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しおりを挟む幼い頃に天音が出会った兄妹は、義仁と蓮加だった。
妹が天音を庇ったことで梨乃に突き飛ばされたのを見て、兄は激怒したのだ。そのせいで、凄まじい妖力が解き放たれることになり、そして惨事が起きた。
それこそ、兄妹以外が死ぬはずだった。
「駄目!」
天音が、爆発する妖力のもととなる彼に抱きついたのだ。
彼の両親ですら、そんな暴走をしていたら止められるかも怪しいことを天音は、身を挺して止めたのだ。
更には、瀕死の友達を癒やしたのだ。それどころか、何もなかったようにありとあらゆるものを破壊したものを直したのだ。
その時に義仁は、天音を見初めたのだ。彼女の力に癒やされたのだ。破壊し、壊す力が強すぎる自分を止めて癒やした彼女に。
蓮加もまた、兄を止めた唯一の少女にひれ伏したくなった。そんな相手に初めて会ったのだ。
兄の隣に立つに相応しいのは彼女だと思った。
だが、その彼女を見つけ出して婚約者にしたとは思っていなかった。
あの時に力を使い果たしてしまったと思っていたのだ。
だが、そうだとしても兄は天音を側に置きたいと願っていることを知って、蓮加もその手助けをしたいと思ったのだ。
他の誰かをお義姉様と呼ぶくらいなら、天音をそう呼びたいと思ったことで、梨乃を消し炭にしてやりたい気持ちを抑えてまで、頑張ったのだ。
その話を蓮加は、剛にした。
「そうだったのか。それで……」
「余計なことは言わないで。天音は、覚えてないのよ。お父様が、そうしたのだから思い出すことはないわ」
「今回のはた迷惑な女が関わっていたのに……よく耐えたな」
「あんなんでも、天音の幼なじみで友達みたいだから仕方がないわ」
「は? マジか。あれと友達なのか。天音嬢は、凄いな」
「まぁ、その辺のこと確認してないからわからないけど」
「しなかったのか?」
「違っていたら、消し炭にしてるわ。それこそ、厄介なことになるだけよ」
「まぁ、確かに」
剛は、蓮加の言葉に苦笑していた。
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