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第1章

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とある世界にウェールズという国があった。そこのレルヒェンフェルト侯爵家に生まれた少女がいた。彼女の名前はウィスタリアだ。ウィスタリア・レルヒェンフェルト。両親や祖父母には、あまりにも似ていない女の子だ。

何をさせても、そつなくこなせることから、王太子の婚約者として、年頃の令嬢の中でももっとも相応しいと言われていた。

彼女の身内も……。


「私の娘が選ばれるに決まっている」

「選ばれないわけがないわ」


そんな風に吹聴して周り、その通りだと期待されていた。

幼い頃は、愛らしい少女だったが、成長するにつれて愛らしさよりも、美しさがきわだつ令嬢となってもいたため、期待は大きくなっていく一方だった。

他の候補者は、数名まで絞り込まれたところで辞退する者が続出した。辞退しなければ、それから数ヶ月は更に時間を取られて、1人、また1人と候補から外れていくのだ。そんなことになるよりも、辞退した者たちは誰もが選ばれると思っている令嬢に勝てるわけがないと思い、次々に辞退していった。

自分たちから辞退することを選ぶのと残り続けて、そこから落とされることになっていくと外聞もある。そうなるよりはと辞退したのだが、そんな中で、ウィスタリアともう1人の令嬢だけが辞退しなかった。

残ったウィスタリアとは別のもう1人の令嬢の両親は、こんな風に周りに言っていたから色々言われていた。

あちらの両親は……。


「選ばれるはずがない。娘は、ウィスタリア嬢の足元にも及ばない」
「本当にそうね。恥をかく前に辞退した方がいいかも知れないわ」


ウィスタリアの両親とは違い、自信なさげにしていて、辞退しようとしてまでいた。次々と他の候補者が辞退していく中で、すぐにでもそうしようとしていたのだが、娘の方が頑なに残ろうとしたのではなかった。


「それは、酷いわ。せっかく、ここまで残ったのだもの」
「そうですよ。辞退なんてしたら、万が一ということもあるんですから。そんなこと、ご両親がしたと知ったら悲しみますよ」


両親が辞退させようとしているのを無理やり残らせようとしたのは、その婚約者候補に残っていた令嬢の叔母夫妻だった。


「だがな。選ばれても、あの子がお妃教育についていけるとは思えん」
「そうよ。あの子は、あなたによく似て勉強嫌いだもの。これから先、ずっと勉強し続けることになるのに耐えられるわけがないわ」


両親は、そう言っていたが娘は、それを聞きつけて……。


「辞退なんて嫌よ! 絶対に辞退なんてしないわ!」


娘は、ウィスタリアに勝つことのみに躍起になっていたため、これからずっと勉強三昧になると両親は言おうとしたが、その前に叔母夫妻にこう言われていた。


「王太子の婚約者になれたら、贅沢三昧ができるわよ」
「っ、!?」
「そうだとも。王太子が、何でも買ってくれる」


そんなことを言われていて、その少女は勝つことと贅沢につられてしまっていた。

だから、この時、娘は両親にこう言った。


「娘が、嫌がることをするなんて、あんまりよ! どうして応援してくれないのよ!!」


娘が勉強三昧の日々に耐えられるわけがないと言おうとするたび、娘と叔母夫妻が騒ぎ立てるため、そこから親子喧嘩となり、辞退したくないと言う娘に恥をかくだけだと諭そうにも聞く耳もたず、蒸すのやりたいことを邪魔するようなのは、親じゃないかのように言う娘に親心のわからない娘だとして、家族に亀裂が生まれることになり、それが修復されることはなかった。

それでも、頭を冷やせと言われている間に叔母夫妻は姪に畳みかけるようにこう言った。


「可哀想に。実の親が、わかってくれないなんて、あんまりよね」
「本当にそうだ」
「よかったら、養子にならない?」
「え? 叔母様たちのところに……?」
「無理にとは言わないさ。でも、王太子と婚約できて、これまで反対していたあの人たちが手のひらを返してきても嫌でしょう?」
「……確かにもう、信用できないかも」


そんなこんなで、その少女は叔母夫妻の養子にまでなると言い出したのだ。

それに愛想を尽かしたのは実の両親だ。


「そこまで、恥をかきたいなら、好きにしろ。ただし、何があっても、我が家とは一切関係ない。頼って来ることは許さんからな」
「そうします」


こうして、彼女は辞退したくないという思いを貫き通すために叔母夫妻の養子にまでなって残ることにした。

その少女の名前は、ジュニパー・メレンドルク。改め、養子となってジュニパー・アイヒホルンとなった。

ウィスタリアが、一番選ばれると誰もが思っていて、他の3人が候補の中からふるいにかけられ数名の中に残るとわかって、すぐに辞退した中でジュニパーは5番目の位置にいた。

両親が、辞退を勧めるのも無理はなかった。何より勉強三昧になると知っていたら、ジュニパーは即効で辞退すると言っていたかは、定かではない。

大勢の候補者がいた頃は、素直で良い娘だった。その頃は、ウィスタリアとはとても仲良くしていて親友とお互いが呼び合うまでなっていたのだが、候補が少しずつ絞られていくうちにジュニパーは、突然勉強嫌いになったのだ。

まるで、人が変わったようにわがままな部分がで始めて、それでも両親はストレスで疲れが出たのだと思って、好きにさせていたのだが、それが段々と酷くなっていって、縁を切られるまでのことをした。

全ては叔母夫妻によって巧みに操られたかのように見えた彼女は、その後、思い描いた理想の贅沢三昧の日々を送ることはなかった。

そして、何よりジュニパーには秘密があった。ウィスタリアと出会ってから仲良くなり、お互いに親友だと言っていた令嬢と今のジュニパーはまるで別人のようになったのは、彼女があることを思い出してしまったからだ。


「今度こそ、私が幸せになってやる。あの女にだけは負けないわ」


彼女は、ウィスタリアという令嬢のことを思い出したのだ。かつて、生まれ変わる前に散々な目に遭わされたことを。

ジュニパーを思い出してしまったのだ。思い出す前までは、コツコツと苦手な勉強も頑張っていたというのにそれを一切やめてしまったのも、思い出した記憶の中にそんなことしなくとも、選ばれたことが含まれていたからに他ならなかった。

贅沢三昧な日々を送るはずだったのに生まれ変わる前のウィスタリアに邪魔された記憶だけが鮮明に蘇ってしまったのだ。

今度こそ負けたくないと思っていた。ただ、どんな風に負けたのかは思い出せなかったが、ウィスタリアによってとても悔しい目に合わされたことだけは、ジュニパーは覚えていた。

それを知る者は他にはいなかった。誰もジュニパーと前に別のどこかで出会っていた記憶も蘇ることはなかった。

それと彼女は別の世界にいた時にとんでもない勘違いをしていた。王太子の婚約者は、勉強などせずとも、贅沢をしていればいいだけの存在だと思っていた。

そのためギリギリでも候補者の中に残り続けさえすれば、あとは選ばれてしまえば、こっちのもののように思っていた。それが残り2人にまでなったのだ。こんなチャンスを逃せるわけがない。

だから、両親に辞退するように言われても、頑なに拒み続けたのには、そういう理由があった。

そして、勉強三昧なんて嘘で辞退させる口実だと思うまでになり、それが何やらおかしいと思うことになっても、それでも何とかなると勉強をやるふりしかしなかった。






どちらが、婚約者として選ばれるかは歴然だったはずだが、両親との縁を断ち切ってまで、叔母夫妻の養子となって、婚約者候補の辞退は嫌だと言っていた執念からなのか。そこら辺はわからないが、大どんでん返しが起こったのは、それからしばらく経ってからのことだった。

蓋を開ければ、ジュニパーが婚約者として選ばれたのだ。

それによって、街では……。


「あー、顔がいいのか?」
「いや、そんな話、聞いたことないが」
「なら、その令嬢は何が得意なんだ?」
「さぁ?」


選ばれることになった令嬢の情報がなさすぎて、ジュニパーのことを知らない者たちは、みんな首を傾げた。

何かあったとすれば、その令嬢は……。


「婚約するとなった方は、養子になったらしいな。家柄か?」
「そんな話も聞いていないが。ウィスタリア様は侯爵家だろ? その上って言ったら、公爵だけだが、伯爵家らしいぞ」
「なら、違うな。……一体、何がそんなに凄い令嬢なんだ?」
「さっぱりだ」


何とも煮えきらないまま、何で選ばれたんだと疑問を持つものばかりが国中に溢れかえっていた。

何か不正でもあったのかと思いたかったが、選んだのは王太子本人だとみんな知っていて、首を傾げるばかりだった。そこに王太子が選んだわけではないとなれば、不正だと騒いでいるところだが、そうではないとなり、誰に何を言われようとも選ぶのは、王太子がしてもいいと国王が言っていたこともあり、理解できるような納得いく答えをほとんどの者が持てずにいた。





そんな風に国中が首を傾げるような状態の中で、その知らせに大喜びしたのは、ジュニパーと養父母たちだった。

彼女たちは、選ばれた理由などどうでもよかった。選ばれさえすればいい人たちだった。


「やったわ!」
「おめでとう」
「やはりな。辞退なんてする必要なんてなかった。今頃、悔しがっているかもな」
「あら、そんなの当たり前よ。でも、向こうが縁を切ったんですもの。まぁ、どうしてもと言って頭を下げてきたら、その時に考えればいいわ」


叔母夫妻の言葉にジュニパーは頷いた。その顔は、大勢の候補者の中にいた頃とは違っていた。控えめな化粧しかしていなかったが、2人の候補までになって養子になった頃には、派手めのメイクを好む令嬢になっていた。服装も、そうだ。婚約者になった途端、派手めな物ばかりを新調した。

それも、叔母夫妻が王太子の婚約者になったのだから、それなりの格好をしなければと言ったことから、ジュニパーが何もかも完璧にしなきゃと動いていた。

その散財っぷりに叔母夫妻が頭を悩ますことになるとも知らず、この時は叔母たちもとんでもないのを養子にまでしたとは気づいていなかった。

婚約者になった途端、この家とお近づきになりたい者たちが何かとあからさまにすり寄って来ていたのもあり、ジュニパーに感化されたかのようにこの家族の者たちは段々と図に乗って行くことになった。

その中でも、ジュニパーが一番酷いことになるのだが、それを養父母となったこの2人は止めたり、諌めたりを最初にしなかったことで、取り返しのつかないことになっていくのだが、そうなるまでまだ時間はあった。 


「やったわ! これで、贅沢三昧の日々を送れる。ここは、あそことは違うもの。一生、贅沢をして暮らせるわ」


そんなことを思って喜んでいたが、この後、贅沢三昧の日々の訪れよりも、勉強三昧の日々の方をしなければならないことになる現実が待ち構えているとは思いもしなかった。

それにより、彼女は王太子の婚約者となってから、ストレスのない日はなくなっていくことになるが、この時が一番最高に幸せだった。

ウィスタリアに勝ったことが何より嬉しかった。そして、これからは負けたウィスタリアをこき下ろす人生が待ち構えているのをジュニパーは信じて疑わなかった。

ジュニパーにとって、生まれ変わる前のことを思い出したのはまずかった。頑張っていた時にそれを試したいと言われれば、両親も納得していたが、それすらしなくなって、突如勉強嫌いになってしまっただけでなくて、性格まですっかり様変わりしてしまったのだ。







実の両親は、ジュニパーを養子になってからすっかり叔母夫妻に言いようにされていると周りに言われるようになったが、両親は……。


「あの子、養子になる前から突然変わってしまったけど、一体何があったのでしょうね」
「さぁな。だが、今のジュニパーは、私たちの娘とは別人だ。縁を切ったんだ。忘れよう」
「……そうですね」
「だが、いつか、あの子が私たちの知るあの頃の苦手ながらも一生懸命に頑張るあの子に戻ったら、支えてやりたいと思うが」
「えぇ、そうですね。あの頃の娘に戻ったなら、周りにとんでもないことをしたとしても、また1からやり直したいと言うなら、そうしましょう」


ジュニパーの実の両親は、様変わりしてしまった娘より、元の娘が帰ることをひたすら待っていたが、その日が来ることはなかった。

その後、生まれたこの2人の息子は、とんでもない実の姉が、養子になってくれたことを喜びつつ、昔は別人のようだったと語る姉の方を本当の姉だと思い、養子先で色々とやらかし続けた話を耳にする方を姉だとは思うことはなかった。

あちらは、一切の赤の他人として、ジュニパーは弟が生まれたことも知らないまま、好き勝手な人生を送り、姉弟が対面することはなかった。


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