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第2章
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しおりを挟むウィスタリアが怒りのままでやったことは、数日の間にこの世界の全ての者に実行されることになった。
「ぎゃー!!」
「何だ! これ?!」
邪なる者は、国中に多くいたようだ。王宮で、好き勝手にしていたランとジュニパーは、自分たちの側に仕えている人たちより酷い状態になるのも、すぐのことだった。
散々、病気となった人たちを嘲笑っていた者たちや私腹を肥やしていた者たちは見るに耐えない姿をすることになった。
そんなことになったのも、ウィスタリアが呪ったからだと言われるようになるのも割とすぐのことだった。
「あの女が、天姫なわけがあるか!!」
「そうよ! こんなことをして、呪うなんてあんまりよ!!」
2人だけでなくて、元々ウィスタリアのことをよく思っていない者たちは、その出来事に憤慨したのもすぐだった。
ウィスタリアは、命を狙われることになることは察していたが、思っても見ない人物に殺されそうになるとは思わなかった。
「あなた……」
(私が目が覚めた時にいた女官……?)
お喋りがすぎて、女官を辞めることになったマリカがいた。
その後、ウィスタリアこそ、天姫だったのではないかと周りに色々言われ、勿体ないことをしたと笑われていたところに病となり、心を病んでしまったようだ。
「あんたのせいで、婚約は解消されるし、家族には馬鹿にされるし、こんな見た目でどうしろって言うのよ!!」
「何で、それが私のせいになるの?」
(女官としては向いていないだけだと思うのだけど)
言われた仕事もきちんとせずにジュニパーの方こそ、天姫だと思っていたはずだ。
だが、マリカは全部をウィスタリアのせいだと怒鳴り散らすばかりで会話にはならなかった。
(妹の時は、仕方がないって諦めたのよね。……どうして、あんなあっさりと諦められたんだか。今は、絶対に死にたくない。目の前の女性が身内でもないからかな。こうなるとしても、ジュニパーか。第一皇子が仕掛けて来ると思っていたのに)
マリカに騒がれて、殺すと脅されても、ウィスタリアは余裕があった。
でも、そんなウィスタリアと違って、この世界の妹に見た目がそっくりなプリムローズはウィスタリアを庇って死ぬことになることは想定していなかった。
「っ、!?」
プリムローズにそっくりな婚約者のこれまたそっくりなソレムは激怒して、マリカを今にも殺そうとするのを取り押さえていたのは、レンだ。
「離してください!」
「駄目だ」
「殺してやる! よくも、彼女を殺したな!!」
マリカは、他の人に取り押さえられていたが、ウィスタリアは自分の代わりに死ぬことになったプリムローズにそっくりな彼女を抱きかかえて泣いていた。
「駄目よ。駄目。私が代わる。こんなの耐えられない」
「ウィスタリア……?」
レンは、見た目だけがそっくりなソレムを抑えながらウィスタリアを見た。
誰かが死ぬのなら、ウィスタリアは己が死ぬと瞬時に思った。その結末以外は、許せなかった。
「幸せになって」
ウィスタリアが、落ちていたナイフを拾って自らの心臓に突き立てたのを止められた人は誰もいなかった。
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