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しおりを挟む楽しい買い物が終わり、エリシュカは買った物をいそいそと部屋に持って行こうとして、それを使用人たちがいち早く回収して運んでくれて、一緒になって片付けをするのが恒例となっていた。
「素敵な色合いですね」
「そうでしょう? この色をお母様とお姉様が選んでくれたのよ!」
「流石は、お二人ですね。エリシュカ様によく似合うお色をよくわかってらっしゃる」
「そうね。二人とも、色選びが毎回絶妙なのよ」
エリシュカにしか着こなせない色合いのドレスをクローゼットにしまいながら、使用人の一人がエリシュカに話しかけていた。
それだけで、エリシュカの瞳が輝いていた。どんな宝石よりも魅力的な瞳で見られることになった使用人は、それだけで笑顔が増した。
その間に別の使用人が、慣れたようにたくさんの物をしまっていたが、きらきらした瞳で語られる使用人をチラチラと羨ましそうにしていたが、その手が動きを止めることはなかった。
デザインをエリシュカが決めていて、色合いについては後日、布地から二人がそれぞれ選んで製作されていることをエリシュカは知らなかった。
それでも、色合いだけでも、かなりのパターンを用意しているのは、エリシュカが選ばずとも、他の令嬢が着たりするため、多めに作られることが常なことにも気づいてはいなかった。
その話が一段落すると別の使用人がエリシュカに話しかけた。
「こちらは、リボンが多くあしらわれていて可愛らしいですね」
「そうなの! リボンの物はたくさんあるけれど、グラデーションが素敵で、お揃いのリボンも買ったから、髪をアレンジした時に使えたらと思っているのよ」
「素敵なグラデーションですね。どのお色も、エリシュカ様の髪によく合いますわ」
そんな話をしながら、使用人たちはエリシュカがどんな風にドレスを着たいかを聞き出していた。エリシュカが、この国の流行りの先駆けなのを知っているからこそ、自分たちの子供に同じような格好をさせたがっているのだ。
愛らしいエリシュカの着こなしは、あどけなさが残る少女たちにさせると一層、可愛らしくなるのだ。
エリシュカは、片付けが終わると使用人たちにお礼を言って、すぐさま居間に向かった。
エリシュカが先に行くのを見て、残っていた使用人たちは……。
「今回も、絶対に流行るわね」
「えぇ、そうね。さて、奥様方のドレスを見に行きましょう」
「あちらも、楽しみね」
「お二人とも、旦那様に自慢なさっているでしょうね」
「エリシュカ様の取り合いになるとおしどり夫婦も、言い争うのよね」
「でも、喧嘩にならないところが、あの方々よね」
「私だったら、喧嘩に発展して、離婚しようかと思うところだわ」
そんな会話がなされていることをエリシュカは知りもしなかった。
るんるんとしながら、居間に向かっていて、走り出したいのを我慢して、我慢ならなくなって早足になるのも、いつものことだった。
そこに家族が揃っているのだ。何か楽しい話をしているかも知れない。それを聞き逃したくないという気持ちがはやっていた。
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