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第1章
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しおりを挟む両親が日毎に琉斗が寝てから、琉斗のことを話をしていることを知らないまま、学校でも色々と変化し始めていた。
いや、変化が目に見えるようになってきたと言った方が正しいかも知れない。
人を悪く言わなくなった代わりに段々と今まで以上にあの男の子が好き勝手を始めていたが、ついには暴れるようになったのだ。
「ちょっと! 並んでるのよ。あとから来たなら後ろに並びなさいよ!」
休み時間のたびにそこかしこで彼に怒鳴る者も増えていた。何というか。彼はあからさまに横暴になっていた。
「は? あぁ、見えなかった。次から、そうする」
「次じゃなくて、今からしてよ!」
「煩い!」
「っ!?」
遊具で遊ぶ時でも、順番を守らなくなっていて、気に入らないことがあれば言葉より、石を投げて来るようにまでなったのだ。ポケットの中には、石が入っていて、それを投げつけてくるのだからたまったものではない。
「何するのよ! 危ないでしょ!」
「ふん」
「もういいよ。あっちで、遊ぼう」
有紗がそういうと女の子たちは、関わるだけ無駄だと思ったようでその男の子から距離を置くようになったのも、すぐだった。
「っ!?」
それすら気に入らないように離れて行く有紗たちに石を投げつけて、怪我した子はそれなりにいた。
その問題行動で、彼の親は何度も学校に呼び出されて、怪我させた生徒に謝りに行っているようだが、それでも石を投げつけることをやめることはなかった。
何を言っても、最終的には石を投げてくるまでになって、みんな彼から離れていった。関わらないように遠巻きにしたのだが、そうなればなるほど彼は益々意地悪なことをするようになり、口論する声が学校で絶えることはなくなったのだ。
(何で、あんなこと続けてるんだろ? しかも、自分より明らかに弱い子にしか投げてないんだよな。そこが腹立つ。それに有紗ちゃんの前にばっかり横やりいれてる気もするし……)
ターゲットは、年下か。女の子ばかりなのだ。明らかに自分が勝てる相手に石を投げつけているのしか見たことがなかった。
それを琉斗は、いつの頃からかよく見ることになって、眉を顰めずにはいられなかった。だが、コントロールが悪いのか。大怪我にはいたってはいない。今のところはだが。
琉斗が見ている時は、びっくりして逃げようとした生徒が転ぶばかりで、その石が当たることはなかった。それこそ、至近距離であらぬ方向に飛んでいって、全く当たらないのを見て、笑う者も少なくなかった。
「また、やってるな」
「でも、あの距離で外せるって、下手くそすぎね?」
「確かに」
上の学年の男子は、ノーコンぷりに笑っていたが、クラスメイトの女の子が被害に合うのを助けに行くこともあった。その女の子が可愛かったからかも知れない。そうでないとスルーしていたため、それはそれでわかりやすいなと琉斗は思って見ていた。
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