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しおりを挟む(考えてみてくれって言われたけど、なんか不思議な感じがするわ。夢でも見てたのかな?)
バイトがあるからと名残惜しくも、出ることになり、ケーキセット代を出そうとしたが、晃に誘ったのは自分だからとやんわりと断られ、バイトの近くまでわざわざ送ってもらって、申し訳ない気持ちでいっぱいいっぱいだった。
(それにしても、裏道をよく知ってるわ。いつも、大学から結構かかるのに)
晃が、近道を教えてくれて、早く着いたことにも珠紀は驚いていた。
(それより、明日、大学に行ったら根掘り葉掘り聞かれそうで嫌だな)
そんなことを思っていたが、珠紀が晃目当ての女子に囲まれることはなかった。
それどころか。晃に話しかけられたことすら、誰も覚えてはいないようで、珠紀は……。
(私、ついに夢と現実の区別がつかなくなったのかな。……ヤバいわ)
そんなことを思って、本気で病院に行こうか悩んでしまった。
(あ、あの猫だ)
バイト帰りに再び脱走猫を見つけた珠紀は、どうしたものかと悩んでいた。
「ねぇ、もう、遅いよ? これから、雨の予報だし、お家に帰った方がいいよ?」
「……」
茶トラは、ツーンとしたままだが、チラチラと珠紀を見ていたことに首を傾げたくなった。
「あ、怪我のこと? もう、治ったよ?」
(ん? いや、あれは、夢だったわけだから、怪我があるのは変よね??)
でも、確かに治った怪我を見て、珠紀は更に混乱してしまった。
すると何かを察したのか。茶トラが警戒し始めたのだ。
(?)
「あら、そこにいたのね」
「?」
「その子を見つけてくれたの? よく脱走するから困ってたのよ」
そこには上品そうな女性がいた。
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