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第3章
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しおりを挟むそんなプリムローズのところに旅行と称して行ったリーリエは行ったが、丁度行き違いになるとは、思いもしなかった。
そこが気になってしまったのは、田舎で採れる果物が、デザートに向いているかを調べに行ったからだ。
そこに祖父母とプリムローズがいるのを知ったから、わざわざ来たのかと言うと半々の気持ちだった。会いたいような、会いたくないような……。
でも、そこにプリムローズはいなかった。いなかったというか。修道院にいれられそうになって、どこかに行った後だった。
「清々した」
「全くですよ。あんなにできが悪いとは思わなかったわ」
「……」
祖父母は、養子にした孫がいなくなっても探しもせずにそんなことを言っていた。
(変わってないわね)
それを久しぶりに見たが、リーリエは嫌な気分になるだけだった。
「それで、この果物がデザートに使えると思うのだけど……」
田舎で、食べられる実としてたくさん植えたらしく、祖父母は金になると思っていたようだ。
「これ、食べ過ぎると腹痛になるので、デザートにするには向いてないです」
「は?」
「そんなわけないわ!」
リーリエの言葉に2人は、激怒していた。
田舎に住んでいる他の人たちは、わざわざ見に来たリーリエに無駄骨をしたと労ってくれた。
「あの人たち、俺らの話しなんざ聞きゃしねぇんだ」
「あんなん植えても、食べれられないって忠告したんだけどねぇ」
「……」
買い占めてまで植えて、数年が経っていた。
たくさん採れるようになったから、評判になっている店に買ってもらおうか。デザートにでもしてもらって、儲けようとしたようだが、リーリエが2人の思っていたのと違うことを言って、憤慨したようだ。
(大方、騙されたのね。よく似ているのとあの種類じゃ、値段が違うもの)
そこで、リーリエはせっかく来たのだからとのんびりして過ごした。
すると同じく、売りつけようとしているのを見て、それを味見しようとしているのを見て、リーリエは思わず……。
「その実、食べ過ぎると腹痛を起こしますから気を付けてくださいね」
「え? そうなんですか?」
「っ、嘘つくな!」
「そうよ。言いがかりはやめてちょうだい!」
旅行者のような若者は、リーリエに言われてきょとんとして、祖父母は激怒して何でもないことを証明してやると2人で、その木の実をバクバクと食べまくった。
「ちょっ、」
「ほっときな」
「でも」
「あの2人は、経験しないとわかんねぇんだ。腹痛になっても死にゃしねぇから。あんたも、腹痛くなっていいなら、食べりゃあいい」
「……いえ、遠慮しておきます」
旅行者は、そっと視線を反らした。手に乗せられた実をどうしたものかとしていると祖父母が、それすら食べ尽くしていた。
リーリエは、それに旅行者が何とも言えない顔をしているのを見て、誰かに似ているなと思ったが、それが誰か思い出せなかった。
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