初恋の人への想いが断ち切れず、溺愛していた妹に無邪気な殺意を向けられ、ようやく夢見た幸せに気づきましたが、手遅れだったのでしょうか?

珠宮さくら

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第2章

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マリカの話に付き合わされていたことと寝起きで一方的な話を聞かされることになったウィスタリアは、起きた時よりも、段々とぐったりし始めていた。

悲鳴の大きさのせいもあった。あんな大きな悲鳴を間近で聞いたことがなかった。わざとでないにしろ。二度と聞きたくない。

それにしても、女官長の説教はまだ終わらないようだ。段々と説教なのか。よくわからないものになっているようだが、終わりそうもない。

なので、マリカのしていた話をウィスタリアは思い返しながら、こんなことを思った。


(プリムローズの話よりは疲れないけど、危機の時代うんねんより天姫と王族の恋物語みたいになっていくのに疲れてしまったわ。恋愛ものにあんまり興味なかったから、余計疲れてしまった。そんなの実際には叶わないものが殆どだもの)


そんなウィスタリアに何があったかを女官長は、ようやく聞く気になったようだ。


(それを今、聞くのね)


声に出して言ってやりたかったが、そうは言わなかった。


「……そちらの方に既にお聞きになったのでは?」
「え? あ、いえ、一方的になってもよくないので」
「……そうですか。でも、私、長々と話すのは苦手なので、簡潔に済ませますね」


にっこりとそんなことを言いながら要点のみで話した。我ながらわかりやすかったはずだ。そんな嫌味を言いたくもなる。

女官長も、女官も、それにポカーンとしていたが。


(あれ? なんか、まずかったかな?)


どうやら、ここではわかりやすく話すより回りくどく長々と話すのが、教養あると思われているようだ。


「そんなことして、相手に伝わるんですか?」
「それは……」


女官長は、視線を彷徨わせた。女官たちは、伝わるなんて滅多にないようなことをケロッと言い、ウィスタリアの話はわかりやすかったと逆になぜか感心したようだ。


(そんなことで感心されても、全然、嬉しくないんだけど)


ウィスタリアは、白けた目を向けてしまった。


「それで、今度は私が質問しても?」


にっこりと微笑むと部屋の中を見渡した。


「ここはどこで、何がどうなっているのかを流行りに疎いので、わかりやすく簡潔に教えてくださる? 何度も聞くのは心苦しいし、一度で把握したいので」


回りくどくするのが教養あるなんて馬鹿げている。それに頭痛もしている。ウィスタリアは、不機嫌なのを笑顔で隠してはいるが、目は怒っているに違いない。

説教されていた2人は、ウィスタリアのそんな姿を見て説教されていた時よりも、ピシッとしていた。

説教していた女官長ですら、顔色を悪くさせていたが知ったことではない。


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