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第3章

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そうそう、一番王都に行くことにした時にアルテアは話したら、どうなるかと思っていた面々があっさり喜んで見送ってくれたのだが、その中でもそこまで大変なことにはならないと思っていた人物が一番厄介だった。

アルテアが王都に行くことになり、クリティアスが保護者として常に近くにいられるようにしてくれとアルテアが頼んだからでない。

王都に行くとなった時も、街に初めて行く時と似たような感じになってしまったのだ。

クリティアスに今後のことを話したら、黙って聞いていたかと思えば……。


「……俺も行く」
「え?」


(行くって、言った?? え? 王都に一緒に来るってこと??)


アルテアは、そんな風に話したつもりはなかった。クリティアスに不安だから、一緒に来てくれなんて一言も言っていない。

そうしてくれとお願いしたわけではないのだが、彼はアルテアの保護者だと思っているようだ。誰かに何かを言われる前に着いて行く決断をするのは、街に行くと決めるよりも早かった。それに驚くのは、いつもアルテアだ。


(そんなに頼りなく見えるのかな? だいぶ、しっかりしたと思うけどな。それにユグドラシル様のつけてくれた名前もあるから、大事には早々ならないはずだって知ってるはずなのに。……まぁ、でも、子供は子供になるのか。それに彼の前で、いろんな無茶したから目を離せないと思われたのかも……)


アルテアは、クリティアスが気に掛ける理由をそんなようなことだとずっと誤解していた。いや、あながち誤解ではないのだが、それ以上に何かあるとは思っていなかった。

それこそ、クリティアスは直感的に行くと決めたのもあったようだが、そのことに本人も気づいてはいなかったようだ。

街では、色々と活気づくことが増えた。森の主のところから定期的に届くものを加工したものが、お土産として有名になって旅行者が買い物をしてくれるようになった。

そのせいで、余所者として悪さをしていた者たちがいては、旅行者たちが来なくなってしまうとなり、そんな評判がたてば今後にも関わるとして、警備やらも増えることになり、悪さをする者は居場所がなくなって、どこか別なところに行ったり会心して働くようになり、街の治安もよくなった。

そのため、この世界で一番住みやすい街とまで言われるようになっていたようだ。だが、そんなことになっていることも、アルテアはとんとん拍子にそこまでになっているとは思ってもみなかった。

そんなことをする中心にいたのが、アルテアだ。王都でも何かやるとクリティアスは直感したのもあったようだ。そう、アルテアならやらないはずがないと思ってのこともあったようだ。それに巻き込まれないわけがないとも。

相変わらず、勘違いしているところは、物凄い勘違いをアルテアはしていたが、それで特に困ったことはなかった。

とりあえず、行くと言うクリティアスにアルテアは……。


「えっと、王都の学園は寮もあるらしくて……」
「知ってる」
「……」


(やっぱり頼りないと思われてるからってこと……? 寮生活するのに頼りないって、ここでの暮らしに比べたら、楽勝だと思うけどな)


何を言っても、自分も王都に行くとしか言わないクリティアスにお手上げ状態になったのは、すぐのことだった。


(駄目だ。もう、私じゃ止められない)


ユグドラシルにその話をすると過保護すぎると止めてくれるものと思っていたが、そんなことはなかった。アルテアは、見余ってしまったようだ。


“それはいいですね”
「え、あの、ユグドラシル様……?」
“クリティアスが一緒なら、何の心配もいらなくなります”
「……」


(駄目だ。過保護が、ここにもいた。相談する相手を間違えたみたいね)


だが、他にしても、同じようなことを言われていただけだったかもしれない。


“丁度、クリティアスに頼みたいこともあったのです”
「え? 頼みたいこと?」


ついでのように話すユグドラシルにそれをついでにしていいのかと思ってしまったが、アルテアは……。


(何だか、申し訳ないな。でも、まぁ、あちらで大丈夫だと、わかってもらえばいいか)


そう思ったが、それが良かったと思うことが起こるとはアルテアは思いもしなかった。

クリティアスが側にいることで、頼りすぎるというか。愚痴る相手がいて、アルテアは良かったのだ。

クリティアスは、愚痴ばかり聞かされてうんざりしたかもしれないが、アルテアはそれで大いに助かっていた。


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