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千沙都の母親は我が子との関係も良好だが、ママ友も多くいた。千沙都の幼なじみの母親は、他のママ友があまりいないようだが、千沙都の母親は周りが遠巻きにしている相手だろうとも、あまり気にせず、余程のことがない限り、平然と付き合いを続けるような女性だ。

そんなママ友の中には良かれと思って、母に助言してくれる人もいたようだ。付き合いを改めた方がいいとまで言って来るママ友もいたようだが、それに流されることはあまりなかった。


「そうなの。わざわざ、教えてくれて、ありがとう」


にっこりと笑ってお礼を言って、ケロッと助言してくれたママ友の目の前で、付き合いを改めるべきだと言っているママ友と挨拶できる人だ。

そのことで激怒されることもあったようだが、母は……。


「挨拶をしたり、世間話をするのは、友達じゃなくとも、いい年した大人なら普通にすることだと思うけど? むしろ、あからさまに無視するのは、大人としてどうなのかしら?」
「……」


それ以降、グダグダ言われることはなくなった代わりに母のことをボロクソに言うのも現れたが、そういう人には……。


「おはようございます。今日も、人のことをとやかく言える元気が有り余ってるみたいですね。ボランティアをされる探してるんですが、有り余ってる体力を活かしてみませんか?」
「なっ、失礼ね!」
「あら? どこがですか? そういう話を聞かされる方も、精神力と忍耐力を使うんですよ? それなら、一緒にボランティアをしたら、どうかなと思っただけです」
「っ、」


にっこりと笑顔で言いきり、色々聞かされているママ友の方を次々とボランティアの仲間に引きいれていき、色々と言うママ友が話す相手がいなくなる方面に仕向けたのも、千沙都の母がしたことだ。

そのため、千沙都の母の友達は多い。子供たちの幼稚園の時のママ友や小中学校のママ友とも、仲良くしている。子供たちのことより、自分たちの息抜きのためにランチをしたりしているようだ。

そこに千沙都の幼なじみの一希の母親が顔を出したことは数回しかないようだ。大勢でランチするより、1人でランチをする方が好きだと言っているようだ。

そんなことを本人は言っているようだが、予定をすっぽかすことが多すぎて誘われなくなったことが真相だったりする。なのに一希の母親は、そんなことはないと言いたくて、色々と言うようになったようだ。

とにかく、幼なじみの母親は約束していても行くといいながら姿を見せないことで有名だったらしく、約束破りの名人のようになっていた。

その言い訳も酷かった。そもそも、悪いと全く思っていないようで、謝ることをしないのだ。いつも忙しいから、すっかり忘れていたと言っていて悪気はないと言いたいのかも知れない。

だが、予定を把握できなくなるような忙しい理由など、特にないことを千沙都の母親ですらよく知っていた。

幼なじみの母親に大した趣味もなく、子供も一希だけ、仕事もしていない。その言い訳をする前までは、暇を持て余しているように言っていたのも本人だったが、それを忘れたかのように約束をすっぽかし続けてからは、そんな風に言うようになり、そういう人だと周りに思われたようだ。

そんなこんなで、千沙都の母のママ友と言える相手の中に幼なじみの母親は、ずっと以前から入っていなかったりする。


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