見た目だけしか取り柄のない残念な犬好きの幼なじみと仲違いしたので、私は猫好き仲間との恋に邁進します

珠宮さくら

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(アインシュタインは、毎日頑張ってるんだもの。ご褒美もらえて、当然よね。それにしても、猫の第六感って、凄いな。猫というか。アインシュタインが凄いんだろうけど、一体どうやって察知しているんだか)


そう自分に千沙都は言い聞かせた。何度も、何度も、そのうち愛猫が凄いから、猫可愛いとかに思考が目まぐるしく変化したが、最終的に猫は何をしていて正義みたいになったが、それもいつものことだ。

でも、落ち込まないで立ち直るなんてことはできなかった。必ず凹んでから、立ち直っていた。それを何度繰り返したかはわからない。慰めようとアインシュタインが近づいて来てくれるのだが、完全に慰めてはもらえないのだ。必ず、他の家族に呼ばれて言ってしまうのだ。

千沙都は、そのたびに自分の優先順位が底辺に位置している気がして、それに気づいてしまったことが1番ショックだった。


(ううっ、これなら、気付かない時の方がまだ良かった)


「なぁ~」
「アインシュタイン。……猫じゃらし? 遊びたいの?」


足元にいつの間にやら愛猫がやって来て、猫の傍らに猫じゃらしがあった。ソファーに座る千沙都を愛くるしい顔でアインシュタインが見上げていた。


(これよ! こういうところが、猫好きの心を鷲掴みにするのよね)


猫じゃらしをふりふりしてやると大はしゃぎしたまま、千沙都から勢いあまって猫じゃらしを強奪したかと思えば、それに気づかずに持って行ってしまい、アインシュタインは戻って来てはくれなかった。


「……」
「お前、遊んでやるの下手すぎね?」


怜久の言葉に千沙都はしょげるしかない。

兄には散々に馬鹿にされることになったが、アインシュタインは盛り上がるだけ盛り上がって、また千沙都のところに来た。


「なぁ~」


すると、怜久が千沙都では駄目だろうと猫じゃらしを持って揺らすも、アインシュタインはそれをじーっと見ているだけで戯れることはなかった。


「あれ?」


くぁ~と欠伸をして眠そうな顔をした。


「ちょっと貸して。アインシュタイン」


眠そうにしていたアインシュタインに声をかけてから、千沙都が猫じゃらしを振る。


「やめてやれよ。眠いんだ、から……?」


アインシュタインは、千沙都が猫じゃらしを振るのを見るなり、目をランランとさせて戯れてきた。

ふふんと今度は千沙都が兄に勝ち誇った顔をしたことで、怜久は悔しそうにしていた。

そして、またも猫じゃらしを強奪して、アインシュタインはどこかに行ってしまった。


「「……」」


そんな遊び方がお気に召したらしく、遊びに千沙都以外が誘っても、いまいちになってしまい、千沙都のところに遊んでほしい道具を持ってやって来るのが、千沙都の家では定番となった。


(変な遊びを覚えたわね。まぁ、いいんだけど)


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