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しおりを挟む「どういうことだ!?」
「何かの間違いです」
「そうですよ。この子を妬んでいる者にはめられたに決まってます」
だが、アンリエットは知らぬ存ぜぬを繰り返し、その母親も一緒になって酷いことをする者がいると嘆いた。
子爵も同じようにしたが、証拠がわんさか出ているのもあり、そんなのと婚約したのかとギャルヴァン伯爵夫人は息子と騒いでいたが、ギャルヴァン伯爵の方は……。
「何を今更、言っているんだ。そっちと婚約するなら、自分たちでどうにかしろと言っただろ。お前たちで、どうにかしろ」
元よりギャルヴァン伯爵は、ヨランダを気に入っていたのもあり、婚約破棄して、義姉のアンリエットと婚約すると言った時にそう言っていた。
「それにお前は、この家を継ぐ気でいるようだが、お前は婿入りだ。この家を継ぐのは、お前ではない。そこをよく考えて、婚約破棄するかを決めろ」
「へ?」
「だ、旦那様?! この子は長男なんですよ!?」
「そんなのに跡を継がせられるわけがないだろうが。卒業もギリギリなんだぞ。そんなギリギリより下の成績しか取れていない令嬢なら、卒業も難しいはずだ」
そんなことを言われて、元よりアポリネール子爵家とはそういう約束で婚約していたからと言われて、アンリエットに確認すると……。
「え? 婿入りするつもりなんですか?!」
「っ、お前も、知らなかったのか」
アンリエットは、母に聞くも、母親もギャルヴァン伯爵家に嫁ぐものと思っていた。アポリネール子爵も、なぜか驚いていた。
「は? いや、ここは困る」
「困る?」
「ここの跡を継がせる子息がいるんだ。そこから色々と優遇してもらっているんだ。それを駄目だとなれば、これまで借りた分を全額返さなければならなくなる」
アポリネール子爵は、前妻のしたことだとしてギャルヴァン伯爵家の方にアンリエットを嫁がせようとしたが、書類にアポリネール子爵自身がサインしているものがあり、今更どうにもならなかった。
宙ぶらりんのまま、アリステッドとアンリエットは勉強が手につかなかったと言い訳して、卒業に必要な成績を取りそこねたと言っても、それで卒業できるわけもなく、留年することになった。
アリステッドは、留年した途端、ギャルヴァン伯爵家とは縁もゆかりも無いと勘当されることになっていたらしく、本人も流石に留年はしないと思っていたため、その手の書類にサインして好き勝手なことをしていたツケを支払うことになり、アンリエットも酷い成績で留年することになり、そんなのがアポリネール子爵家の娘なのかと援助しているところから言われたことから、援助をしてもらえなくなると困るアポリネール子爵は、再婚した妻と離婚して、その連れ子を追い出した。
だからといって、数年したら自分も養子に爵位を譲って追い出されることになるのだが、なぜか面倒は見てもらえるものと思っていたようだ。
そんなアポリネール子爵だ。再婚相手とその連れ子をすぐに切り捨てたあたりから、都合のよい相手としか見ていなかったようだ。
アポリネール子爵家を継がせる養子にする子息の家から援助が出ていたのも、ヨランダの母親が頼み込んでそうなったようだ。
ヨランダがいるのだから、爵位を継がせるなら婿入りさせると言っても、他所に嫁がせるからと頼み込まれたようだ。
それで、ずっとヨランダのように娘のことがそこまで嫌いなのかと勘繰っていたが、こんなことになって、アポリネール子爵を継がせるどころか。この国からも遠ざけるために策を巡らせていた事を知って、ヨランダのように勘違いしていたと申し訳なく思っていたようだ。
ヨランダの母親が見初めた、アポリネール子爵家に継がせたい子息は、幼い頃はそこまでではなかったが、成長するにつれて当確を見せた。
彼は、ヨランダが隣国で幸せにしていることを耳にするたび、自分の姉のことのように嬉しそうにしていたが、実際に会うことはなかった。
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