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しおりを挟む幼なじみにあれこれ言われた時の複雑さと別の複雑さをベアトリーチェに言われて、ニヴェスは抱いてしまっていた。
「婚約が破棄になって、お父様が調べてくれたの。とんでもない子息で、どうしてそんなのと婚約したがったのかって言われたから、義母がすすめてきたから間違いないと思ったって言ってやったの。そしたら、夫婦喧嘩になってしまって、私が気に入らなかったから、苦労すればいいと思ったと白状して、離婚することになったわ」
「……」
とりあえず、怒っていたから返事がなかったのではなくて、直接言いたかったから手紙が来なかっただけのようで、ニヴェスは心から安堵した。
ベアトリーチェの話を聞いて、何でそんなのと彼女の父親が結婚したのかと思ったが、夫がいる時といない時では態度が違いすぎたようだ。
そのため、ベアトリーチェは必死になって1人でどうにかしようとしていて、沼にハマってしまっていたようだ。
そこまでになってから、あれこれ調べた父親にベアトリーチェは愛想が尽きかけているようだが、今回すぐに動いてくれたからちょっとだけ見直したようだ。
そこから、マルチェッリーナやアデーレたちとベアトリーチェは意気投合するまで早かった。
3人が集まると美人の集団で、ニヴェスはそこに交じるのに毎回勇気がいって大変だったが、そのうちアデーレとベアトリーチェがニヴェスと同じ小説のファンだとわかり、美人うんねんの集まりだからと気が引けることはなくなった。
「……そんなに面白いの?」
「マルチェッリーナ、読んだことないの?」
「ニヴェスが、ハマっているのは知ってるけど……」
そのうち、マルチェッリーナも2人にすすめられるまま読んでハマった。
ニヴェスは何年かかっても読む気がしないと言っていたのに。アデーレとベアトリーチェにすすめられてあっさり読むマルチェッリーナをニヴェスは、ジト目でしばらく見ていた。
そんなことをしている間にアミールカレが、隣国に留学することになった。
留学すると聞いて、ニヴェスは色々考えてしまった。
「ニヴェス」
寂しいと思ってのことではない。
隣国でしか発売していない本をどうにかアミールカレに送ってもらえないだろうかと思っていた。
だが、アミールカレは突然、そんなことを話したから落ち込ませたと思っていたようで、その辺の誤解やらはアデーレが解いてくれた。
ちゃっかりアデーレが、弟に新刊を送ってくれたら、ニヴェスにも渡せて喜んでもらえるとそれとなく教えてくれたようだ。
直接だとニヴェスの妹が、見舞いの時のように姉のものでもお構いなしに開けると思って、そうしてくれた。ありがたい限りだ。
そのため、留学に行くアミールカレを見送った時に嬉しさが爆発した笑顔で見送らないように抑えるのが大変だった。
その頃には、アデーレも幼なじみのようにニヴェスを本のことでは趣味が同じとして見てくれたが、誤解が完全に解けることはなかった。
「アミールカレがいなくとも、我が家に遊びに来てちょうだいね」
アミールカレの母親や彼の妹にも、遊びたいと言われて、アデーレに誘われると家に行くのは変わりはなかった。
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