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しおりを挟む「こんなに安くて本当にいいの?」
「これでも、貰いすぎですよ」
晃だけでなく、珠紀のシッター代について色々と心配された。
そこに白が、晃の足をちょいちょいと触った。
「お祖父様?」
珍しく抱っこされても暴れることなく、何やら孫に話をして、晃はその提案に頷いていた。
(あの状態でも、会話って可能なんだ)
珠紀は、そんなことを思っていた。
「え? 服??」
「うん。シッター中に何かと汚すだろ? 替えの服があった方が便利だと思って」
「それは、助かりますけど……」
(替えの服の方が、私の私服より高い気がする。……というか、ブランド物じゃない?!)
そのうち、部屋を用意したのだとなり、彼らが納得いく金額を貰った方がよかったのか。これでよかったのかが、珠紀にはわからなくなっていた。
(白さんは、このことを晃さんの言ってたのね)
「珠紀! 今日の服、とっても可愛い!」
「ありがとう。颯くん」
颯は、そういうことに兄と同じく目ざとく気づくようだ。それこそ、人の姿の時しか、珠紀と話せないため、必死になって人型を保つようになっていた。
それでも、長い時間は、まだまだ難しいようだ。だからこそ、言いたいことを見つけるとすぐに伝えようとしてくれていた。
(褒め方が、晃さんにそっくりなのは兄弟だわ)
王様の褒め方は、息子たちに似ていなかった。相変わらず白が珠紀に抱っこされているのが狡いと騒ぎ立てながらも、珠紀に会う条件に公務を滞らせないとなっているようで、珠紀に会う目的がある時に王様のやる気は凄いようだ。
公務を王様が真面目にやるようになったことに珠紀は、色んな猫たちに感謝されるも、大概白が珠紀の側にいるため、意地の悪いことを言って来る者もいなかった。
(ずっと猫のままなのも、私のためなのかな?)
そんなことを思っているのは、珠紀だけだとは思っていなかった。
白は、珠紀が優しいのを利用して抱っこされて移動するのを満喫していたのだ。
それこそ、長年連れ添っていた彼の伴侶が存命だったら、そんなこと許すことはなかっただろうが、それをやめさせる者がいないことと誤解によって、白は至福の時を堪能している見返りに珠紀の迷惑になるのを片っ端から窘めていた。
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