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第4章
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しおりを挟む両親が離婚したことを知ったのは、りらが中学生になって、入学式の少し前にクラス発表を見て、どこにも自分の名前がないのに焦っていた時だった。
「あら、ここにあるじゃない」
「え?」
それが、祖父母と同じ名字だったことで、名字が変わったことを知らされたタイミングとなった。
(離婚したってこと? それなら、そうと言ってくれればいいのに)
だが、周りに他の親子もいて、そんなことを口にすれば恥をかいたと叱られるのは、りらだ。せっかくの入学式に夕食抜きなどになりたくなくて黙っていた。
「間に合って良かったわ。途中で変わったら、色々と言われることになるもの」
「本当ね。それにしても、あんな最初からまともじゃないのと結婚なんかするから、こんなことになるんだぞ」
「そうよ。私たちは、ずっと反対していたっていうのに」
「わかってるわ。昔の私はどうかしてたのよ」
「世話焼きも大概にするんだな」
そんなことを母と祖父母がしているのをりらは聞いて、世話をやいた結果ということで落ち着いたのかと呆れただけだった。
離婚が成立したのがよほど嬉しかったのか。孫のために奮発して中学祝いを買ってくれ、入学するのに必要なものも全て買ってくれたと近所の人や小学校が一緒のママ友に話していた。
「あら、いいおじいちゃん、おばあちゃんね」
「良かったわね」
りらは、母がそんな話を他の母親としているのを聞いて、そういう思惑があったのかと初めて知った。
(勝手に買ってくれたけど、選ばせてはもらってないのよね)
そんな言葉を吐き出さずに当たり障りないことを言った。
でも、そのお金の出所は父がりらのために渡していた養育費と離婚したことで、祖父母のところでお世話になるからというのも含まれていたようだ。普段は、それで祖父母や母が贅沢していた。それに何となく気づいていても、そのお金について言及することはしなかった。
出所が、父ならりらが使っていいはずだし、祖父母にやたらと感謝しろと言われる筋合いもなかったはずだ。
それでも、至るところで孫のためにお金を出した祖父母としていたかったようだ。そのためにお金を出したのかと思うと嬉しさなんてりらには欠片も持てなかった。
母が離婚してから、祖父母の家に母が帰って来なくなるまで、そんなに時間はかからなかった。
離婚するまで、そんなに頻繁に家を開け続けることはなかったが、離婚をしてからの母はりらの母親業もやろうとしなくなっていた。
もっとも、元々していたかも怪しかったが。更に何もやろうとせずに放置していた。
「まだ、帰って来ていないのか?」
「そうみたいです」
「離婚したからと言って、遊び呆けすぎだ。全く
、それで失敗したのにまた失敗する気か」
祖父母は、母によく怒っていた。それこそ、本人に言ってほしいことばかりだったが、それでその後、怒られるのはりらだった。わけがわからない。
(いい歳した母がしでかしていることの責任を娘に被せるなんて、変よね。この人たちがいつも言ってるのに。良いことは、どっちかの血のせいで、悪いのはどっちかに似すぎたせい。この場合、どっちの血が悪いってことになるのかしらね)
りらは、そんな風に思っていたが、それを口にすることはなかった。
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