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しおりを挟む邪魔されたとヤルシルは長らく思っていたのにエリシュカは、今までにないほどの衝撃とショックを受けて落ち込んでしまった。
そんな風に落ち込むことは、エリシュカにしては珍しいことだった。よかれと思っていたことに感謝しろとは言わないが、嫌なら嫌だと言ってくれれば、すぐにでもやめたのだ。
それだけで済んだことのはずなのに不満を募らせた彼の言い分は、エリシュカにはショッキングなことでしかなかった。
他の人ならば、激怒している場面のはずだが、エリシュカは怒鳴り散らすことなどできなかった。元より怒りに任せて怒鳴るということをエリシュカはしたことがなかった。
そのことを彼の両親が問いただすと息子がやろうとしていることを先回りしてサポートしようとしているにすぎないことがわかり、それに関してもヤルシルは親から怒鳴りつけられるのも、すぐだった。
「それは、邪魔ではないだろ!」
「そうよ! 自分の要領の悪さを一生懸命に支えようとしてくれていたのに邪魔だなんて、よく言えるわ!」
「っ、」
両親にすら説教され、怒鳴られたヤルシルは顔を真っ赤にしていた。
彼の両親は、浮気をしているとエリシュカを責め立てたことを謝罪してくれ、慰謝料もたくさんくれることになって、婚約は破棄されることになった。
「申し訳なかった」
「ほら、あなたも謝りなさい!」
「っ、わ、悪かった」
「……」
「これで、いいだろ!」
ヤルシルは無理やりに頭を下げるように言われて、渋々謝罪していたが、悪いとは欠片も思っていないように見えてならなかった。そんな息子に彼の両親は、甘やかせたせいだ。育て方が悪いのだと相手のせいにしていた。
エリシュカは、そんなヤルシルたちを見ていて、そっくりだと思っていた。一方の話を聞いて、それが事実かを確認せずに真に受けるところだ。
でも、証拠をつきつけられてもエリシュカが悪いと言うのを聞いているとヤルシルが一番最悪なように思えるが、エリシュカはそんなことしか思いつかなかったんだなとため息まじりにみていた。
それもこれも、勘違いして何でもかんでもしてしまっていたエリシュカがやり方を間違えたせいだと思っていた。
エリシュカは、その話し合いをしている間、邪魔だと思われていたことに物凄くショックを受けて落ち込んでいた。
更にはヤルシルの両親の本音を聞いたことでも落ち込んでいたが、彼と幼なじみが仲良くしていたのを知ったからこそ、二人が想い合っていて婚約したいものと思うことには変わりはなかった。
そして、この場で唯一元婚約者にできることは、もうこれしか残っていないとすら思っていて、意を決して話をすることにした。
「あの、二人を婚約させてあげてください」
「エリシュカ」
エリシュカが、そんなことを言うことにみんな驚いていた。特に両親が一番驚いていたようだが、これまた頭を下げていてエリシュカには見えていなかった。
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