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しおりを挟む蓮加は、つくの言う通りに天音が自分の心配していたことを知って、上機嫌となっていた。
剛は、義仁を見ると妹の機嫌の良さに苦笑していた。
ほぼ、定番となった食堂でのランチにも、周りも慣れてきていた。
それこそ、王子や王女が来るとなり、食堂のスタッフたちは気合が入ったようだ。以前にもまして、手の込んだものが多くなっていた。特にデザートのバリエーションが増えたのは、王女のみならず、天音が幸せそうに食べるからに他ならなかったが、天音はそれに気づいていなかった。
(殿下が来られるようになって、美味しさが益々あがったわ。やっぱり違うみたいね)
天音が喜んでいると義仁や蓮加が嬉しそうにしているのだ。それに剛は、ホっとしながらも、気がかりであった。
天音に何かあったら、それこそ大変なことになる。
それこそ、学園で兄妹がいっぺんに暴走したら、被害は幼い頃の比ではないはずだ。
その辺も、周りは何となく察しているようだ。
何か起こす要因となるとしたら、天音の幼なじみの梨乃しかいないとも思っていた。
その予測が外れることはなかった。
(梨乃に催促される日が来ようとは思わなかったわ)
義仁の婚約者となった天音に幼なじみが、毎日手紙を寄越すようになったのだ。
幼なじみの自分に優先して下げ渡しをしろと言う内容だ。
(それこそ、催促なんて直にするのは品格を疑われる行為とされているのに。それもお構いなしなところが、梨乃よね。夏休みのことで、親に色々怒られたようなのに懲りないわね)
あまりのしつこさに使用人である鈴が、梨乃の家に物申すべきだと言って来たが、それも天音は出来ればしたくなかった。
(そんなことしたら、ここに乗り込んできかねないわ。幼なじみのしつこさは、体験済みだから、また同じことされたくないのよね)
どうにかして穏便に催促をやめさせたかったが、上手くいくことはなかった。
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