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しおりを挟む流石に学園が始まるまでは、とても忙しいとアカツキは仕事を真面目にすることになった。義娘に仕事してる姿が一番かっこいいと言われたことが大きいのだが。
カレンはと言うとあやかし学園に入るのに最低限の知識は必要だと短期間の家庭教師をつけてもらうことになったのだが、その家庭教師を選ぶのも大変だったようだ。
あやかしのエリートたちが通う学園だけあって、礼儀作法は必須だった。あとは、家柄についてやあやかしの王族の歴史について。
春からは王族の王子が、入学するらしく、学園では同じ学生として扱われることになっているが、礼儀は欠かせられないことだからと合格をもらえるように頑張らねばならなかった。
あとは、理事長の義理の娘と言うこともあり、世話係を一緒に連れて行けると言うので何人か探してくれて、会ってカレンが選ぶことになっていた。
だが、そもそも自分が何のあやかしなのかがわからないカレンに対して、家庭教師はぞんざいだった。
カゲツキが紹介して、仕事に行ってしまうと家庭教師は態度がガラリと変わるのだ。
ぽっと出の癖にアカツキに泣きつきでもして養女になった小娘としか思っていないようだ。
(家庭教師が、これなら、学園では、もっと凄そうだな)
そう思うと全く楽しくない。むしろ、あやかしが嫌いになりそうだ。
「……」
「……」
朝晩と時間の都合のつく限り食事を共にするようになったアカツキは、カレンをじっと見ていた。
家庭教師は、カレンのやる気が見受けられないとカゲツキに言っているようだが、カレンの成績は小学校では中々に優秀だった。
「カレン」
「……はい」
「勉強は、進んでいるか?」
「……進む以前な気がする」
「あ?」
「家庭教師も、私もだけど、何のあやかしなのかが気になってしまって、そこが問題な気がする」
「血筋が気になるってことか?」
「血筋……、そうなるのかな。血の記憶は、気になる。何が得意なのか、私の異能は何なのか。本を読んでも、さっぱりわからなくて」
「あ? そこは、最初に教わってるだろ?」
「え?」
アカツキは何を言っているのだとばかりにカレンは家庭教師にどんなことを習っているのかと聞かれて、本を読めと渡されたと言えば、見せてみろと言うので部屋から持って来たのを見せれば、青筋を立ててカゲツキ!を大声で呼んだ。
思いの外、近場でアカツキの怒号を聞いてしまい、頭がくらくらしてしまった。
ふらつく身体をアカツキが慌てて支えてくれつつ、呼ばれたカゲツキが凄い速さでやって来て医者を呼びに行こうとしたのを止めたのは、カレンだった。
それで呼ばれたと思っていたカゲツキは、アカツキにカレンの家庭教師が、この本を読んで勉強させていると言うと無表情がちょっと怒っているものに変化した。
「申し訳ございません。すぐに新しい家庭教師を手配いたします」
「えっと、それ、読んでも……」
「あやかしの存在を誤った解釈で書かれたものです。この通りにやっても、何も起こらないか。あるいは、大失敗して死にかけたりします」
「なんだ。良かった」
「良かっただぁ?」
アカツキとカゲツキは、カレンが何を言っているのかわからない顔をしていたが、カレンは心の底から安堵していた。
「それ読めば読むほど、あやかしが嫌いになりそうというか、気持ち悪いと思えてしまって、誤った解釈なら、いいの。そういうのを教える学校に行かなきゃいけないのかと思ってたから、安心した」
そこまで言ってカレンは崩れ落ちるように気を失った。
「カレン!」
とんでもない本を読んで、カレンはとても心を痛めていたのと家庭教師の嫌味を受け続けたのと両親のお墓の件で、精神的にもまいっていたようで、この日から数日、高熱を出して寝込むことになった。
そこにちょっぴり、アカツキのカレンの耳元で怒号をあげたことも原因に入っていないこともなかったようで、アカツキは義娘のことに関して、部下たちに硝子細工を扱うごとく丁寧に扱えと命じたとか。
そのため、再び何かあっては大変だと鬼たちに思われることになっているとは思わなかった。
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