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しおりを挟む勘違いをしているとすれば、エリシュカも兄に似ていると言えるだろう。その似ているようで、真逆なところがエヴシェンを苛つかせているなんて、エリシュカのみならず、両親もユスティーナも気づいてはいなかったが。
そもそも、告げ口したと言っているのが全てを物語っている。エヴシェンに隠し事ができるような器ではなかったのだ。
彼も、ヤルシルと同じような思考をしていて、エリシュカがとにかく気に入らない存在で、エリシュカのせいにしていればいいようなところが普段からあった。
そのため、友達と呼べるのも、ヤルシルくらいしかいなくなっていた。他の友人知人も、浮気をし始めた辺りから完全に離れていっていたなんて、エリシュカは知りもしなかった。
そのせいで、浮気相手の令嬢たちにチヤホヤされることが心地よかったようだが、浮気相手の令嬢たちの誰もが目の保養程度にしか思っていないことには、彼は全く気づいてはいなかったようだが。
見た目はいいのに中身が残念な子息に本気になる令嬢は、その中に一人もいなかったのだが、それにエヴシェンは気づくことはなかった。
彼を利用して、エリシュカが流行らせている服を手に入れために近づく者が、かなりいたようだ。
そんなことに利用されていることも知らず、モテていると思っていたようだ。
エヴシェンは、婚約者の令嬢とあちらの両親と会うなり、すぐさま誤解だと言った。
「誤解なんだ。まずは、それをわかってくれ」
「……」
しかも、誤解させたのがエリシュカだと決めつけていて、浮気なんてしていないと言いたいようだ。それに令嬢も、彼女の両親も、何とも言えない顔をしていたが、それにすら気づいていないようだ。
「エリシュカが言ったことは、出鱈目だ。あいつは、自分が家族の誰とも似ていないから妬んでるんだ」
「……」
それこそ、散々なまでに両親やユスティーナにそのことで叱られたというのにエリシュカがあることないことを告げ口したせいだと決めつけたまま、謝罪するのは自分ではなくて、エリシュカだと言い続けたのだ。
更には、デリカシーに欠けることを言うエヴシェンに不愉快そうにしたのは、婚約者の令嬢だけではなかった。あちらの両親も、とんでもないことを言うエヴシェンに眉を顰めていた。
それが真実だと言わんばかりにエリシュカのせいにしたことばかりのエヴシェンにあちらの令嬢は、不愉快そうにしていた。
「エリシュカ様からは、そのようなことを言われたことはありませんわ」
「別に庇わなくてもいいんだ。全て、エリシュカの嘘だ。自分が婚約破棄になったから妬んでるだけなんだ」
「……」
そこまで言ったエヴシェンは、これで破棄されないと思っているように見えて、頭にきたのは令嬢の方だった。
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