちが悪いことをしたとは思ってはいなかったようだ。
あまりに合同授業中に散々な目にあっていたことをアドレイドや他の令嬢たちも知って、一緒にいればよかったとジャスミンに謝罪してきたが、王妃に睨まれたら大変だからと親に言われてジャスミンに来ている令嬢立ちが大半だった。
アドレイドは親に言われてもいるのだろうが、ジャスミンがそこで何を目論んでいるかを理解して、わざと一緒にいなかったのだが、みんなの手前、きちんとしていたのは、流石だと思っていた。
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