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しおりを挟むそれは、簡単な仕事だった。
珠紀のことに関して話すだけだった。それこそ、珠紀がシッターしているのに我が子も預けたいが、コネがないため無理なので、彼女の好きなものを知って、どうにかしてお近づきになりたいと言うのだ。
もっとも、それは建前で颯や晃と近しくしていれば、将来的にも優遇してもらえるかも知れないと言われて、彼らはそれならわかると珠紀のことを話したのだ。
それだけのはずが気づけば、お酒をしこたま飲まされて、珠紀だけでなくて、颯のことやら護衛の喫茶店のことやらをベラベラと話してしまうも、二日酔いが酷すぎて何を話したかなんて覚えてすらいなかった。
それでも、仕事があるからと酔いがさめきらないで仕事場に行くと同僚たちに色々言われることになった。
「あいつら、どうしたんだ?」
「二日酔いらしい」
「入口の警備の任務から外されたからって、あんなんで、他の仕事ができるのかよ」
「あれじゃ、外されるのも無理ないよな」
「同僚だと思われたくないな」
周りに散々なことを言われ、上司も酔いがさめていない3人を見て激怒していた。
それでも、仕事はきちんとこなせると言っていたが、上手くできることなく、その日限りでクビとなり、彼らはそれに自棄を起こして飲んだくれの日々を送ることになった。
家族からも、クビになったあげく酒浸りになる彼らに恥だとして、勘当することにしたのも、すぐのことだった。
こうして、彼らは身を滅ぼすことになったが、自分たちが金のために何をしたかまでは覚えていなかった。
「……あいつら、クビになって、勘当までされたはずにに酒飲む金が尽きないな」
「なんか、辞める前に大金が手に入ったらしいわよ」
酒屋の女将が、本当なら飲ませたくないが、きちんと支払いしてくれるからと追い出せないと言っていた。
それを不審に思っていたのは、彼らの元同僚だった。
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