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第1章
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しおりを挟むクリティアスは、森の警備やら管理を仕事にしていた。森で、雨が降らない時には水やりをしたり、森の見回りをすることで木の実や森で採れるものをわけてもらえることになった。
前までは、それらをユグドラシルがやっていたが、クリティアスが若い木や幼い木にするようになったのは、アルテアが話しかけながら気にかけたことが、木々たちは嬉しかったらしくクリティアスがそれをやるようになり嬉しそそうにしながら、アルテアではないのを残念がった。
だが、再びアルテアの手が血豆だらけになっては大変だと思ってもいたが、水やりではなくておしゃべりをしたいと思ったことが大きかった。
“アルテアに会いたい”
「これは、俺の仕事だ。ユグドラシル様に任されてもいる」
“……アルテアとおしゃべりしたい”
「お前に会えば、全部の木に会って話すことになるだろ。駄目だ」
“あなたたちの家の側の木が羨ましい”
そんなことを言う木は、いつものことだった。
それに比べて、古株の木が大人しくしていることにクリティアスは首を傾げずにはいられなかった。アルテアの話題で、褒めちぎることもしなくなったのだ。
だが、大人しくなった古株は多かった。それも、これもアルテアが必要になって水瓶に水を貯め、幼い木や若い木に水やりをやるのを散々に言っていた木ばかりだった。
“おじいさんたちは、もうアルテアのことも、他のことも話ないよ”
「なぜ?」
“ユグドラシル様が、古株の木たちに怒っているの。森のことを頼むと任せたのに何もしなかったから”
クリティアスは、それに納得した。
“それどころか。アルテアのこと、酷いことばかり言ってた。それが、雨が降ったら、褒めちぎて、自分たちは任されたこともせずにユグドラシル様が、お目覚めになるのを待ち侘びていて、信じていたって言ったの”
「それ、古株の木と話さないのは、みんなそうなのか?」
“うん。ユグドラシル様が、あんなに怒るの初めて”
“あら、あんたは、私より幼いくせに。知ったかぶりね”
“何よ。数十年の違いなくせに!”
クリティアスが喧嘩を始めたのを仲裁するのも大変だった。
それにあれだけのことをしたのに感謝もせずに家と名前を与えたことにも、やり過ぎだと古株の何本かはユグドラシルに意見したこともあり、大変だったようだ。
「おい、その話をアルテアにするなよ」
“しないよ。誰にもするなって、ユグドラシル様が言ってた”
「……」
“馬鹿ね。それを彼に話してるじゃない”
“あ……”
アルテアには、くれぐれも聞かせるなと言われていたが、クリティアスに話してしまったが、アルテアの耳に入ることはなかった。
「クリティアスさん、お帰りなさい」
「……ただいま」
家に帰れば、出迎えるアルテアがいた。彼女は、動物たちに囲まれていた。
雨が降るまでにコミュニケーションの取り方について色んなことを教えたことで、アルテアと話すのを楽しみにしているのだろう。
毎日ではなくて、日替わりで来る動物たちは違っていた。文字や絵文字を教わったことで、アルテアと会話を楽しむようになったのだ。
「そう。素敵な景色を見れたのね」
景色の話や美味しい木の実やどんな遊びをしたかなどをアルテアに話した。まるで、森の中の学び舎のようになっていた。
「さて、今日はここまでね」
そして、喧嘩が勃発してアルテアが怪我をすることになるとクリティアスが動物たちに召集をかけてルールを決めた。
その内容も、アルテアには秘密とされていた。
(なんか、みんな大人しくなったわね)
仲の良くない者を同じグループで教わらないことにしたのだ。それで喧嘩はかなり回避された。
アルテアを怪我させたら、数週間はアルテアに近づくことは駄目となり、あの家にも行くことはできないとされた。
全ては、アルテアに関するものだったが、当の本人は……。
(まだ、仲間には入れてもらえてはいないみたいね。まぁ、どう足掻いても私は人間だし、内緒ごとには私を入れたくないわよね)
そんな風に思って、肩を竦めていた。勘がいいのか、悪いのかがわからないところが彼女にはあった。
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