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しおりを挟むあれから、オーガスタが留学をすることにした。姉より先に学園を卒業する気にならなかったのも大きかった。
何より、元婚約者を追いかけ回す令嬢がやかましかったのだ。
「あぁ、あの方」
「婚約破棄されたから、必死なのよ」
「え? されたの? したのではなくて?」
「されたのよ」
「まさか、あちらでは、そう言っているの?」
「えぇ」
留学したオーガスタは、友達もすぐにできた。するとそんな話を聞くことになり、なにやら気になってしまい、色々と聞いてしまった。
どうやら、破棄を自分からしたと触れ回っているが、バージルのような令嬢のようだ。
それに彼女の家は、留学先で迷惑かけまくっているのも気にしていない。あちらで迷惑かけても、大したことにならないと思っているようだ。
しかも、そんなのが、公爵令嬢だったらしくそれにオーガスタは、一番驚いてしまった。
「世も末よね」
オーガスタが、言いたかったことを誰かが言ってみんなそれを聞いて頷いていた。
だが、オーガスタはまるで他人事のようなことを言っているのに一番呆れてしまった。
この国から、あちらに留学生している生徒が、とんでもない迷惑をかけているというのにその自覚がないのだ。自分たちが、ここで散々な迷惑を被ったと言うのに遠くで起こっているのは、まるで関係ないことのようにしていた。こういう考え片方ばかりなのかと思うとオーガスタは幻滅せずにはいられなかった。
そのため、令嬢たちのお茶をしたりするより、図書館て勉強している方が有意義だった。
それにチェスターは、あの厄介な令嬢に目をつけられただけだとしたら気の毒に思えてならなかったが、ふと自分も同じことしていると気づいて、物凄く反省することになった。
巻き込まれたくないと婚約を解消までしたのだ。
「もっと、ちゃんと話し合って向き合ってからにすればよかったわ」
そんなことをあれこれと思って、姉の手紙に書いたりした。
だが、姉は、オーガスタに一番やりたいことをやればいいという手紙を寄越した。アミーリアに遠慮することなく、存分にやれと言う内容で飛び級してから抑え気味でいたのもバレていたようだ。
そこから、留学先でオーガスタは本気で色んなことをやることにした。
その結果、試験の順位がぶっちぎりの1位になったのだ。
これまで、王太子が一番だったらしいが、それを大きく引き剥がしてしまったのだ。
流石にやりすぎたかも知れないとオーガスタのみならず、周りもひそひそと話していた。
「君が、オーガスタ嬢かな?」
「っ、」
「初めまして、王太子のオークリーだ。こんな大差で負けたのは、初めてだ」
王太子は、気さくに声をかけてくれた。怒っているのかと思いきや何やら嬉しそうにしていた。
しかも、飛び級をしていてオーガスタが年下だとわかると尚更、凄いなと目を輝かせた。どうやら、彼も今まで抑えめにしていたらしく、次の試験の時は……。
「この2人、満点を遥かに超えてるな」
「異次元の戦い方してんな」
子息たちは、そんな風に言っていた。
令嬢たちは、ここまでなのかと言う顔をしていた。王太子が、優れているのは知っていた。みんな何気に狙っていたが、さらっと流されてばかりいたのだ。その理由がわかったようだ。
しかも、オーガスタと王太子は色々と話しているのをよく見かけたが……。
「何の話をしてるかわからなかったわ」
「私もよ」
難しい話をしているつもりは、オーガスタたちにはなかったが周りには未知の言葉に聞こえたようだ。
でも、王太子はそんな話を令嬢とできるのは初めてだとして、いつもオーガスタと話す時は笑顔だった。
そういう方かと思っていたが、つまらないと笑顔にもならないようだ。それを知ったのは、オーガスタが王太子と婚約した後で、だいぶ経ってからだった。
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