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しおりを挟む透哉は、芽衣子に本を喜んでほしくてプレゼントしようとしただけで、突き返されたことは瞬く間に学校に広まった。
色々と噂話に尾ひれがつくことになった。その尾ひれをつけようとした最初は、イケメンでもてはやして追いかけ回していた女子が芽衣子のことを笑いものにしようとしてやった。
「最悪ね」
「一番欲しくないプレゼントをされたら、誰だって怒るでしょ」
「全然怒ったところ見たことない彼女が、怒るくらいだもの。よっぽどよね」
「そもそも、見た目が良くても、へんてこなプレゼントを渡すような人なんて、サイテーすぎよね」
いつの間にか、透哉の方が笑い者にされるような話となって広まったのだ。みんな、芽衣子が激怒したことを知っていて、よほどのことだと思っていた。
だから、最悪なプレゼントを渡したとか、センスがないとか。勘違いばかりしていて、元の学校でも彼女と付き合っても別れ話を相手からよくされていたとかいうものだ。
別の噂話では、彼女ができたことがないとされていてその理由が透哉の性格が最悪だからだというものだ。それに盛り上がったのが、男子たちだ。
そのせいで、同性の友達ができずにクラスでも孤立することになったようだが、そうなっても芽衣子は彼と話すことはなかったし、向こうも芽衣子と話す気はなかったようだ。
いや、むしろ一度突き放された相手と修復する気が透哉にはなかったようで、彼は芽衣子とは挨拶すらしなかったのだ。芽衣子が挨拶をしても、無視してばかりいた。芽衣子だけではない。他も無視していて、感じの悪さが際立つようになっていた。
見た目の良さのせいか。女子に拒絶されたことがなかった彼にとって、一目惚れした相手にそんな風にプレゼントを拒否されたことが、心の傷になったようだ。良かれと思ってしたのにそこから、挨拶以外の時はまるで居ないかのようにされることに腹を立ててやっていたようだ。
自分は誰かに馬鹿にされるようなことはしてはいない。笑い者にする面々に自分は笑われるようなことはしていないと思っていて、笑い者にするような人間と友達にならなくてもいいとすら思って、ずっと1人で過ごすことを選んだ。
さらけ出せる相手もできなかったというか、作る気もなかったようだ。異性にモテるのと比例して、同性に嫌われてしまっていて、それを上手く修復することが叶わないまま、頑なになりすぎて寂しい高校生活を送ることになった。
ちやほやして芽衣子を貶めようとした女子たちは、そんなことすっかり忘れて、好き勝手するのを止めず、透哉のことで心を痛めることもなかった。
その頃には、彼女たちには別の男子が格好よく見えていて、そちらを追いかけ回すことに忙しくしていて、彼の名前すら忘れて高校生活を満喫していた。
同じく、透哉の方も、見た目だけで群がっていた女子たちの名前なんて覚えようともしていなかったのと顔すら覚えてはいなかったから、その辺はお互い様のようだが、芽衣子はクラスが違うようになって何があったかも知ることはなかった。
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