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そんなこんなで、最大のイベントは修学旅行の前のくじ引きだったようになっていた。

なんか、修学旅行中にあるのかとちょっと期待していた自分が恥ずかしい。

いや、だって、期待しちゃうでしょ? あんなに女子に同じ班になってくれと言われれば。でも、びっくりするぐらい何もなくて、ニヤニヤしていた男共は何もないことを励まして来て、それが一番腹立った。

あの顔で励まされても、喜べるわけがない。

まぁ、学校の野郎共の友情なんて、そんなもんだ。いや、そもそも友達ではなかったのかも知れない。

そんな学校の面々に辟易していたのと修学旅行のお土産を届けなくてはと叔母さんのところに向かった。


「それで、わざわざ、お土産持って来てくれたのね。ありがとう、凪」
「いえ、お世話になっているので、当然です。あ、こっちは、聡くんで、こっちは、真理ちゃんに」


お菓子だけでなくて、小さな袋の方に印を付けておいた。従弟妹たちが好きな色のシールを付けておいた。


「ちびたちにも? これだけでいいのに」
「いえ、このキャラクター、御当地もので、小さい子には人気なんですよ」


小さい子と言いつつ、僕もハマっている。これ、集め始めると中々なんだよな。

小さい子供に買っていくので大量に買っても、全く恥ずかしくなかった。

そんなに買うのか? と同じのを買う僕に平然とできたのも、自分がハマっているのではないことをアピールしていたからかも知れない。

店員にも印を頼んだ際に従弟妹たちのことを話して、自分の子供もハマっているからわかりますよ~と言われた。

うん。接客慣れしてるといいよね。


「そういうのも抜かりないのね。ありがとね。喜ぶわ。旅行なんて、中々行けないから」
「花屋をやってると長期の旅行は組みにくいですよね」
「そうなのよ。かといって、店任せっきりにするとなるとそれなりの子じゃないとね。凪、早く、うちの花屋の正社員になってよ」
「それは、嬉しいですけど、僕、大学は行きたいんで、まだかかるかと」
「大学って、うちから近いとこにしない? うちから通ってバイトもしてよ」
「叔母さんの家からって、僕の偏差値じゃ、難しいですよ」
「またまた。姉さんが、自慢してたわよ。風邪で寝込んだでも、何してても成績だけは落としたことないって」
「……」


それは、それでどうなんだ? 自慢になるのか?

僕は思わず微妙な顔をしてしまった。それこそ、あの時のことを僕は未だに根に持っているんだからな。鬼婆め。

だが、母さんが何をしていたかを叔母に話すなんてことはしなかった。母さんのことだ。実の妹には負けたくなくて、成績のことを引き合いに出したに違いない。

他に自慢できないと思われているのだろうが、それは考えすぎだと思いたかったが、未だに花好きな僕をわかってくれてはいない。

その分、父さんとはよく話すようになったが。

ジオラマに関しての知識は凄かった。ハマったと言っていたが、凄かった。

そんな話をよくするようになって、母さんはその会話に全く入れずにいた。

母さんも、叔母さんのようだったらと思わずにはいられなかった。

そもそも、自慢することもない息子みたいに言っているのは、母さんだ。

なんか、モヤモヤするな。

僕は、げんなりしながら帰路についた。


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