上 下
11 / 12

11

しおりを挟む

更には、マヘンドラの実の両親も最低だった。自分たちに似ていない息子を跡継ぎにしたくなかったのが、事の発端だったようだ。似ていなくとも、自分が産んだ息子だというのに母親の方が
マヘンドラを毛嫌いしていたようだ。

そんな息子が王女と婚約したのにも不満があったようだ。両親は、マヘンドラの弟の方と婚約させて、そちらを跡継ぎにしようとしたが、王女が選んだのがマヘンドラだったのが、どうにも気に入らなかったようだ。

それが、何をどう勘違いしたのか。婚約者を上手いこと勘違いしてくれたことで、それを口実にして勘当できたことを彼の両親は喜んでいた。


「あんなことをやらかす奴が、跡継ぎになっていたら大変だった」
「本当にそうですとも。やはり、この家を継ぐに相応しいのは、弟の方ですわ」


そのため、両親はマヘンドラを庇うこともせずにさっさと見捨てたのが、真相のようだ。

そんなことをしたことで、自分たちにそっくりだと思っていた息子を跡継ぎにしようとした。彼は、兄より少しばかり歳が離れていたのもあり、何があったかをシュリティたちに聞きたがったので、全部を教えた。

その息子は、兄のことが大好きだったようだ。その真逆にそんなことを平然とした両親を恥だと思っていたようで、跡継ぎになってからは早々に両親には引退してもらって田舎に引っ込ませた。

両親は酷いことをするかのように言ったが、跡を継いだ息子が、マヘンドラに何があったかを全部知っていて、こうさせるために跡継ぎになったことを知って、顔色を悪くさせた。

それでも悪あがきをしていたようだが、そうなったらどうするかを決めていたらしく、跡継ぎとなった彼が両親に生きている間に会うことはなかったし、両親に孫を会わせることもしなかった。





王女の方は、何をしたかを知られることになり、本命からは二度と顔も見たくないし、話しかけて来るなと言われて絶望した。


「これも、みんなあの女のせいよ!」


あの女とは、チャーヤのことでなく、シュリティのことを王女は言っていた。

両親にはとんでもない恥をかかせたと言われても、彼女はシュリティのせいにし続けた。

そんな王女に両親は、言われたところにおとなしく嫁ぐか。修道院に入れと伝えたのだが……。


「どちらも嫌よ!」
「……そうか」


国王は、どちらも拒否したことで、冷めた表情でそれだけ言った。

王女は、両親なら最後は味方してくれると思っていて、シュリティに何かしてくれると王女は本気で思っていた。

だが、シュリティに何かするわけがない。王女は、病気を理由に療養が必要だとして、その後は幽閉されることになった。

王女が、両親に会うことは二度となかった。


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

お姉ちゃん今回も我慢してくれる?

あんころもちです
恋愛
「マリィはお姉ちゃんだろ! 妹のリリィにそのおもちゃ譲りなさい!」 「マリィ君は双子の姉なんだろ? 妹のリリィが困っているなら手伝ってやれよ」 「マリィ? いやいや無理だよ。妹のリリィの方が断然可愛いから結婚するならリリィだろ〜」 私が欲しいものをお姉ちゃんが持っていたら全部貰っていた。 代わりにいらないものは全部押し付けて、お姉ちゃんにプレゼントしてあげていた。 お姉ちゃんの婚約者様も貰ったけど、お姉ちゃんは更に位の高い公爵様との婚約が決まったらしい。 ねぇねぇお姉ちゃん公爵様も私にちょうだい? お姉ちゃんなんだから何でも譲ってくれるよね?

貴方に種付けをお願いしたいのです!

ぽよよん
恋愛
 貴族が入学する学園の入学前に伯爵令嬢の跡取りマリエルと侯爵家三男レイオンの婚約が決まった。  しかし、この婚約に不満のあるレイオンは、学園で知り合った子爵令嬢イザベルと恋仲になり、この婚約を破棄するようマリエルに詰め寄る。  マリエルは言う。「この婚約は決して破棄致しません。」 タイトルがアレなので一応R15つけましたが、内容はギャグです。 *おまけ追加しました* おまけはかなりお下品ですので、閲覧はお気をつけください。  

悪役令嬢に仕立て上げられたので領地に引きこもります(長編版)

下菊みこと
恋愛
ギフトを駆使して領地経営! 小説家になろう様でも投稿しています。

姉妹の中で私だけが平凡で、親から好かれていませんでした

四季
恋愛
四姉妹の上から二番目として生まれたアルノレアは、平凡で、親から好かれていなくて……。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

傷物にされた私は幸せを掴む

コトミ
恋愛
エミリア・フィナリーは子爵家の二人姉妹の姉で、妹のために我慢していた。両親は真面目でおとなしいエミリアよりも、明るくて可愛い双子の妹である次女のミアを溺愛していた。そんな中でもエミリアは長女のために子爵家の婿取りをしなくてはいけなかったために、同じく子爵家の次男との婚約が決まっていた。その子爵家の次男はルイと言い、エミリアにはとても優しくしていた。顔も良くて、エミリアは少し自慢に思っていた。エミリアが十七になり、結婚も近くなってきた冬の日に事件が起き、大きな傷を負う事になる。 (ここまで読んでいただきありがとうございます。妹ざまあ、展開です。本編も読んでいただけると嬉しいです)

聖女である御姉様は男性に抱かれたら普通の女になりますよね? だから、その婚約者をわたしに下さいな。

星ふくろう
恋愛
 公爵家令嬢クローディアは聖女である。  神様が誰かはどうだっていい。  聖女は処女が原則だ。  なら、婚約者要りませんよね?  正妻の娘である妹がそう言いだした時、婚約者であるこの国の王子マクシミリアンもそれに賛同する。  狂った家族に婚約者なんか要らないわ‥‥‥  クローディアは、自分の神である氷の精霊王にある願いをするのだった。  他の投稿サイトにも掲載しています。

悪役令嬢はヒロインをいじめていましたが、そのヒロインはというと……

Ryo-k
恋愛
 王立学園の卒業記念パーティーで、サラ・シェラザード公爵令嬢は、婚約者でもあるレオン第二王子殿下から、子爵令嬢であるマリアをいじめていたことで、婚約破棄を言い渡されてしまいました。  それは冤罪などではなく紛れもない事実であり、更に国王陛下までいらしたことで言い逃れは不可能。  今まさに悪役令嬢が断罪されている。最後にいじめられていた側のマリアが証言すれば断罪は完了する。はずだが…… ※小説家になろうでも投稿しています

処理中です...