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第2章
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しおりを挟むユグドラシルは王子と話をして嬉しそうにしていたし、カレルは最初こそ物凄く緊張していたが、両親のことや祖父母の話を聞いて嬉しそうにしていた。
年配の妖精は懐かしそうにしながら涙ぐんでいた。
(ユグドラシル様も、嬉しそうな声をしているな。……きっと、こうやって話せるようになるのを待ちわびていながら、気にかけていたのよね。森の中にあるのに関われないなんて、不思議な空間よね。誰が、ここを作ったんだろ?)
アルテアは、それを微笑ましそうに見聞きしていた。
そこから、アルテアが調べたことを妖精たちとユグドラシルに話した。それを聞いて、ユグドラシルはこう言った。
“アルテアは、勉強家ですね”
「ここの花たちが素晴らしいから、みんなに知ってほしいだけですよ」
(でも、ここの場所を知られるわけにはいかないし、妖精のことも内緒となると色々と大変になるのは、目に見えているけど)
花たちは、アルテアに褒められて嬉しそうに咲き乱れていた。それを見て益々笑顔になっていた。アルテアの側は、いつも賑やかだった。
【アルテア様が、花に好かれるのがわかった気がします】
「え?」
“ふふっ、アルテアは森の若い木々や幼い木々、動物たちにも好かれていますよ。私が深い眠りについている時に雨が降らずに川の水が干上がりそうになった時にも、自分1人だけが生き残るのではぬくて、森のみんなが生き残るために手を血豆だらけにして助けてくれました。ゆっくり休めたおかげで、私は全盛期の頃のように冴え渡っています。全ては、アルテアがこの森に現れてくれたおかげです”
「ユグドラシル様。それは、言いすぎです」
“謙遜することはありません”
アルテアは、妖精たちにまたも尊敬の眼差しを向けられていて、そちらを見れなくなって俯いて小さくなっていた。
ダレイオスや他の護衛騎士たちは、前回に引き続き感動しているようだったが、どこにそこまでのものがあったのかがアルテアにはわからなかった。
(まずい。好き勝手にやっているだけなのに物凄い美談になってる気がする)
そこから、持ち出してもいい種や染め物や花のお茶に使えるものやらをアルテアが調べたものと照らし合わせて、妖精たちも検討して集めてくれることになった。
量も、採り過ぎてしまわない程度も調べてくれることになった。
(採り尽くすことにはならないかも知れないけど。月1でお菓子を食べるために必要な材料の計算とかもあるわよね。できれば、私が関わらなくとも上手くいくようになるといいんだけど)
届けるのが、アルテアがやるとなると運ぶだけでも大変になる。
それとお菓子の種類も、できれば妖精たちが好きに選べるようにしたい。
そんなことを思いつつ、3回目に妖精のところに行った時には、護衛騎士たちは迅速にアルテアを迎えに来てくれた。その速さには、2回目に訪れた時の悔しさが滲み出ていた。
(訓練したのでしょうね。護衛にとっては、私を出迎えて護衛するって言うのが、仕事に追加されたのよね。……邪魔になってないといいけど。絶対に物凄い邪魔をしている気がしてならないわ)
【アルテア様。お荷物をこちらに下ろしていただけますか?】
「どうするの?」
【魔法で縮小をかけて運びます】
(そんな魔法があるんだ)
妖精たちが潰れないかとハラハラしていたら、ダレイオスは涼やかな顔で答えてくれた。これも、練習していたに違いない。
そこから、ゆっくりと王宮まで行くことになり、着く頃にはカレル王子が出迎えてくれた。それも計算し尽くされている気がして、アルテアは感心しっぱなしだった。
全ては、救い主となったアルテアのためだ。お菓子は、二の次のようになっているのが、更に凄いと思って見ていた。
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